Q28.口唇裂の修正手術の時期はいつごろがよいのですか。

A28.

 手術回数はでさるだけ少ないほうがよいのですが、披裂の大きさ、中間顎(上あごの前歯の部分)の変位、鼻翼軟骨の変位、瘢痕のできやすい体質などによっては、口唇の非村称、瘢痕、鼻変形、上顎の劣成長、顔面発育不全などのさけがたい場含も多くあります。そして、それらの状態に応じて手術の適応時期は異なっており、一概に最適時期はいつごろとはいえませんが、私達の施設では次のような規準で修正手術を行っています。
 ロ唇の変形:(cupid弓(口唇中央の富士山型の山)の左右非対称、赤唇縁のズレ、赤唇の厚さの左右の非対称、人中の非対称、手術創の瘢痕など、口唇部に限局した手術であれば、比較的低年齢でも手術は可能です。このような場含には、一般的に子供さんの社会生活などを考慮し、小学校に入学する一年くらい前に手術を行っています。
 鼻変形:口唇裂の一次手術直後はよい外形を示す鼻も、成長とともに患側の扁平化を生じ、鼻孔の左右非対称を生ずることがあります。このような鼻変影は、鼻翼軟骨、顎骨、鼻中隔の麦位・変形劣成長などによっておこるもので、披裂の状態によっては防ぎえない場合があります。この場合、低年齢で修正手術を行っても個体の成長に伴って鼻変形が再発することも多いので、私達の施設では十六歳以降にこの修正手術を行っています。しかし、鼻変形の程度が著しく、ご両親の者望が強い場含には、軟骨に侵襲を加えないような軽度の修正手術を低年齢で行う場含もあります。
 顎変形:顎の劣成長に対する中心的な治療は矯正歯科治療で行われます。安易に低年齢で外科的矯正を行うことは勧められません。顎の成長が完了し(一般に十六歳以降)、矯正歯科治療を行ってもなお顎の変形が著しい場含には矯正料、補綴料などと相談のうえ、上顎、下顎、あるいは上下顎の骨切り手術が行われます。