久馬栄道の全く個人的な映画の感想 2002年版です
Last updated 27th Dec. 2002
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これは久馬が映画館で見た映画の個人的感想です.
下に行くにしたがって古くなっています.
感想ください
E-mail:
kyuma@eido.jp
過去に見た映画の検索用に、
名前のリスト
を作りました。
どうぞご利用ください。
3月までの映画について
久馬栄道は、2001年4月1日から2002年3月31日まで、
イギリスのリーズ大学に在外研究員で行っておりました。
イギリス滞在中の映画は、
イギリス用ホームページ
にあります。
以下は12月に見た映画です
- 『8人の女(原題)8 femmes』
フランス映画で、とても面白かった。
登場人物は8人の女優と一人の死体。
この8人の女優が有名らしいのですが、
私がわかるのは、カトリーヌ・ドヌーブと
エマニエル・ベア-ルぐらいなもんです。
とくにべアールは、『愛と宿命の泉』以来のファンなんで、
嬉しいです。
(『美しき諍い女』は彼女の本意ではないような気がします。)
雪で閉ざされた豪邸で、1人の男が殺される。
彼をめぐって、8人の女がいろいろ絡まるわけなんですが、
次から次へと出てくる秘密が見事です。
原作はロベール・トマと言う人の推理劇らしいんですが、
とにかくこの脚本が実に良く出来ていて、
この次々出てくる秘密も、半端じゃあないんです。
そして、色々な場面で展開される歌と踊りも
面白いです。
フランス映画の本領発揮です。
もともとフランスというところは、映画に政府から
援助が出ているので、映画製作者もどこかおっとり
しているような気がします。
ここらがハリウッドの、なにがなんでも売ってやろう、
というようなバイタリティーとは異なるわけで、これが
一時フランス映画の衰退にもなったわけですが、
現在ではそれが、ハリウッドとは異なるテイストの
映画を作ろう、という原動力になっているような気がします。
この映画は、ハリウッドのオマージュがちりばめられている、
ということですが、やっぱ本質はフランス映画ですねえ。
それにしても、ラストは(予想通りなんだけど)本当に意外です。
- 『歌えフィッシャーマン
(英語タイトル)Cool & Crazy
(原題)Hefting og Begeistret』
フィンランドと聞きゃあ、やっぱ寒そう。
そのフィンランドの中でもさらに北のとある港町。
産業と言えば漁業と水産加工だけだが、
水産加工工場もかつては5つあったのが、
今では1つになってしまった。
なんか日本でもどっかで聞いた事あるような
典型的過疎の町。
しかしこの町には、人々の誇りの男性合唱団があるのです。
創設90年の歴史を誇り、最高年齢96歳という、
年寄りばかりの合唱団なんですが、
この映画はこの合唱団を描いたドキュメントなんです。
合唱団のドキュメント、と言うよりは、やはり
極感な中で歌うシーンが圧巻です。
顔も鼻水も凍りつきながらも、男たちは
必死で歌いますが、それがなんとも言えず良いんです。
もちろん、田舎の合唱団ですから、そう上手い人がいる
わけではないですが、そこが合唱の不思議なところで、
皆で歌うと良いわけです。
で、長いこと一緒にやってるから、慣れた曲になると
本当に美しいハーモニーです。
ここが音楽の不思議なところですねえ。
例えば、ウィーン・フィルはベルリン・フィルのような
精密機械の演奏をするわけではないですが、
なんせ年200回以上の公演(ほとんどが、ウィーン国立
歌劇場の伴奏なんですが)を
こなす世界一多忙なオーケストラなんで、
とにかく、はもり方が半端じゃあない。
私もウィーン国立歌劇場でベートーベンのオペラ
『フィデリオ』(ちなみに言っておきますと、
ウィーンではベートーベンは人気のない作曲家で、
やっぱ日本人観光客が多いです。ウィーンでも
人気があるのは、やっぱオペラの王様ヴェルディですねえ)を見たとき、
エグモント序曲があまりに美しいハーモニーなんで、
マジでビックリしました。
やっぱ回数をこなすと言うのは、大事ですねえ。
(もっともウィーン・フィルは、いつもウィーンの厳しい観客の
前で演奏しているので、どうも海外公演の時は、手を
抜いているんじゃあないか、と思えるフシがあるんですが...)
とにかくこの合唱団、この映画のおかげで大人気
(ブエナ・ヴィスタ・ソーシャル・バンドみたいな
もんですね)になってしまって、アメリカ公演までしてしまって、
この映画も第2作が出来たそうです。
とにかく大したもんですね。
- 『SUPER 8』
あの超ぶっ飛んだ『アンダーグラウンド』の監督、エミール・クストリッファ。
彼がノー・スモーキング・バンドと言うロック・バンドに属して
音楽活動もしていて、しかも彼自身が、
そのドキュメントを映画化したものというわけで、興味津々です。
クストリッファと言えば、やっぱり『アンダーグラウンド』や
『黒猫・白猫』で出て来た凄まじいばかりのバルカン・ブラスの音色を
期待してしまうのですが、今回はあまりなかったです。
そのかわり、なかなかエネルギッシュなコンサートの模様が見れます。
- 『アイリス(原題)Iris』
イギリスの作家で、アイリス・マードックという人が
いるらしいのですが、この映画はそのアイリスの老いてからの
人生と、若い頃の映像がフラッシュ・バックされ、
彼女の半生を描いた映画なんですが、とっても良かったです。。
若い頃のアイリスをケイト・ウィンスレットが
演じています。
彼女、(アン・リー監督の名作)『いつか晴れた日に』とか
『日陰の2人』とか、デビュー当時は暗い文芸映画専門だったんですが、
『タイタニック』でまさかの大ブレーク。
まあ『タイタニック』は、ケイトの貫禄十分で、
完全にレオナルド・デュカプリオを食っていましたからねえ。
ただ、なんせ彼女、『タイタニック』の時もだいぶ減量して
撮影に臨んでいましたので、あのキリッっとした演技になったんですが、
その後、また体重が元に戻ちゃって、『グッバイ・モロッコ』の
時には、けっこうありのままの彼女だったからなあ。
で、本作の彼女なんですが、良かったですよお。
で、年老いてからのアイリスをジュディ・リンチが熱演しています。
この2人の演技が、実に上手くつながっていて、
まったく違和感を感じません。
この映画のテーマを一言で言えば「人間は誰でも老いる」と
いうことなんですが、過去の聡明で人間的にも凄く
魅力的なアイリスの映像をフラッシュ・バックすることによって、
いっそうその「老い」が、強調されて、切なくなってしまいますが、
その反面、若さの素晴らしさというものも、
よりいっそう実感できるわけです。
まあ、このような映画の内容とは別に、イギリスの
映像満載で、それはそれなりに、楽しめます。
「こんな有名人でも、こんな普通のパブに行くんだ!」とか、
「そうそう、スーパーは、こうなっていたなあ」とか、
「コンドームはフレンチ・レターって言うんだよなあ」
(これって正確?それに何故?)とか、
イギリス訛り(イギリス人が言うところの、正しい英語で、
あくまでアメリカ人が喋るのは、アメリカ訛りの英語だよなあ、
やっぱり)の英語も懐かしいけど、オックスフォードの街並みも、
家並みも、こんな感じですよねえ。
まあ、(アメリカ人監督のクリス・コロンバスによる)
ハリー・ポッターでは味わえないイギリスの映像が良いです。
それと、イギリスでは、25℃過ぎると、たしかに
その辺で泳いでいて、ビックリします。
イギリスの冬は0℃以下になることはないので、雪も降らないし
道も凍らないけど、その代わり一年中寒い。
冬は観光地もかなり閉まってて寂しいです。
でも2月頃から、まだ寒いのに強引に「スプリング」と言ってます。
でこの季節、ティー・シャツ1枚で歩いている人から、
しっかりダウン・ジャケットを着こんでいる人まで、
色々いて、ほんとビックリします。
で、3月から4月のイースター(毎年日が違う)を境に
観光地も開き、なんか気分もウキウキ。
で、5月にはいきなり「サマー」と言う季節になるんですが、
でもまだ寒いんですよねえ。
でも6月7月と、20℃過ぎるともう夏本番と言う感じで、
25℃過ぎるとみな狂ったように、その辺りで泳ぎ出すわけです。
ちなみに30℃過ぎる(去年は数日あった)と、
猛暑で、みんなバテバテ。
去年はクィーン・マザー
(エリザベス女王の母親)も入院してしまいました。
まあ、バッキンガム宮殿にはクーラーがない
(というか、イギリスは、
たいていのところには、ない)ので、
病院に避暑に行ったらしいですが。
- 『遥かなるクルディスタン(原題)Journey to the Sun』
トルコに住むクルド人を描いた映画。
それにしても、我々はトルコって国ですら、
このワールド・カップでやっと知った
(まさかトルコ人がサッカー出来て、しかも、
こんなに強いなんて)くらいで、
ましてやトルコにクルド人が住んでいるなんて、
全く知らんかった。
1つ前に紹介した『酔っぱらった馬の時間』とは違って、
この映画は、今度は大都会に住むクルド人を描いています。
それにしても、トルコって、もうちょっと
文明国だと思っていたけど、いまだにこんな差別を
やってるんですかねえ。
- 『酔っぱらった馬の時間
(原題)Amani Baraye Masti Asbha
(英語題名)A Time For Drunken Horses』
イランとイラクの国境地帯に住むクルド人達は
密輸を生業として生きているが、その彼らの
過酷な生活を、丹念に描いた映画。
イランのクルド人監督のバフマン・ゴバティの作品なんですが、
2000年のカンヌ映画祭のカメラ・ドール(新人監督賞)や
国際批評家連盟賞を受賞した映画。
とにかくクルド人の住む生活、その景色、厳しさ、
全てが圧巻です。
密輸を生業と言っても、麻薬とか武器とかのやばいモノではなく、
ようするに生活必需品ばかり。
それにしても、この地域では、こんなものも
密輸しなければならないなんて、驚きです。
で、まいにち必死で働いても、生きていくのがやっと。
それに、当たり前なんですが、貧しくても、
紛争地帯でも、障害者は生まれてきますし、
生きていかなければなりません。
でも、この障害者に対して、意外と言えば意外なんですが、
皆やさしいんです。
もちろん、心無い人もいますし、口で上手いこと言っても、
けっきょく自分の事となると
皆腰が引けて、自分が大事なんですが、それでもやさしい。
「むかしの貧しかった頃の日本って人情があった」なんて
意見は、私は嫌いで、そんなのは単なるノスタルジーだろう、
と思っていたんですが、この映画を見ていたら、
やっぱ貧しいところって、皆が助け合うように
なっていくんだなあ、と実感しました。
問題はラストだよなあ。
この映画に救いはあるか?
(救いがあれば、とても好きな映画なんだが...)
