Q6.私の赤ちやんは、鼻からチューブを人れてミルクをあげていますが、これでよいのですか。

A6.

 出生後、未熟児のため吸綴(きゅうてつ)力(ミルクを吸う力)が弱かったり、下顎が小さい赤ちゃん、披裂の程度の強い赤ちゃんでは鼻からチューブを入れ、胃の中へ直接ミルクを流し込むことがあります。
 他に全身に異常のない場合には、小児科、産科、口腔外科などの専門家と相談し、前述の特殊な哺乳瓶を使用して、授乳の姿勢を工夫しながら口から飲ませるように努力してあげて下さい。
 披裂の程度によっては、特殊な哺乳瓶だけでは授乳できない場合や、授乳できても能率が悪い場合があります。このような場合に口腔外科ではHotz(ホッツ)型の口蓋床などの装置を作製しますが、これを利用すると、たいていの赤ちやんは哺乳が可能になります。しかし、一部の赤ちゃんでは吸綴(きゅうてつ)や嚥下(飲み込むこと)に関係した筋肉の発達が弱いなどの理由から、チューブを完全に抜いてしまうことができない場合があります。このような場合、お母さんは、ややもすると授乳の楽な鼻腔栄養にたよりがちで、口から飲ませない場合があります。しかし、この時期に鼻腔栄養を長期間続けると、赤ちゃんは飲むことを忘れてしまって口から飲むことをいやがる場含もあります。また、舌や下顎が運動をしないため、将来の発音の面からもよくありません。ですから、少量でも必ず飲めるだけはまず口から飲ませてあげて、不足した量をチューブから入れるようにして下さい。

 また、長期間鼻腔栄養をした方も、多少時間はかかりますが気長に経ロヘ切り替えていく努力をしていくことをお勧めします。この場合はいきなりチューブを抜いて経口摂取というわけにはいきません。まず赤ちゃん本来の吸綴(きゅうてつ)や嚥下運動を確認し、乳首なども使用してこれらの運動を刺激することも必要です。また、医師と相談のうえ、多少お腹がすいた状態にしてスプーンですこし飲ませたり、口蓋床の形態を工夫したりしていきます。
 私達の施設では、ほとんどの方が口蓋裂用哺乳瓶と口蓋床の併用で、鼻腔栄養は行っていませんが、他に病気がある場合などでも小児科と口腔外科がチームを組んで全身状態をチェックしながら、成長に合わせてチューブを抜去していきます。