Q9.病気についていつごろ、どのように説明したらよいですか。

A9.

 私達の調査では、子供さんが病気について認識し始めるのは、早い子供さんでは二〜三歳からです。これに対して、病気についてある程度説明したと答えたお母さん達は、小学校高学年でも半数程度でした。
 このように、現状では多くの子供さん達はこの病気について認識していても、母親からの説明は受けていません。このため、幼稚園や小学校で友人に創痕のことをきかれてもどう説明してよいのかわからず、これがいじめの原因になっている場合もあります。
 お母さん達が子供さんに病気のことを説明していないのは、わが子に話をすべきかどうかを判断しかねたり、また、いつごろ、どのように説明したらよいのかわからないという理由によるものがほとんどだと思います。
 私達の施設では、このような質問については次のような考え方で対処しています。
 まず説明する時期ですが、子供さんが「唇はどうしてこうなっているの?」ときいたり、鏡をみて傷を気にしているような様子がみえたら、すぐ説明するのが望ましいと思います。
 両親に、この病気のことを隠したいという気持ちがあると、子供さんは敏感にそれを感じとって、「この話題に触れることは、何か具合の悪いことなのだ」と解釈し、この病気については触れてはいけないと思いこみ、それが、友人との交際面でも態度に出ることになります。
 子供さんに「どうして傷跡があるの?」ときかれたら、「それは、お母さんのおなかの中でケガをしたので、病院へ行って治してもらったからですよ」とさらっと説明します。そうすれば、子供さんも納得し、友人に口唇裂のことをきかれても母親から説明されたとおり話すことができ、周りの子供さんも納得するものです。