- 『ジョンQ-最後の決断-』
デンゼル・ワシントン主演のヒューマン・ドラマ。
監督は、「インディーズの父」
(「グロリア」が本当に良かった)ジョン・カサヴェテスの
息子のニック・カサヴェテス。
映画は重病の息子を助けるため、病院に立てこもる
映画で、デンゼル・ワシントンの演技達者はさすがです。
話が話なんで、話は予定調和的に進むので、
意外性はないですが、とにかく人間の絡みが面白い。
この辺りが父親と似ていて、
父親のジョン・カサヴェテスも奥さんの
ジーナ・ローランズの人間臭さだけで
「グロリア」(シャロン・ストーン主演のリメークも
それなりに面白いが、元はもっと面白い)という傑作を
モノにしてますが、
本作もストーリがドウノコウノと言うよりは、
主演のデンゼル・ワシントン以下、
ジェームズ・ウッズ、アン・ヘッシュ、
ロバート・デュバル、レイ・リオッタと、
一昔前ならなんとも豪華な顔ぶれなんですが、
これらの人間臭さが、なんとも言えず映画に
厚みをもたらしています。
もちろんこれだけの人間が厚く描かれると、
2時間の映画に収まらないので、
それなりの描き方ですが、それなりがそれなりに
面白かった。
ところで、本作ではアメリカの医療制度の矛盾が
描かれていて、こう言うのを見ると、
もっとスェーデンのような手厚い保障、
というようなことが、つよく言われそうですが、
こういうものも、程度問題じゃあないかとも
思いますが。
なんでこんなことを言うかと言うと、
スェーデンと並んで素晴らしいと言われた
イギリスのNHS(ナショナル・ヘルス・サービス)が、
イギリスに1年住んでみて、崩壊していることを
知ったからです。
イギリスの場合、あまりに手厚すぎてその後に崩壊。
現在は、たとえば手を折って救急病院に行っても、
次の日にまわされたとか、手術2ヶ月待ちとか、
ひどい話ばかり。
ちなみに、スェーデンとかイギリスが
なぜこのような共産主義的政策が出来たかといえば、
第2次世界大戦の痛手が少なく、この分を
他の国よりも社会保障にまわせたわけです。
さらに、世界史的に見れば、これはもう例外もいいとこなわけです。
もちろん出来るに越したことはないですが、
やっぱバランス感覚と言うか、過ぎたるは及ばないというか、
イギリスのようにやりすぎて崩壊しちゃったら、
元も子もないわけです。
(イギリスの議会でも、医療問題か教育問題ばかりやってた。)
最後にネタばれになりそうな話題。
人間の心臓って、ああやって動くんだ、ということが
見れただけでも、この映画を見る価値ありです。
- 『ギャング・オブ・ニューヨーク(原題)Gangs of New York』
まだ、イタリア・マフィアもチャイニーズ・マフィアも
いない19世紀中ごろニューヨーク。
南北戦争まっただなか(日本では明治維新の頃)、
移民でゆれる激動と混乱の
ニューヨークを描いた映画。
アメリカって国は、200年前イギリスから独立したから建国出来た
とは一概に言えず、南北戦争を経て、はじめて国という形が
出来てきたわけです。
だからリンカーンは今でも人気が高いのです。
で、このころのニューヨーク。
なにもかも、ごった煮状態。
その中でアメリカ生まれの者と移民との抗争という縦軸と、
主人公、レオナルド・デュカプリオ、
キャメロン・ディアスの恋愛、
アメリカ政府とニューヨークの関係などを横軸に、
鮮やかにこの時代を描いて見せています。
もちろん、監督のマーチン・スコセッシは、
ロバート・デ・ニーロ主演の「タクシー・ドライバー」での
ラストの壮絶な銃撃戦(ほんと、未だにこの映像を超える銃撃戦を
見たことがない)とか、「レイジング・ブル」の
ドキュメント・タッチのボクシング・シーンとか、
ほんとこの監督、こういう映像を撮らせると本当に上手なんだけど、
どうもこの10年くらい、印象的なバイオレンス・シーンが
ないんですよねえ。
(あえて言えば、けりっぷりが良かった「グッド・フェローズ」とか、
まだ子供だったジュリエット・ルイスの
さけびっぷりが良かった「ケープ・フィアー」かなあ。)
さてこの映画で圧巻なのは、巨大なオープン・セットでの撮影。
こういうのって、ちょっと映画を見ただけではわからないですが、
映像の厚みがぜんぜん違いますから、
ずーと映画を見てると、やっぱ手応えが良いです。
こういうオープン・セットって、例えば
ジャッキー・チェン主演の「プロジェクトA」(NHKじゃあないですよ)で、
室内で乱闘していて、そのまま外へ逃げる相手を
窓から追いかけて捕まえるシーンをワン・ショットで撮影するとか、
見た瞬間にはわかりませんが、やっぱ映画として
重みを付けます。
まあこれが150億円と言う制作費になったわけですが、
それはそれで良いんじゃあないですか。
ところで、映画を見てると、19世紀の悪漢の服装って、ずいぶん
派手なんですが、昔は男性の服装は、派手なのが当たり前だったんです。
フランスのルイ16世とか、イギリスのビクトリア女王の前とか、
その時代の男性の服装は派手です。
日本でも、江戸時代の歌舞伎者(伝統演芸の歌舞伎の語源)だって、
プータローで派手な衣装で、女のナンパにあけくれる人達で、
今の若者と、あまりかわらないわけです。
で、男性の服装がだんだんダークになっていったのは、
徴兵制の広がりと共に、ダークになっていったわけです。
今の日本の若者が、派手な衣装なのは、
まあ平和な証拠ですねえ。
で、映画でも、徴兵制がアメリカでしかれたばかりで、
まだ精神的には自由だったので、あんな派手な衣装なわけです。
最後に、ダニエル・デイ=ルイス。
彼の演技は凄いですねえ。この映画の成功は、彼の演技によるところが
大きいと思います。
やっぱ俳優は悪役で光ります。
- 『マイノリティー・レポート(原題)Minority Report』
スティーブン・スティルバーグとトム・クルーズ。
この組み合わせだけで、見に行きたくはなります。
スティルバーグってのは、『プライベート・ライアン』の
トム・ハンクスとか、『インディー・ジョーンズ』のハリソン・
フォードの例もありますが、どっちか言うと、あまりビッグ・
ネームの俳優は使わない傾向の監督に思えます。
(というか、制作費がかかりすぎて、俳優の出演料が
たくさん出ない?)
だからよけい、この映画には興味があったのですが、
映画はとっても良かったです。
まあ、はっきり言って、今まで私は
スティルバーグの映画に対しては、
世間の評価ほどは高く評価していません。
『プライベート・ライアン』は確かに凄い映画で、
手放しで最大限の評価をします。
でも『シンドラーのリスト』って、なんかアカデミー賞ねらいが
ミエミエだし、演出も冗長だし、話は感動的だけど映画としてはナア、
リーアム・ニーソンの演技もイマイチだし。
同じような映画としては、『アミスタッド』もそうだなあ。
話は感動的だけど、映画としては冗長過ぎる。
『A.I.』も、最後30分は余分だしなあ。
『ジュラシック・パークIII』(「ジェラシック」じゃあ、ありませんぜ)に
至っては、いいかげんにせいよ、って気分です。
この人は『ジョーズ』や『インディー・ジョーンズ』みたいな映画に
徹して、間違ってもアカデミー賞をねらっちゃあいけません。
どうも『1941』でしくじったのがスティルバーグの
トラウマになってる気もしますが、私は『1941』は
好きですよ、ヒットしなかったけど。
で、前作『A.I.』が期待ほどじゃあない、というか、
前半はあれほど素晴らしいのに、
後半余分なシーンが多すぎてぶち壊し。
なんかいごごちの悪いラストでした。
ひょっとしたら、スティルバーグの映画には、ダラダラした
ところが多いので、彼は編集が苦手なんじゃあないんだろうか。
でも調べたら、スティルバーグの編集は、すべて
マイケル・カーンって言う人がやってるらしいので、
この人が駄目なのかなあ。
(ハリウッドは、監督に編集権がないのが普通。)
で、『マイノリティー〜』にもあまり期待していなかったんですが、
こっちの映画は、同じ人の編集だけど、実に上手い編集で、一気に
最後まで見せてしまい、実にきもち良いノリでした。
原作は『ブレード・ランナー』の原作のP.K.ディック。
やっぱディックは発想が凄いなあ。
で、ちょっとネタばらしになるんで、この先は
見てない人には気をつけて欲しいんですが、
この映画、近未来、冤罪で逮捕されるのも怖いけど、
未来を予言する超能力者3人で保たれている
システムってのも、脆弱じゃあないだろうか。
実際、1人が誘拐されただけで、アッと言う間に
働かなくなるシステムなんて。
超能力者の人権蹂躙もいいとこじゃあないだろうか。
せめて1日3交代制にして、有給休暇ぐらい
認めないと。
- 『マーサの幸せレシピ(原題)Bella Martha(英語題名)Mostry Martha』
この映画はとっても出来の良い映画です。
やっぱ最高のコックは、心の病を治すコックです。
見終わった後、とても爽やかな気持ちにされます。
この映画はドイツ映画なんだけど、E.U.なんかでグローバル化されてる
ヨーロッパらしく、なんか多国籍化した映画です。
だいたいが、「マーサ」という名前自体、
ドイツでは映画でも聴けるように「マータ」と
発音します。
それに原題の「Bella」って、イタリア語じゃあ...
まあ、この映画自体、厳格なドイツ人対いいかげんなイタリア人という
典型的な様相な映画です。
ところで、こういうことを某アメリカ人に言ったら、
『「ドイツ人とは」とか「イタリア人とは」とか、
人間をマスプロ的に各国の人を見るのは、偏見だ。
これだから日本人は...』と言われたことがあります。
まあ、アメリカ人の「差別や偏見をなくそう」という
高邁な理想は結構ですが、だからと言って
『だから日本人は...』という言い方自体が
マスプロ的偏見でしょう。
それにヨーロッパに行ってわかったけど、
ヨーロッパ人って、よその国の噂話(主に悪口なんだけど)が
とっても好き。
ヨーロッパ人こそ、「イタリア人って」とか
「フランス人って」とか言うのが、日本人以上に
大好きなんですよお。
別に日本人だけじゃあないよ。
それに、中国人も韓国人も、「だから日本人は」って言うしナア。
ま、話はそれたけど、良い映画でした。
- 『マドモアゼル(原題)MADEMOISELLE』
フランス映画。
夫と子供に恵まれ、会社の営業でもバリバリのクレール。
それがある日、ふとしたことで恋愛に巻き込まれる
話なんですが、この巻き込まれ方がなかなか素敵な映画です。
スタッフは良く知らない人達ですが、
脚本が秀逸で、最後までまったくストーリが読めず、
ついつい引きこまれてしまいます。
- 『ガーゴイル(原題)Trouble Every Day』
いつも思うんだけど、英語の原題とはまったく異なる
日本語題名『ガーゴイル』。
でしかも、ここまで日本語題名の方がインパクトのある題名だと、
映画における題名の役割までもが変わってくる気がしますので、
どうかとは思うのですが...
で、とにかくこの映画、『バッファロー66』の、
ヴィンセント・ギャロが出る、ってだけで
見に行った映画です。
『バッファロー66』は、ヴィンセント・ギャロが
監督・脚本・主役した映画で、
彼をして「初監督作品でマスター・ピースが
出来てしまった」と言わしめた映画ですが、
本当にそう言ってしまえるほど、凄い映画でした。
特に、ラスト・シーンでのイエスの名曲中の名曲
『燃える朝焼け』の秀逸な使い方が凄かった。
その他、モデル、芸術、音楽と本当に多彩な才能を
発揮しているギャロですが、こと映画に関しては、
『バッファロー66』以後、ミカ・カウリスマキの
『GO!GO!L.A. 』も、なんか存在感なかったし、
彼はどうなっちゃっているんだろう。
さて『ガーゴイル』である。
うーーーーーんんん、インパクトはある、確かに。
でも見ようによっては、出来の悪い『バイオ・ハザード』って
とこだよなあ。
まあ、気色悪い事に関しては、請け合いです。
でも、なんか取り留めのない内容。
実際、上映中、けっこうなお客さんが帰って行って
しまったんですが、お金とって上映してる以上、
もうちょっと見る人のことも、考えて欲しいです。
- 『ダーク・ブルー(原題)Dark Blue World』
『コーリャ愛のプラハ』がとっても良かった
チェコの監督ヤン・スヴィエラークの
チェコ・イギリス合作映画。
スタジオ・ジブリが関わってるので、
宮崎駿さんなんかが感想書いてるんですが、
どうもなあ...
内容は、第2次世界大戦のチェコ、ナチスの支配を嫌って
イギリスにわたり、ドイツ軍と戦ったパイロットの
物語なんですが、どうも戦後のエピソードを
入れたあたりが余分な気がします。
で、どうもこの映画、パイロットの愛と戦いを描いた
映画なのか、第2次世界大戦のソビエトの過酷な支配を
描いた映画なのか、ピントがずれてるんですねえ。
で、どうもスッキリしないんです。
たしかに戦闘シーンはそれなりに面白いですが、
それでも『パール・ハーバー』の戦闘シーンの方が、
(映画自体はつまらなかったですが)、ましだった。
で、『ダーク・ブルー』って、本当に面白いんでしょうか。
- 『旅の途中で(原題)FARDA』
『友達のうちはどこ』が本当に良かったイランの
映画監督アッバス・キアロスタミと、
日本のドキュメント映画監督中山節夫さんが
手を結び、日本とイランを結ぶロード・ムービに
なったわけなんですが、
まあ、ほのぼのとして、それなりの映画でした。
私はイランには行ったことないですが、中国の
敦煌よりさらに奥地のウィグル地区には
4回ほど行きましたが、同じイスラム圏なんで、
砂漠ということもあって、
風景がおそろしく似ています。
主人公の宍戸開がイランで乗せてもらうトラックの
運転手の演奏するドタールという楽器が
印象的ですが、これもウィグル地区で
ドゥタールという同じような楽器があります。
イランの日常風景が見れて、興味ある人には
なかなかな映画だと思います。
ちなみに、原題の「FARDA」は映画の中でも出てきますが、
「明日」という意味です。
以下は11月に見た映画です
- 『国姓爺合戦』
日本では、近松門左衛門により同名の浄瑠璃や
歌舞伎になった『国姓爺合戦』で有名なんですが、
この映画は中国映画です。
国姓爺とは、中国の明から清に変わる時、
明に中世を尽くして、明の皇帝の姓の「朱」を
名乗ることを許された鄭成功のことです。
彼の数奇な運命を描いた映画で、
中国だけあって、人民解放軍を動員して撮影した
モブ・シーンは良いんだけど、
スタッフも出演者も良く知らない
(まあ、監督は「南京 1337」の人らしいけど、
この映画は嫌いだし)し、
これだけ鄭成功の人生は面白いのに、
それが映画のパワーとして伝わってこないのは、
まことに残念です。
ところで、この映画の舞台となった17世紀、
アジアって元気があったんですねえ。
ヨーロッパの植民地支配もなんのその、って感じです。
まあ、この頃って、(16世紀ですが)たとえば信長の
持っていた銃の総数って、ヨーロッパのすべての銃の数よりも
多かった訳だし、イエスズ会のメンバーが、(日本制服の目的が
彼らの真意かどうかは知らないけれど)
日本に入ってきて、
いろいろスパイ活動(実際、世界中でキリスト教の布教があった
ところが、宣教師の持ち帰った情報をもとに、ヨーロッパ人は
植民地化したわけだから)しても、
武力では力の差が有りすぎるから、まともに行ったら
無理でしょう。
だいたいが、イギリスのエリザベス女王(1世)が
スペインの無敵艦隊を破った、と言っても、
その辺にいた海賊の寄せ集めの部隊だし、
当時はヨーロッパの軍隊って、基本的に寄せ集め。
信長のような常備軍ではなかったわけです。
だからヨーロッパ人は、まともに戦ったんではアジアでは勝てないんで、
たとえばインドでは内部分裂を起こさせ、内戦に乗じて
征服する、とっても卑怯な奴等なんです。
第1時世界大戦でも、ユダヤとアラブと両方と
取引をする二枚舌外交(もっとも映画「アラビアのロレンス」では、
アラブも上手いことやったことになってますが、実際は
ヨーロッパ人だけが、上手い目を見た)で、
卑怯なことやったわけですが、これが今のアラブ問題の
根本です。
(今のアラブ問題は、イスラム教が悪いんじゃなく、
歴史的に、もちろんヨーロッパ人が悪いわけです。)
話をこの映画に戻すと、鄭成功はオランダをやっつけるわけだけど、
やっぱ火力が違うし、それに何と言っても、火薬を発明したのは
中国人だし。
とにかく白人がバッタバッタと死んでいく、
珍しい映画です。
- 『ショウタイム(原題)Show Time』
ロバート・デ・ニーロとエディー・マーフィー。
この2人って、最近あんまり名前聞かないなあ。
もちろん、私はロバート・デ・ニーロの大ファン。
若きマーティン・スコセッシが、まだギラギラしていた
ロバート・デ・ニーロとハーベイ・カイテルで
撮った『タクシー・ドライバー』とか、同じスコセッシの
『レイジング・ブル』は最高でした。
『ゴッド・ファーザー・パート2』では、パート1で
わけのわからん凄みのあったマーロン・ブランドの、
本当にわけのわからん演技に答え、ドン・コルネオーレの
若い頃を、見事に演技していました。
これなら、晩年マーロン・ブランドのようになるのに、
十分説得力があります。
ところがロバート・デ・ニーロも80年代は凄かったのに、
どうも90年代には代表作がない。
私個人としては、『ミッド・ナイト・ラン』ってのが、
この類のアクションのロード・ムービでは最高傑作だと
思ってますが、若い頃のデ・ニーロを知ってる人間には、
物足りんはナア。
で、本作。
今やエディー・マーフィーって誰?って感じ。
同じようなキャラのアフリカ系アメリカ人が沢山いる現在、
彼の存在意義って何、ってところです。
主演女優のルネ・ルッソ、『トーマス・クラウン・フェアー』って、
本当に爽やか、スピーディ、気持ちの良い映画でした。
最近のボンド役ではどうも冴えないピアース・ブロスナム、
この映画ではルネ・ルッソと、いきいきと泥棒役を
やってました。
でも、「ショウタイム」のルネ・ルッソは、
もうずいぶん疲れた顔ですねえ。
で、この中年3人組みで、現役刑事をテレビ中継する話の
映画を作ったわけですが、監督のトム・デイの
演出にも、やや疑問。
この監督、前作の『シャンハイ。ヌーン』も、
大したことなかったし。
(ただ、この映画は、オーエン・ウィルソンが
大した事なかったので、ジャッキー・チェンが
いくら頑張っても、駄目だった感じです。
まあ、オーエン・ウィルソン自身は、自分で
脚本書いたりする才人なんだけど、俳優としては、
『エネミー・ライン』以外は、ちょっとナア。)
ただ、この冴えないメンバーの組み合わせが、
なかなか微妙な味わいを出していて、
それなりには面白かったったです。
- 『ザ・リング(原題)The Ring』
大ヒット和製ホラー映画の、ハリウッド・リメーク映画。
とにかく、和製『リング』は、本当に怖かった。
このコーナーで、何度も書いているように、
私は基本的にはホラー映画は、怖くないのです。
(私の考えでは、そんな、ちょっと祟る幽霊より、
一瞬で人類を滅亡させる権力を持ち、
しかも極めて危険思想の持ち主の、
アメリカのジョージ・ブッシュの方が、
よっぽど怖いです。)
そんな私なんですが、和製『リング』は、
本当に怖かったです。
けっきょくあの映画は、幽霊とか、超能力の映画じゃあなくって、
自分や子供が助かるためには、たとえ身内だろうと犠牲にする
人間の業の深さが怖いんです。
それに日本独自のドロドロとした、前近代的な
田舎の因習もからんで、もう本当に怖かった。
で、ハリウッド版『ザ・リング』なんですが、
こちらもなかなか怖かったです。
ただ、日本版が油がタップリのった秋刀魚だとすると、
アメリカ版は、湯でもかけて、油がすっかり抜けた
秋刀魚のよう。
ただ、まあそこそこは、怖いんですがねえ。
主役のナオミ・ワッツ。
デビッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』では、
カワイコチャンの役(しかもオ**ー・シーン付きという
サービスぶり)もなかなか良かったんですが、
本作は、なかなか深みのある役で、これはこれで、
なかなかのものだったです。
で監督のゴア・ヴァービンスキー。
この人、第1作の『マウス・ハント』はともかくとして、
第2作の『メキシカン』、もうハチャメチャで大好き。
ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツの
カップルの映画なんで、この2人のための映画と思いきや、
「とにかくメキシコって、メチャクチャだーーー!!!」
てな映画です。
いやあ、この映画を見た後だと、マジでメキシコには行きたくないです。
にしても、この2作品で、なぜ彼が『ザ・リング』の
監督に選ばれたのか、良くわからないです。
プロデューサの話では、映像感覚が優れているから、という
ことだったんですけど、私にはそうは思わない。
まあともかく、この監督で大成功。
日本版ほどは怖くないけど、まあそれなりに、
ほとんどのハリウッド映画のホラーよりは怖いものとなりました。
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋
(原題)Harry Potter and The Chamber of Secrets』
大ヒット映画の第2弾。
前作と同じく、監督はクリス・コロンバス。
クリス・コロンバスは、『ヤング・シャーロック・ホームズ』や
『ホーム・アローン』で有名ですが、
まあはっきり言って、コレッっていう映画はないです。
ただまあ、プロデューサの意向通り、無難な演出の
監督。
ハリー・ポッター・シリーズは、原作のローリング女史の
力が強すぎて、その意向に沿うような要求が
あったらしいですが、その点は、演出であまり冒険しない
クリス・コロンバスってのは、うってつけかもねえ。
で、第1作は、アメリカ人クリス・コロンバスが、
イギリス観光案内みたいな映画を作って、大ヒット。
イギリスに住んでいる日本人には、「本当のイギリスと比べると、
ちょっとなあ...」ってな感想を持った人が多かったと
思うんですが、本当のイギリスを知らない多くの
イギリス以外人間には、おおむね好評だったらしい。
(このあたり逆に、イギリス人ヒッチコックが、アメリカ人では
とても恥ずかしくて作れないアメリカ観光案内みたいな映画
(『北北西に進路をとれ』みたいな)をとったのと、
似てますね。)
で、本作。
前作でイギリスの風景をタップリ見せたので、本作では
あまりそこは見せずに、話に集中していて、良かったです。
ただまあ、無難なクリス・コロンバスの演出には
みな飽きてきたので、次回作では、
最近メキシコで『天国の口、楽園の終わり』が衝撃的だった
アルフォンソ・キュアロン(個人的にはキアヌ・リーブス主演の
『雲の上で散歩』が大好き)に変わるらしいです。
大ヒットの実績を引っさげて、次回作では思い切って
冒険するようで、この方針には大賛成です。
あと、個人的にはハーマイオニー役のエマ・ワトスンが
えらく大人びてきて、個人的には好みです。
ところでイギリスの小学校は11歳までで、
ホグワーツ校って7年生だから、教育制度が
どうなっているか、さっぱりわからない。
ちなみにイギリスでは、大学進学を目指す人は、
「シックス・フォーム」という高校に16歳で入って、
3年間で希望する3科目だけ勉強して、3科目で大学受験するらしい。
どうもホグワーツと整合性がとれないんですが、
どっか間違ってますか?
- 『サラーム・シネマ』
『カンダハール』という映画があります。
この題名はアフガニスタンの地名で、「カンダハールの悲劇」という
惨劇でも有名な地名です。
『カンダハール』は、アフガニスタン出身のジャーナリストの
ニルファー・パズィラが、自分の経験を元に、自ら主演して、
危険をおかしてアフガニスタンで撮影した映画です。
この映画が作られたのは、まだ911以前。
カンヌに出品(結局エキュメニック賞という、人道的な
賞を取った)しても、記者から
「こんなアフガニスタンのような重要でない地点を、
なぜ映画化したのか?」などという、こころない
質問もあったらしい。
(911以後は、この質問をした記者が、非難されたが、
この記者を含め我々はほとんど、911以前はアフガニスタンには
興味がなかったですからねえ。)
で、この『カンダハール』という映画は、はじめは
ニルファー自身が監督する予定だったんですが、
やっぱり気が変わって、イラン人で、すでに
『サイクリスト』などで高い評価を得ている
モフセン・マフマルバルに、監督を頼んだわけです。
今思うとマフマルバルも良く引きうけたなあ、と思いますが、
映画は困難を乗り越え、素晴らしい出来だったわけです。
で、このマフマルバルが『カンダハール』の前に、
1995年にイランで撮影した映画が、本作の『サラーム・シネマ』という
映画です。
この映画は、映画のオーディションに集まるさまざまな人々を、
ドキュメントのように撮影された群像映画です。
なんか昔のフェリーニの映画を見ているような気もするんですが、
現代のイラン人の本音が色々出てきて面白いです。
- 『チャドルと生きる(英語題名)The Circle』
ヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞したイラン映画。
イランの普通の街角。
そこで暮らす女性達の過酷な現実を、
淡々と描いた映画。
なかなかイランの実情がわかって面白い映画なんですが、
それだけでなく、興味深い手法が取られています。
カメラがある女性を追う。
で、その女性が他の女性にかかわると、
こんどはそっちの女性にカメラの焦点が移るのです。
こう言った手法は、香港のワン・カーウェイ監督などが
得意なんですが、1歩間違えれば、トンデモ映画になる
可能性大なんですが、この映画は上手くまとめたと
思います。
ところで、題名の『チャドルと生きる』というのは、
なんか元の題名と違うような気がします。
まあ、たしかに映画の中に「チャドル」は出てきますが、
映画の中心的役割は果たしていない。
英語原題の「The Circle」の方が、次々といろんな
人がつながっている感じがして、良いような気がしますが。
- 『TAMALA 2010』
日本のアニメ映画。
単純な線で描かれた猫のTAMALAが主人公で、
可愛い顔してドギツイことを言うのがウリらしいですが、
あまり上等なギャグじゃあないですね。
巨大会社による支配の構造とか、
子供達が見る夢とか、プロットは面白い(と言っても、
過去の映画の焼き直しが多いけど)んですが、
どうもそれが、こなれていないんです。
この監督には、次に期待します。
- 『プロフェシー』
リチャード・ギア主演の怪奇映画。
謎の予告とか、謎の物体とか、けっこう見せ所は
多いんですが、はっきり言って、蛾男あたりから話が変です。
結局これって、アメリカの都市伝説の映画かいなあ。
実話に基づいて描かれている映画らしいですが、
実際のこの事件は解決されていないんで、
映画を見終わった後でも、
「何これ?」って感じで、良くわからん映画だった。
- 『モンテ・クリスト伯(原題)The count of Monte Cristo』
おお、『モンテ・クリスト伯』ですかあ。
もう小学校の時、繰り返し繰り返し読んだ小説です。
(夏休みの読書感想文で、これでクラスの代表になったんです。)
大好きな小説なんだけど、そういうのの映画化ってのは、
なかなか難しいなあ。
でも、原作は本当に面白いから、この映画もなかなか
面白かった。
もちろん映画用に、ストーリは脚色されてますが、
脱獄するシーンなんか、本当に緊張しました。
主役のジム・カヴィーゼルは、彼の持ち味を十分出したと思います。
オーストラリア映画の『プリシラ』で女装していたガイ・ピアースとか、
『ハリー・ポッター』で校長役をやっている故リチャード・ハリスとか、
なかなか見せます。
ただ、監督のケヴィン・レインズの演出には、疑問があります。
原作は長いので、これをそのまま映画化するのは難しい。
しかしこの映画は、原作を比較的忠実に、なぞろうとして、
なにか、それぞれのシーンが十分に描ききっていないような気がします。
復讐する人間を1人ぐらい減らしてストーリを整理し、
1つ1つをじっくりと描いた方が良かったかも。
ま、しかし、どっちにしても面白かった。
- 『天国の口、終わりの楽園(スペイン語原題)Y TU MAMA TAMBIEN』
人生には、思いがけない出会いがある。
人生観が変わってしまうような映画がある。
たとえば、小学校の時に、今はなき名古屋のヘラルド会館の巨大スクリーンで
見た『2001年、宇宙の旅』。
これは凄かった。
こんな映像、見たことなかった。
浪人中に河合塾の牧野先生が授業で黒澤明の『生きる』を薦めていたので
見に行ったら、併映していた『椿三十朗』に、完全に打ちのめされた。
大学生になって見た『スター・ウォーズ、エピソードW』(第1作)。
あまりにその当時、見たことのない映像に衝撃を覚え、1日に4回見てしまった。
(当時は、1日中レーズン・パンを1斤かかえて食べながら、
1日4本くらいは、良く映画を見てました。)
今の妻と学生時代デートで見に行ったテリ-・ギリアムの『未来世紀ブラジル』。
あまりに衝撃的な内容に、妻との仲が壊れかけた。
スティーブン・キングの『ショーシャンクの空に』は、
そのさわやかさに感銘を受けた。
で、そういった映画の1つにキアヌ・リーブスが主演した
何とも不思議な味わいの『雲の中で散歩』という映画があります。
ようするに私のお気に入りなんですが、この映画の監督が
『天国の口、楽園の終わり』の監督のアルフォンソ・キュアロンなんです。
もともとはメキシコでテレビや映画を撮っていたんですが、
映画の上映をめぐり政府と対立し、ハリウッドに活動の拠点を移したという
変わり者。
で、第1作の『リトル・プリンセス 小公女』はどうでもいいんですが、
ハリウッド第2作『雲の中で散歩』で実力を認められ、第3作は
ロバート・デ・ニーロ、イーサン・ホーク、ヴィネス・パルトロウ、
アン・バンクラフトという豪華メンバーのディケンズ原作の
『大いなる遺産』を撮りました。
(ただ『大いなる遺産』は、私はあまり好きな映画ではないです。)
で、その後メキシコに帰ってきて撮った映画が本作『天国の口、楽園の終わり』
なんです。
で、期待たっぷり。
ちなみに、ハリー・ポッター・シリーズ第3作『ハリーポッターと
アズカバンの囚人』も、彼が監督する予定です。
これは、第1作が、作者のローリング夫人の影響力をあまりに
考慮しすぎて、無難な監督クリス・コロンバスを持ってきて、
彼のイギリス観光案内のような内容の映画作りが成功したんだけど、
そのやり方では、そろそろ第3作はマンネリになるだろう、ということで、
思い切った監督をあえて持ってきたんじゃあないだろうか、
と思えます。
さて、『天国の口、楽園の終わり』。
久しぶりにキュアロン監督が自分のホームのメキシコで、
思いっきりはじけてますね。
この元気の良さは、買えます。
メキシコの若者の無軌道なロード・ムービなんだけど、
ラスト、真実がわかったときに、この映画がもつ生命力の
秘密がわかります。
主人公には、(もう心臓が本当にバクバクした、本当に興奮できる)
『アモーレス・ペロス』ではじけていたガエル・ガルシア・ベルナルを
持ってきました。
これが大正解。
その他の出演者も、どういう人か良くは知らんが、良かったです。
それと、哀愁を帯びた撮影も良いんですよねえ。
『赤い薔薇ソースの伝説』(この映画も、本当に良かったです)で
注目を集め、『リアリティー・バイツ』、
『スリーピー・ホロウ』、『ジョー・ブラックをよろしく』、
『アトランティスのこころ』、『アリ』と、どれをとっても
独特な感覚が光る撮影監督のエマヌエル・ルベツキーが
やっぱり上手いです。
ところで、最後に原題『Y TU MAMA TAMBIEN』の意味ですが、
「おまえの母親と*った」というような意味らしいです。
- 特別編(テレビ・ドラマ)『サイコ・ドクター、11月13日版』
前にも書いたように、私はテレビ・ドラマは
ほとんど見なかったんですが、最近は妻につられて
結構見るようになってしまった。
で、水曜日は、9時から「天才、柳沢教授の生活」、10時からは
「サイコ・ドクター」と、週間モーニングに連載されている
漫画が元のドラマが続くので、両方見てます。
で、11月13日の「サイコ・ドクター」は、うつ病の話だったのですが、
私も知り合いでうつ病の人がいて、それで身近に知っているので、
ずいぶん興味深かったですが、この「サイコ・ドクター」は、
なかなかしっかり調べてあって、うつ病の良い啓蒙番組だと
思います。
まづ問題なのが、なかなかまともな精神科医(今は神経科と言わないと
いけないらしいですが)がいないという現実があります。
私もそのうつ病の知り合いと、ずいぶんいろんな医者をめぐりましたし、
カウンセリング、断食療法、自然食療法と、
良さそうなモノは片っ端から試してみましたが、
本当にまともな医者が少ないのが実感です。
「サイコ・ドクター」の主人公「かいきょうすけ」のような
特別に良い医者でなくても良いのですが、まともな医者が
なかなかいない。
やっと今の医者にたどり着いて、なんとかかんとか
その知り合いもやってますが、その医者だって
特別に良い医者と言うわけではないですが、
当たり前の治療を当たり前にやってくれる、という
だけですが、これがなかなかいないんです。
「サイコ・ドクター」もそのあたりを上手く突いていて、
まともな精神科医が少ない現状を、上手に描いてます。
で、経験上、良い医者に巡り会うには、
とにかくいろんな医者を回る、医者には特別なことを
期待しない、てなところでしょうか。
それから、うつ病の人には「がんばれ」とかの
励ましは、絶対言ってはいけない、というのも
「サイコ・ドクター」で上手に描いていました。
あと、うつ病には薬はそうとう有効、というのは、
今では広く知られたことですが、精神科医の中でさえ、
薬の使用に懐疑的な人が多くいる、というのも、
そのとうり。
それから、神経科の病院に通っている、というのは
普通の人は秘密にしたがることですが、
やっぱりこの病気は、回りの理解がないと
なかなか治りにくい病気なんで、
「サイコ・ドクター」のうつ病患者のように、
はやく家族に知れた方が良いわけです。
まあ、このドラマで描かれているうつ病は、
平均的なケースなんで、本当にみながこんなに
速く治るとは限らないだろうし、
テレビでは「絶対治る」と言ってましたが、
一生治らない人だっているわけですので、
そのあたりは注意が必要ですが、
それでもこのテレビ番組は、
平均的なうつ病患者の、良き啓蒙になったと思います。
- 『セレンディピティ(原題)Serendipity』
偶然によって結びつく二人を、ジョン・キューザックと
ケイト・ベッキンセールがさわやかに演じます。
ケイトは『パール・ハーバー』では、ただの美人って
感じで、あまり印象に残っていないのですが、
本作では、なかなか演技達者なところを見せています。
まあ、こういった偶然で結びつく二人という
モティーフでは、私はノーラ・エフロン監督、
メグ・ライアン、トム・ハンクス主演の『めぐりあえたら』が
最高傑作だと思ってますけど、
『セレンディピティ』もそれなりに面白いです。
- 『チェンジング・レーン(原題)Changing Lanes』
ベン・アフレックスとサミュエル・L。ジャクソン。
けっして人生で出会うことのないはずの二人が、
接触事故を起こしたところから、二人の人生は
狂い始める。
サミュエル・L。ジャクソンの的確な演技
(『パルプ・フィクション』の殺し屋、ベルリン映画祭で
男優賞をとった『ジャッキー・ブラウン』、『交渉人』、
『シャフト』、ぜんぶ同じ人とは思えない演技の広さですねえ)
はもちろんなんだけど、この映画のベン・アフレックスは
本当に良いです。
彼のベスト映画になるんじゃあないだろうか。
あと、久しぶりのウィリアム・ハート、(男性の
オ**ー・シーンがさんざん出てくる『ハピネス』の)
ディラン・ベイカーとか、気になる俳優も出ています。
で、はじめに言って置きますと、この映画はすごく面白い。
でも以下の感想の中にはネタばれになる危険性がありますので、
まだ映画を見てない人は、注意してください。
接触事故というちょっとの偶然から、大きく人生が変わる、
というのは、まあ映画のストーリ的には、
よくありすぎる話。
で、これが並の監督だったら、人生が狂ったベン・アフレックスと
サミュエル・L・ジャクソンとのサスペンス映画となるんだけど、
本作は色合いが、ちょっと違うんだよなあ。
監督は、『ノッティング・ヒルの恋人たち』のロジャー・
ミッチェル。
彼の人生への深い洞察により、映画は思わぬ方向へと
向かう。
そもそも、この二人、接触事故により、
自分の人生が大きく狂った、と思ってるらしいが、
どうも、それ以前に問題があるように思える。
だいたいが、そんな大事な裁判なら、もっと余裕を持って
行くだろうに。
それに運転中に携帯で事故るって最悪。
つまりこの二人、接触事故以前に、なんかこう、人生に対する
姿勢の問題って感じがする。
ベン・アフレックスの役って、一見、悪になりきれない中途半端な
悪人と言う感じですが、そうじゃあなくって、
基本的に人生に対してポリシーがないので、悪にも善にも
中途半端ってことでしょうねえ。
いっぽう、サミュエル・L・ジャクソンの方も、
妻の言葉どおり、トラブルを自分から引き起こしてしまうタイプ。
やっぱ、この接触事故がなくても、離婚だろう、普通。
で、この二人が出会って、争っていくうちに、自分を見つけていく
過程の映画、というふうに、私は位置づけています。
その過程の描き方が、なかなか鮮やかなんです。
そして最後が良いですねえ。
とにかく得した気分になる映画です。
最後に、つまらん事なんですが、『チェンジング・レーン』という
題名が気になります。
やっぱ文法的には『チェンジング・ザ・レーン』か
原題どおり『チェンジング・レーンズ』と複数形にするのが
正しいんだろうなあ。
たしかに英語って、文法的には少々間違っていても、
とにかく通じればよい、と言う側面もありますが、
それではやっぱり限界があります。
単数、複数、冠詞、こんな中学校ではじめに習うことが、
意外と大事なんですけど、映画の題名を見てると、
ここらがメチャクチャ。
たぶん日本人が単数、複数、冠詞が苦手なのは、
カタカナ英語がこう言ったことを多く間違ってるので、
なかなか正しい英語が身に付かないんじゃあないだろうか。
日本人以外だと、比較的みな自然と身に付くみたいなんだけどなあ。
ちょっと例をだすと、「イエロー・ページ」ではなく
「イエロー・ページズ」と複数です。
(1ページの電話番号蝶は、多分ないでしょう。
辞書にも、「かならず複数形で使う」と書いてあります。)
豆もたいてい複数個出てくるから「ビーンズ」、
バナナも「ばななす」って言うほうが多いかなあ。
私がなるべく英語の原題もここで載せてるのは、
そういうことも意識してほしい、ということです。
- 『漢方の王様』
日本人実業家、市川は、ある日、北京で中国医学の
名人に出会う。
で、その技に感動した市川は、日本からの
中国医学ツアーを企画する、ってな内容です。
中国医学の凄さを、これでもか、これでもか、と
宣伝するような映画なんですが、実際のところ凄いので、
まったく嫌味はありません。
私も中国でサソリのから揚げ(とはいっても、
サソリは食用に養殖されたもので、毒は子供のときに
抜いてあるそうです)とか、牛のペ*スとか、
食べたことがありますが、美味しいですよお。
ここ10年くらい北京ではゲテモノ・ブームで、
北京の裏路地に入ると、宣伝用に籠に蛇が入れていったり、
サソリが入れてある店があります。
ところで、この映画で一番気になったところ。
この家のトイレって、どうなってるんだろうか。
私がはじめて中国に行ったのが今から16年前ですが、
その頃は北京で、公衆トイレで大をしようとしても、
扉がなかったです。
壁も胸の高さくらいしかない。
しかも、隣の人としゃべりながらしてたりして、
2度ビックリです。
いまはワン・フーチンに外国人用の有料公衆トイレも出来て
状況は良くなってるかとは思いますが、
昔は北京空港で、トイレに扉が付いているにもかかわらず、
(扉を閉める習慣がないのか)扉を開けたままやっている
人がいまして、ビックリしました。
奥地に行けば、扉がないどころか、屋根がない、壁がない、
おまけにたいていは、とても汚いのです。
(外でやったほうが、よっぽどスッキリします。)
とにかく中国の公衆トイレってのは、究極の汚さなんですが、
チャン・ユアン監督の「ただいま」なんて映画では、
あの綺麗な綺麗な刑務所の女性看守が、北京市内の
公衆トイレに行くシーンがあるのですが、
あの汚いトイレで、どうやって用をたすのだろうか、
と言うことの方が、気になりました。
中国を(普通のツアーではなく)ディープな旅をしたければ、
トイレの克服が第1条件。
(逆にトイレの体験が、中国体験とも言われてますが。)
最後に、この市川がはじめたツアーは大評判になったらしい
(ということは、実話?)のですが、
後発の大手代理店の同じような企画におされ、苦戦しているというのが、
日本らしいオチですか。
- 『ディナー・ラッシュ(原題)Dinner Rush』
ニューヨークのイタリア・レストラン。
かつては家庭的な味で評判だったレストランも、
今では店のオーナーの息子が有名シェフとなり、
大繁盛するまでになった。
店のオーナーは安泰なんだけど、ある日親友が
殺されて、店にはギャングはやってくる、
刑事もやってくる、芸術家もやってくる、
料理評論家もやってくる、
とにかく忙しい夜が始まった、
てな内容です。
なかなか、普通じゃあ見られないレストランの裏側を、
丹念に描いてまして、好感が持てます。
- 『OUT』
原作は、江戸川乱歩賞と直木賞を受賞した桐野夏生の代表作らしい。
で、この「OUT」は「このミステリーが凄い」で
第1位に選ばれたらしいのですが、私はまったく知らない。
監督は『愛を乞う人』の平山秀幸。
ありゃあ、シリアスな映画だったけど、けっこうちゃんとした
見所と内容のある映画だった。
今度はその『愛を乞う人』の原田美枝子と賠償美津子という芸達者を引き連れ、
室井滋というボケ役と、『ナビィの恋』で沖縄の能天気に
すっかりハマッテしまった西田尚美という名脇役をしたがえ、
痛快娯楽映画になると思いきや、
うーーーん、これがいまいちはじけない。
4人の絡みは、絶妙なんだけどねえ。
なにが原因なんだろう。
それほど悪い映画じゃあないんだけど、この内容で
「このミステリーが凄い」の第1位と言われたって、
納得できんわナア。
まあ、それなりには面白いんだけど。
それにラスト・しーんは、もっとぶっ飛んだどんでん返しが
あっても良かったような...
- 『たそがれ清兵衛』
あの『寅さん』シリーズの山田洋次監督で、松竹で作られた
映画となると、私の苦手のパターンなんだけど、予想に反して、
物凄く面白い映画でした。
『寅さん』シリーズって、はじめの第1作はNHK用のドラマとして
作られたんですが、それはなかなか面白かったんです。
(私は小学生の時に見た。)
だいたい、テキヤの世界を描いたテレビ・ドラマなんて、
当時珍しかったし。
ただその後、偉大なるマンネリと言うか、どうも一度成功した
パターンを踏襲していくのって、私の趣味ではないのです。
それと、松竹と言う映画会社。
まあいわゆる大船調、あの黒沢明だって、松竹で撮る
(ドストエフスキーの『白痴』ですが)と大船調になってしまう。
その大船調も、小津安二郎のような、超マイペース型だったら
いいんだけど、普通の監督が大船調に巻き込まれると、
まったく私の趣味ではなくなるんですねえ。
で、山田洋次監督に大船調、どうなるんだろうと思って見てきましたが、
まったくけっこうな出来でして、本当に面白い時代劇になってました。
この映画でまず目に付くのは、電気のない時代、部屋の中って
本当に暗かったんですねえ。
かつてはフィルムの感度が悪かったから、この暗さで撮影しようとすると
どうしても粒子が粗くなる(それでもキューブリックの『バリー・リンドン』
のように、ろうそくの明かりだけで撮影した映画もありましたが、
そのためにろうそく400本で照らしたらしいです)んですが、
今の技術では克服できるらしく、ソフィー・マルソー主演の
『ファイアー・ライト』とか、本当に暗さが表現できるように
なりました。
時代は幕末、風雲急を告げる時代ですが、田舎の小藩の小役人に
とっては、まだそれが実感できてなく、きわめて暢気。
映画では、この時代の生活を、実に丁寧に描いていまして、
好感が持てます。
そして、ハイライト・シーンは、真田広之演じるたそがれ清兵衛の
そうぜつな切り合い。
これがフィルムの長まわしを多用して緊迫感十分。
これを見るだけでも、この映画を見る価値あり。
黒沢明の『椿三十朗』のあまりにも有名なラスト・シーンも
そうですが、やっぱ長まわしは迫力があります。
最後に、こう言った映画を見るに付け、日本人って本当に
えらいなあ、と思ってしまいます。
(たそがれ清兵衛を慕う宮沢りえも、本当にえらいです。)
たとえば娘が、「縫い物を習うとお金になるから役に立つけど、
学問すると何か役に立つことがあるのか?」という質問に
対するたそがれ清兵衛の答は、実に見事なものです。
子供のこう言った質問に、この見事な答が出来る日本人って
本当にえらいです。
(どう答えたかは、映画を見てください。)
たとえ生活が貧しくっても、みなちゃんと寺子屋に行く。
日本が明治になった時、全国にスムーズに義務教育が
布告できたのも、江戸時代にすでに寺子屋と言う優れた
教育システムがあったからで、明治の初期、
圧倒的に教員が足りないところを、寺子屋の先生が
代用教員で凌いだそうです。
思うに現代、発展途上国(または先進国の一部?)において、
なかなか義務教育が上手く行かないところが多いのに、
日本は明治時代にすでにその問題をクリアーしていて、
そのモトは江戸時代に有ったのですから、
やっぱ日本人って偉いです。
- 番外編『テレビ・ドラマ、アルジャーノンに花束を』
私はテレビで映画やドラマをほとんど見ない。
映画館で映画を見るだけなんですが、こんかいは
あの名作中の名作、「アルジャーノンに花束を」が
テレビ・ドラマ化されるということで、
興味が有ってみてますが、そろそろ失望しています。
この小説は、ダニエル・キースがはじめ中編小説として
書いたモノですが、評判が良くて、のちに長編小説になり、
30年以上たった今でも人気の高い、
傑作中の傑作です。
(でも私は、中編の方を英語で読んだだけなんだけど。)
のちに映画化されたんだけど、「まごころを君へ」と
言う題名は、なんだよなあ。
舞台化もされてますが、なかなか良かったです。
まあ、主人公のチャーリー(テレビ・ドラマでは「ハル」って
名前だけど、何か変)の役のユースケ・サンタマリアに
「ギルバート・グレイブ」のレオナルド・デュカプリオや
「レイン・マン」のダフティン・ホフマン並の演技を
期待するのは無理として、
制作スタッフに、原作に対する愛情も尊敬も見られない
のにはがっかり。
かんの美穂もインタビューに、「和気アイアイとやってます」
なんて言ってるが、もっと緊張感ある演技をやって欲しい。
それよりも、第5回目で、すでに疑問点だらけ。
もともと精神薄弱者だったハルは、パン屋の女主人に引き取られますが、
そこで毎日、仲間達から馬鹿にされたりいじめられたりしていますが、
ヘラヘラとしています。
ところが、ハルは大学の実験によりいきなり知能が
上がり出して、自分が馬鹿にされてることに抗議したり、
パンを作る過程に問題点があることを指摘します。
するといきなりパン屋の同僚に殴られる。
パン屋の女主人(「オセロ」というコメディーの片割れらしいですが)は、
ハルの部屋に行き、
「私はあなたの母親代わりなのよ」と
諭そうとするが、
ハルはその欺瞞を見抜き反発、パン屋を出ることに。
ここで私があえて「欺瞞」と言う言葉を使ったのは、
この女主人の対応には大きな問題が有ると思えるからです。
だいたが、もし母親代わりだったら、職場でいじめられてる
自分の子供を、今までほっとくだろうか?
しかも、いじめてるやつを諭せるのは、
その女主人だけではないか?
なにか、この番組って、社会で働く精神薄弱者をいじめることを、
「まあ、みんな、(その精神薄弱者をのぞいて)気分良く
働けるんだったら、いいじゃん。本人も気にしてないようだし。」
ということを、肯定しているみたいで、とても、やな気分になります。
いうまでもないことですが、このような社会的弱者は、
いかなる理由においても、いじめや差別することは、
人間として許されません。
もちろん人間というのは完璧ではないですから、
かんぜんにいじめや差別をなくするのは難しいですが、
それでも少なくしていく方向に努力をすることが、
大事だと思います。
しかるにこの番組、いじめている人間を諭せる唯一の人間であり、
いじめられている人間の母親代わりの人間が
何もしてこなかった言うのは、それだけでとても変です。
ようするに、この女経営者が何と言おうと、
やっぱ自分の店の従業員が上手く行くことが大事なのであって、
ハルに愛情めいたことを言えば言うほど、
それは欺瞞に見えるので、やなんですよねえ。
もし店が大事で、精神薄弱者を世話していることは、
ボランティアか何かだったら、
「母親代わり」なんて言わずに「養育者」とでも
言うべきです。
母親の代わりには、なれないわけだから。
それとハルが殴られたとき、普通は殴った方を注意するでしょうに。
まあ、その後ハルがつかみ返したのを五分五分と見たって、
まずは殴った方に注意を与えるのが筋でしょう。
もしハルに諭すので有れば、やっぱりその後ですよお。
やっぱ、この女主人の対応は変です。
たぶん、普段から女主人がハルに対するいじめを黙認してきて、
それを他の従業員も薄々気づいていて、
それがいじめの助長に繋がって行ったんだろうなあ。
と、ここまで書いて、これって日本の小学校でおこってる
いじめ問題そのままじゃあないかあ。
まず小さないじめがあって、でも先生もめんどくさいから黙認していくうちに、
どんどんいじめが大きくなって、取り返しがつかなくなる。
うーーーん、たしかにテレビ・ドラマ版「アルジャーノンに花束を」って
奥が深いなあ。
他の大部分の視聴者も、たぶんこのドラマがそう言った
問題をはらんでいることに、ほとんど気がつかないってことは、
こういったいじめって、きわめて日本的なんだあ。
だから、ドラマを作っている方も、
気がつかないんだあ。
で、この後、やな展開は、、、って書こうと思ったけど、
ネタばらしになるので、やめておきます。
ただ、テレビ・ドラマは原作を読んだ後で見た方が
良いですよお。
原作の方が遥かによいから。
テレビ・ドラマを先に見ると、ネタ・バレの後で小説を
読むことになり、そりゃあつまらんからなあ。
テレビ・ドラマの方は大したことないから、ネタ・バレの
後で見ても、大したこと有りません。
以下は10月に見た映画です
- 『ルパン3世、カリオストロの城』
うーーん、ルパン3世誕生35周年を記念して、
映画館で上映していたので、見てきました。
まあ、今のアニメのレベルから行くと、ずいぶん
稚拙な絵柄なんですが、そこはそれ、宮崎駿独特の
非現実的空中ぶっ飛び感がありまして、
ほんと気分良く飛んでます。
アニメなんで、そういう非現実的なところは多少
目をつぶるとしても、さすが宮崎駿、いかにも
絵の細かいところにも、いかにもそれっポイのが、
良いですねえ。
たしかにヨーロッパ行けば、こんな風景があるし、
廃墟のお城も、それっぽいし、
やっぱ上手いは、この人は。
ルパン3世は、はじめてテレビ・アニメで放送された
時には、原作漫画のテイストに近いものがあったんですが、
その後、人気が出て、2シリーズ目が放映されたときには、
もとのイメージから、離れました。
『カリオストロの城』は、劇場公開用としては第2作なんですが、
もとのテイストに近いものがあります。
が、やはりウリは、クラリスさまのかわいさ。
やっぱこれでしょう。
誰でもロ**ンになりそう、というけなげさが良いです。
とくにラストの、「おじさま、連れてってください。
今は泥棒できませんが、きっと憶えますから。」と言う
台詞が泣かせます。
(わたしも姪っ子に、「おじさま」と呼ばせてます。)
- 『トリプルX(原題)New Breed of Secret Agent』
ヴィン・ディーゼル主演のアクション映画なんだけど、
そのぶっ飛び方が半端じゃなく面白い。
世界中で大ヒット、第2作も製作決定なのもうなずけます。
ちょっと前に紹介した『9デイズ』でも、新しいタイプの
スパイが出てきますが、やっぱクリス・ロックじゃあ
ぶっ飛び方がたりません。
その点、ヴィン・ディーゼルなら、もうメチャクチャやってくれまして、
ほんと良いです。
監督は前作『ワイルド・スピード』(でもこの題名、ダサいなあ。
なんで原題どおり「Fast and Furious」じゃあいけないんだろう。
こっちの方がカッコいいのに。)でもヴィン・ディーゼルと、
きっちりぶっ飛んでいた、ベテランのロブ・コーエンなんだけど、
この人、年齢を感じさせないセンスの良さがあります。
ヴィン・ディーゼルって人は、まあ『プライベート・ライアン』に
出てたのは有名なんだけど、私のお勧めは『ピッチ・ブラック』。
この映画は本当に面白いSF映画だったんだけど、
ヴィン・ディーゼルの魅力も、たっぷりでした。
で、『ピッチ・ブラック』での寡黙なヴィンに比べると、
本作はちょっと喋りすぎかなあ。
本当は、黙々とお仕事をするのがカッコいいのに。
でもその分、ぶっ飛ぶとこはキッチリぶっ飛んでいて、
やっぱ映画は、半端はイカン、という例ですね。
いやあ、久々、気分良い映画でした。
- 『スズメバチ(原題)Nid de Gepes』
フランスのアクション映画なんだけど、とにかくハチャメチャで
物凄く面白かった。
フランスって、私が小学校の頃って、ジャンポール・ベルモンテの
『華麗なる大泥棒』とか、けっこうアクション映画が良かったんです。
もちろんハリウッドとは比べ物にならないけど、それなりに
良いアクション映画を撮っていた。
その前の時代だと、『死刑台のエレベータ』(映画と
マイルス・ディビスの音楽は最高なんだけど、
なんでフランスの警察官ってこんなに間抜けなの)
とか、アラン・ドロンが一躍有名になった『太陽がいっぱい』とか、
ストーリは破綻していた『勝手にしやがれ』とか、
なかなかこうやって並べてみると、凄いんですよねえ。
『タクシー』のような映画もありますが、
まっ、『タクシー』はやっぱちょっと小粒で中途半端かなあ。
最近ですと『メルシー!人生』のような秀作コメディーも、
やっぱ小粒です。
リュック・ベッソンやパトリス・ルコントは凄いけど、
なんかあっちの世界に行っちゃってるし。
(おっと、『アメリ』は良かったなあ。
もう最高!
ジャン・ジュネ大好き。)
で本作は、そのフランス映画全盛時代を彷彿させるわけじゃあ
ないですが、
とにかく撃ってる弾の数が、半端じゃあない。
うーーーん、やっぱこのくらい撃たなきゃアなあ。
そして、マフィアのボスに、この仕打ち、
これが最高ですね。
- 『クイーン・オブ・ザ・バンパイア(原題)Queen of the Damned』
アン・ライスという人のヴァンパイア・シリーズ
「ヴァンパイア・クロニクルズ」という小説が
有名らしいんですが、私は良く知らない。
で、この小説を元にして作られた映画『インタビュー・ウィズ・
ヴァンパイア』が、トム・クルーズ、ブラッド・ピット、
クリスチャン・スレータ出演で大ヒットしました。
ただ、主人公レスタトのイメージが、トム・クルーズとは違う、
とアン・ライスは異論を唱えていたらしいですが、
物凄い減量を行って、頬が落ちたトム・クルーズを見て、
納得したらしいです。
で、本作、主人公は同じレスタト、彼を演じる
スチュワート・タウンゼントを見て、アン・ライスは
イメージ通りと満足したらしいですが、
たしかに彼のレスタトは、カリスマと呼ぶにふさわしい、
魔王降誕という感じで、凄みがあって良いです。
そのほかにも、クイーンのアリーヤも凄いです。
この人は歌手で大成功した人らしい。
ただ映画は、ジェット・リーの『ロメオ・マスト・ダイ』は
たいした事なかったし、印象にない女優なんですが、
本作はクイーンの役にふさわしいですねえ。
凄いです。
飛行機事故で死んだのは、本当に惜しいです。
その他にも、マハレット役のレナ・オリン。
彼女主演の『蜘蛛女』は、あのゲーリー・オールドマンを
貶める女マフィア役で、本当に凄い映画でした。
一転、ジュリエット・ビノーシュ主演の『ショコラ』では、
物凄く繊細な役で、精神的に追い詰められた人間を演じ、
すばらしい演技でした。
とまあ、出演者はビッグ・ネームはなくとも
印象深い人間だらけで面白いんだけど、それ以上に
吸血鬼レスタトとパンク・ロックの組み合わせが
凄い。
こういう映画にロックを使うと、いまいちの場合
(たとえば『ベルベット・ゴールド・マイン』で、映画は
良いんだけど、音楽をほとんどロキシー・ミュージックが
やってて、そこが物足りない)が多いんだけど、
この映画のパンクは良いですよお。
欲を言えば、もっと聞かせてほしい。
- 『9デイズ』
アンソニー・ホプキンス、クリス・ロック主演の
アクション映画。
とはいえ、ソビエトの核弾頭がどうたらこうたら、
ってな映画って、山ほどあるんで、ちょっと経ったら
忘れてしまいそうです。
監督のジョエル・シューマッカー(F1ドライバーの
シューマッハーも、アメリカ行けばシューマッカーって
言われてる)って、
『依頼人』は物凄く面白かったんだけど、
『バットマン』は、ティム・バートンの世界だし、
どうもパッとしない様な...
- 『凶器の桜』
ヒキタクニオという人の原作小説をもとに、
『ピンポン』がノリノリだった窪塚洋介が、
自ら企画から参加して主演した映画。
「ネオ東条」と名乗る3人組が渋谷でのして行き、
やがてヤクザや右翼と絡み合っていくうちに、
彼らの運命は、ってな映画なんですが、
どちらかというと、右翼とか暴力とかじゃあなくって、
服装とか、音楽とか、映像とか、
そのあたりのセンスが良いと思う。
もちろん暴力描写も上手いんだけど、
本作が初監督になる薗田賢次という人は、
CMやら音楽ビデオでセンスを磨いてきた人だから、
スピード感と言うか、テンポがすごく良い。
こういったテンポのよさって、昔の
日本の映画監督には、不足していたんだよなあ。
とにかく、おすすめです。
- 『Dolls[ドールズ]』
北野武監督の最新作。
今回は、色にこだわったと言うだけあって、とにかく
カラフルです。
とは言っても、真黄色の自家用車ってのはなあ、
あんな色の日産車があるなんて、ビックリ。
(北野武監督は、名監督の小津安二郎がこだわった
赤いヤカンを目指してるんだろうか?)
ストーリはとにかく純愛、究極の純愛ってのを
観念的にストーリにすると、こうなるだろうなあ、
という内容です。
でまあ、観念的な分、会話とか意味とかは、
極力、省略されてしまう。
ここら当たりが、ちとつらいかなあ。
話は文楽の「冥土の飛脚」をベースに
展開します。
文楽ってのは、江戸時代のはじめ、語りと三味線の
浄瑠璃が、人形劇と合体したもので、大阪で
たいそう評判となりました。
江戸の歌舞伎は、どうしても大阪の文楽の人気に勝てず、
文楽の人形の仕草を真似することが、歌舞伎で
はやるほど、文楽は人気がありました。
(歌舞伎の、どくとくなギクシャクな動きは、
文楽のマネです。)
とにかく純愛のため冥土にひた走る2人、これを
実写映画にしたらどうなるか、そこに
北野武の感性をぶっ壊す衣装担当の(パリコレで
有名な)山本耀司の感性、いやあ北野監督でなくても
ぶっ飛びます。
これが日本の四季と合うから、不思議です。
(でも何度でも言いますが、黄色い自家用車は、
止めてくれって。)
これに、こう言った非現実的な役をやらせたら
本当に上手い菅野美穂(萩尾望都原作のテレビ・ドラマ
『イグアナの娘』が、本当に良かったです)と、
サッカーのワールド・カップの時の朝日新聞の宣伝の
声が印象深い西島秀俊、うーーん、絶妙だね。
あとアイドルの役で深田恭子とか、
ヤクザの親分の役で三橋達也とか、
上手いです。
ただ、難点を言えば、北野監督ってのは、撮影の
上手さの監督ではなく、どちらかと言えば
編集の巧みさで、絶妙の間を演出し、それが
独特のユーモアを作ってるんだと思います。
その当たりの感覚は、喜劇役者ビートたけしの
真骨頂だと思う。
実際、彼は、普通の何倍もかけて、編集するそうです。
ようするに、編集が好きなんですねえ。
このあたり、戦前、アメリカの喜劇映画を真似して、
喜劇映画(『生まれてはみたけれど』が一番好き)を
取りまくった小津安二郎が、戦後、その感覚を生かして、
編集の妙で名作を撮りまくったのと、状況は
似ています。
(彼は、撮影は、編集の素材集めに徹していて、
役者に演技を求めなかった、珍しい監督です。)
で、本作なんですが、撮影の綺麗さで見せる映画で、
間とかはあんまり関係ないわけです。
ですから、北野監督の編集の妙も、入りこむ
隙がないような気がします。
そこらあたりが、やや不満か。
まあ、綺麗な映画なんですけどねえ。
- 『エンジェル・アイズ』
ジェニファー・ロペス主演のサスペンス・ドラマ。
ジェニファー・ロペスって、歌に映画に、いわゆるイケテル女、
ってことらしいけど、良く知らない。
ジャック・ニコルソンがショボかった「ブラッド&ワイン」とか、
インド人監督ターセム・シンの才能を感じさせる「ザ・セル」とかに
出てたらしいけど、憶えがないです。
監督は、ロビン・ライト・ペン(ショーン・ペンの
奥さん)が良かった「メッセージ・イン・ア・ボトル」の
ルイス・マンドーキなんだけど、
「エンジェル・アイズ」は3日もしたら忘れそうなんで、
忘れる前に、このホームページに書いておかなきゃあ。
この映画、都会で生きる孤独な女警察官、ジェニファー・ロペスと、
記憶を失ったキャッチと呼ばれる不思議な青年のミステリアスな
恋を描いた映画なんだけど、ストーリの前に、気になることが
いっぱいです。
このキャッチなる男。
自分が運転する車で交通事故を起こし妻と子を失い、
その罪の意識から、記憶があやふやになる設定なんだけど、
映画のストーリでは、この男は悪くない、と言うことになっている。
だけどなあ、たとえこの男が悪くなくっても、
あれだけよそ見運転すれば、いつかは事故るって。
とにかく前見て運転すれよオ、と言いたくなる。
で、ラストで、運命を乗り越え、彼は
自動車を運転できるまで回復する、って話なんだけど、
やっぱりよそ見運転なんです。
三つ子の魂100まで、なのか、とにかくこの男、
運転しん方が、良いよお。
- 『ドニー・ダーコ(原題)Donnie Darko』
この映画は、ドニー・ダーコという16歳の少年が
体験する不思議な経験を描いた映画。
28日後に世界が滅びると言う予言とか、
ジェット機のエンジンが落ちてくるとか、
ウサギの着ぐるみ(このデザインが秀逸)を着た
不思議な存在とか、
それぞれのシーンは非常に美しい。
なのに私には、この謎解きがさっぱりわからない。
パンフレット買って、脚本を全部読んでみたけど、
まるで分からない。
時々、このように難しすぎる謎解き映画
(韓国映画の「シュリ」も、謎解きが難しすぎた
(私はパンフレットを読んで、初めて分かった))が
あるんですが、
やっぱ映画ってのは、映画の中で完結してないと
いけないと思います。
その他、『海辺の家』でのヌードが新鮮だった
ジェナ・マローンとか、
良かったのは『E.T.』だけだったドリュー・バリモアとか、
なかなか印象的な役者はいるんだけどなあ。
この映画は、世界中の映画祭で喝采を浴びたそうですが、
私には、それほどかなあ、と思ってしまいます。
まあ監督のリチャード・ケリーには、
次に期待しましょう。
- 『ロイヤル・テネンバウム』
出演者、ジーン・ハックマン、ヴィネス・パルトゥロウ、
アンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティーラ、
で脚本も書いてるオーエン・ウィルソン、
脇役にビル・マーレ、でナレーションに
アレックス・ボールドウィンと、
おそろしく豪華なメンバーなのに、
上手く映画が動き出さないんだなあ、これが。
監督は、奇才と言われるウェス・アンダースンで、
これが日本初公開らしいです。
で、いろいろなところで評判な映画らしいのですが、
私にはこの映画のどこが面白いのか、
さっぱり分かりませんでした。
ハッキリ言うと、こんなわがままな、
ジーン・ハックマン演じるロイヤル・テネンバウムを、
結局家族が許してしまう、というストーリが、
白々しいというか、家族が彼を許す説得力がない、
というところで、映画に集中できないんですよねえ。
で、彼を中心にさまざまな人間模様が描かれるのですが、
これらの人物像が、上手く絡まってくれない。
すべての関係が、もっと密接に絡み合いそうなのに、
そこが上手く行ってない。
本当に、この映画って、面白いのですか?
- 『アバウト・ア・ボーイ(原題)About A Boy』
ヒュー・グランド主演の、ロンドンを舞台にした映画。
ヒュー・グランド演じる御気楽な独身貴族が、
ひょんなこと(というか、自業自得)から、シングル・
マザーと関わることになり、それからその子供と
関わりを持つようになり、といった話なんだけど、
はっきり言って面白かった。
まあ、私としてはイギリスの映像満載で、そっちの
方が興味深かったです。
(と言っても、私も1年しかイギリスに住んでないですが。)
まず、冒頭に(日本でもやっているクイズ番組の)
「ミリオネィア」
(イギリスでの正式題名は「Who want to be a ミリオネィア」)
をやってるのが、懐かしかったですぅ。
と言っても、イギリスの「ミリオネィア」は日本とは
桁違いの賞金額。
要するに、「ワン・ミリオン・パゥンズ」(だいたい2億円)を
めざす番組なんです。
週に3回ぐらいは番組があります。(日本と違って、週一ということに、
イギリスのテレビ番組は、こだわりがないです。)
で、このクイズの最高賞金額が、結構な確率で、出てるんです。
だからイギリス人は熱中するんです。
日本は賞金額がケチな分、「みのもんた」が沈黙で引っ張ってる
ような気がします。
(イギリスも結構引っ張りますが、あれほどじゃあ...)
あと、イギリスでは普通の人でも受取人指定小切手が
普及しているので、あの小切手を渡すシーンも生きてきますが、
日本ではあの小切手って何? と思ってしまいます。
さて、この映画の途中でしばしば出てくるのが
「カウント・ダウン」というクイズ番組。
私も毎日夕方に、しばしば見ていました。
(夕方には、「ウィーケスト・リンク」の再放送もやってて、
これも良く見てましたが。)
その他、まあ、細かいことを言えばキリがないですが、たとえば
住所を言う時、郵便番号(番号と言っても、アルファベットが
入ってまして、たとえば私が住んでいた所は
「LS17 8DB」なんですが、これだけで、あとは番地だけあれば
場所が特定できるので、とっても便利です。
日本の郵便番号もあんなに長いのなら、
あとは番地だけで場所を特定
(数学的には可能)して欲しいです)も言うのは、ロンドンは
同じ名前の通りが多い(って言っても、なれりゃ迷わんとは
思いますが)ので、タクシーなんかで、郵便番号を併せて
言うことがあります。
あと、ビリーヤードじゃなっくって、スヌーカー(ビリーヤードの
ような競技ですが、玉がやたらと多くて、台も大きい)とか
(このトーナメントが始まると、1日8時間ぐらい中継をやってまして、
ただでさえ5チャンネルしかないイギリスの貧弱なテレビを、さらに
退屈にしてくれますが、皆さんブック・メーカーでお金をかけながら
(イギリスでは、賭博はブック・メーカーで勝手にやれるんで、
それこそ日本の皇族の愛子様が生まれる前、男か女か、
ということまで賭けてます)
見てるんで、みんな興奮してるんです)、懐かしいです。
その他、クリスマスって家で過ごす、とか、
クリスマス・プレゼントの包みはイギリスでは自分で包むんですが、
イギリス人は不器用(例えば、ホッチキスで紙を綴じる時でも、
紙が揃わないんです)なんで、とにかく包み方が汚いとか、
とにかくロンドンっぽいです。
なにより、イギリス訛りの英語が心地よいです。
(アメリカ訛りは、私にはきつく(イントネーションが強すぎる)
感じます。)
もっともイギリス人は、アメリカ人ほどの均質な英語
(アメリカでは、そもそも数百年前にはアメリカが存在しないほどの
新しい国ですから、今ではテレビの影響で訛りが決定され、
アメリカのテレビ局はほとんど中西部にありますから、
アメリカ訛りは、アメリカの中西部訛りです)ではなく、
本当に地域、階層によって英語がまったく変わりますから、
その分、苦労しますけど。
とにかく家の配置とか、学校の様子とか、イギリスらしさ満載ですが、
なかでも子供のしつけの悪さが、良く描かれています。
日本人は、イギリスでは子供はジェントルマンとして、
躾られていると勘違いしている人々がいますが、そんな
ことやってるのは、それこそ貴族だけ。
(と言っても、その貴族自身が、スーパーマーケットの
「マークス&スペンサー」のマークス(イギリス本で
有名(と言っても、イギリス在住の日本人は、ほとんど嫌い
らしいです)な
マークス寿子さんの「マークス」(と言っても離婚してますが)
です)さんのように、最近貴族になった成金ですが。
ちなみに「ビートルズ」のメンバーや、元F1ドライバーの
ジャッキー・スチュワートも貴族になっちゃってますが。
まあ日本で、坂本龍一が貴族になるようなものですかねぇ。)
じっさいは、普通のイギリスの子供は、躾は無茶苦茶ですよぅ。
たしかに最近の日本も、最近は躾は悪くなって来たかもしれませんが、
イギリスの子供は最悪。
私もイギリスで、たまに子供向け映画を見に行くと、とにかく場内、
子供が散らかしたお菓子のゴミで無茶苦茶。
知り合いの家でパーティーがあって行っても、とにかく子供は
王様で、皆でそのご機嫌取りです。
ひどいものです。
で、映画を見てると、「そうそう、イギリスって、ひどい
もんだよなあ」と、納得します。
監督は、『アメリカン・パイ』で有名なウェイツ兄弟。
『アメリカン・パイ』はあまりに重みのない映画ですが、
弟はケンブリッジ大学で英文学を学び、外交官試験を合格して
米国国務省に迎えられると言うエリートなんですが、
兄を助けるために映画界に入ったという変わり者なんです。
- 『完全犯罪クラブ(原題)Murdered by Numbers』
久々、サンドラ・ブロック主演のサスペンスなんだけど、
映画は完全犯罪とは違った局面を持ってるので、
この題名には、疑問です。
高校生2人が、完全犯罪を目論み、それを追及していく
鑑識の刑事役がサンドラ・ブロックなんですが、
たしかに、この映画のブロックは良い。
ちょっと顔は中年になってるけど、なかなか
女刑事の深い悲しみを見事に演じていて、
良かったです。
ただ問題は、脇を固める配役が物足りないところです。
特に、完全犯罪を目論む高校生2人が、『羊たちの沈黙』の
レクター博士ほど、完成された人格ではなく、
そこが物足りない、
というか、2人が演じきっていないというか。
だから、この犯罪者には、圧倒的に物足りないものを
感じてしまいます。
ただ、ラストのサンドラ・ブロックのメッセージ、
「人生は一度きり。
現実から背を向けず、生きろ」というメッセージは、
ちゃんと必然性があって、なかなか良かったです。
- 『ロード・トゥ・パーディション(原題)Road To Perdition』
時代は1930年代はじめ、アメリカのギャング全盛時代の話です。
ギャングのボス、ポール・ニューマンと、その腹心の部下、
トム・ハンクス、それぞれの親子の物語です。
この親子の絆が強い。
この強い絆が、事件をいっそう複雑にしていきます。
このあたりの話の絡み方が、やたらと面白いんだけど、
監督が、あの超問題作(私は好きだけどね)『アメリカン・
ビューティ』のサム・メンデスなもんだから、
一筋縄ではいかないわけです。
ここにジョーカとして、ジュード・ロウを配するあたりが、
この監督の憎いところです。
ジュード・ロウの役どころって、なかなか簡単には
いかない役なんですが、それを見事に演じきっています。
さらに、ラスト・シーンでのジュード・ロウの
美しいこと、美しいこと。
このあたりが、さすがサム・メンデス。
この美しいジュード・ロウを見るだけでも、
この映画を見る価値ありです。
- 『es[エス](ドイツ語原題)Das Experiment』
う~~~ん、この映画、ハッキリ言って、むちゃくちゃ怖かったです。
実はわたし、ホラー映画とかは、ほとんど怖いと思ったことがないのです。
なぜなら私は仏教徒で、お釈迦様は、幽霊の存在については、
あるともないとも、言ってはいけない、という論法を言いました。
ようするに、そういう議論してもしょうがないことは、議論するな、
という立場だったんです。
だから霊魂を問題としない私には、ホラー映画ってぜんぜん怖くない。
だいたいが、普段のニュースでも、霊魂より生きてる人間のほうが、
よっぽど怖いことしてます。
私が、怖いと思った映画は「リング」くらいかなあ。
でもあれは、1週間以内に他人にビデオを見せて、
自分や自分の子供を助けようと言う、あさはかな人間の業が怖いのであって、
お定さん自体は、かわいそうな人だよなあ。
だから、「リング」も怖いのはお定さんじゃあなくって、お定さんの
ビデオで浮かび上がる人間の性が怖いんです。
で、やっと『es[エス]』の話。
1972年に、アメリカのカリフォルニア大学で行われた心理実験が
あるんですが、それはあまりに危険だと言うことで、
現在では禁止されているそうです。
そのような実験かというと、被験者として普通の人間を20人集め、
ランダムに看守役と囚人役に分けます。
で、2週間擬似監獄の中で、生活してもらう、というものです。
実際の実験は1週間で破綻したそうですが、
この映画も、もう一日目から、きな臭い匂いがプンプンです。
そして、とんでもない悲劇が起こるのですが、
ちょっと内容は言えません。
なんでカリフォルニア大学が、こんな実験を行ったかと言うと、
第2次世界大戦を通して、人間はとんでもなく残酷なことを
平気で行えると言うことが、判明しました。
そしてもっと恐ろしいことは、それらを行った人たちのうち、
ほとんどは普段は当たり前の人たちだったことです。
日本でも、普通に生活していた普通の男性が、
中国なんか行って、とんでもない蛮行を働いてきたわけです。
で、なぜ、普通の人が戦争になると残虐行為を行えるのか、という
研究の一環として、この実験が行われたわけです。
ここでキーになるのは、心理学者の言うところの「状況の力」です。
つまり、そのような状況では、人はそれに適するように仮面を被り、
その役になりきって残虐行為を行ってしまうことが、
判明したのです。
なんて、おそろしい。
こりゃあ幽霊なんかより、よっぽど恐ろしいですよ。
そして悲劇の幕が開くのです。
- 『チェルシー・ホテル(原題)Chelsea Walls』
イーサン・ホーク初監督作品なんだけど、とっても退屈な
映画だった。
あまりの退屈さに、途中でだいぶ寝てしまったんだけど、
映画はまったく進展しなかったんだなあ。
『チェルシー・ホテル』ってのは、多くの有名人が泊まったことで有名な
ニューヨークのホテルらしいです。
その有名人の顔ぶれがすごい。
まあ、セックス・ピストルズのシド・ビシャスと
その恋人のナンシーなんて有名どころや、
ボブ・ディラン、ジャニス・ジョップリン、ジミ・
ヘンドリクス、イギー・ポップと、
もうたまりませんメンバーですなあ。
アート系だと、有名どころで、アンディー・ウォーホール、
写真家のロバート・メイプルソープ。
映画関係だと、「バスキア」の監督のジュリアン・シュナーベル、
女優ジェーン・フォンダ、俳優ドナルド・サザーランド、デニス・ホッパー、
「カッコーの巣の上で」や「アマデウス」の監督ミロシュ・フォアマンと、
すごいメンバーです。
作家じゃあ、
「トムソーヤの冒険」のマーク・トウェン。
このホテルでは、だいたいは酔っ払っていたO・ヘンリー。
「2001年宇宙の旅」の原作者のアーサー・C・クラーク。
ベルナルド・ベルトリッチが監督した『シェルタリング・スカイ』
(でも、この映画は、理解不能だったが)の
原作者のポール・ボウルズ。
若きアラン・ドロンの出世作『太陽がいっぱい』の原作者
パトリシア・ハイ・スミス。
ちょっと変わったところでは、サイモンとガーファンクルの歌詞に
出てくるディラン・トマス。
私、この人のことは良く知らなかったんですが、イギリスの
ウェールズの友人の家に泊まったとき、ウェールズ出身で、
はじめてラジオ・ドラマ用にウェールズ語の脚本を書いた
作家らしいです。
とまあ、ものすごいメンバーが泊まったことがあるらしい。
映画の中でも、ディラン・トーマスのプレートが
出てきたりします。
ただ、いかんせん、監督のイーサン・ホークが、この映画を
どう取りたいのか、きちっとまとめずに撮影しちゃった感じで、
全体的にまとまりのない、美しいけど意味不明な映画になっちゃって、
なんだかもったいない気がします。
まあ、やりたいことは、わかるけどねえ。
で、とっても退屈な映画でした。
- 『メルシー!人生』
私は見ていないんだけど『奇人たちの晩餐会』という評判になった
フランス映画がありまして、その監督のフランシス・ヴェベールの
最新フランス映画、なかなか笑えました。
いつもは、パトリス・ルコントの映画で、まじめな顔をしている
ダニエル・オトゥーユが、この映画ではまじめだけがとりえの
男の役で、いい味出してます。
その他、フランス映画には欠かせないジェラール・ドパルデューや、
ミシェール・ラロックなど、実に味のある役者が、
また違った味わいで出演しています。
こいつら、こんな演技が出来るんだ、と感心します。
にしても、この映画、ゲイとか、かなりきわどいジョークが
出てきますが、フランス人って、個人主義で、こういうことには
干渉しないのではなかったのか?と思ってしまいます。
なんせ、大統領に隠し子がいたのが発覚しても、
なんともない国ですけどもねえ。
カトリーヌ・ドヌーブだって、18歳で『シェルブールの雨傘』に
出たとき、すでに私生児がいたけど、何の問題にもならなかったし。
以下は9月に見た映画です
- 『サイン』
『シックス・センス』のナイト・シャマナン監督の最新作なんだけど、
なんだなあ、どうもピンとこない映画です。
『シックス・センス』は本当に面白い映画で、内容的にも優れた
映画だと思うんですけど、その後この監督、『アンブレイカブル』は、
まあ良くもこれだけはずせたなあ、というくらいのはずしっぷり。
でも、逆に、これだけはずしてくれると、かえって吹っ切れる
感じがする。
大風呂敷も、ここまで広げれば立派です。
そうなると、シャマナン監督としては次回作に期待がかかった
(というか、監督生命がかかってる?)んだけど、
これだもんなあ。
どうなってしまうんだ。
映画の出だしは、音楽といい映像といい、ヒッチコックみたい。
その後、次から次へと物珍しいものを見世物のように見せるのも、
ヒッチコックみたい。
でも、どうも納得できずにラストに。
ラストはシャマナンらしい大風呂敷を期待した(というか、
それが無いとただの映画になってしまう)んだけど、
普通でした。
このラストが好きになれるかどうかで、この映画の評価も
変わるんだろうなあ。
でも怖がらせ方は、『シックス・センス』の方が、ずーーーと
上ですけど。
- 『スパイ・キッズ2 失われた夢の島』
『スパイ・キッズ』の第2作。
前作は私はイギリスで見たんですけど、まずクレジットの
監督のロバート・ロドリゲスにびっくり。
私のつたない英語の読み間違いかと思いましたぜ。
なんせ、ロドリゲスといえば、出世作のえぐいえぐい
『デスペラート』とか、もうガンガン化け物に向かって銃を打ち続ける
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』とか、
とにかく、子供映画には絶対向いてないような監督ですぜ。
しかし出演者を見て、またビックリ。
ロドリゲス映画の常連アントニオ・バンデラスではないですか。
この組み合わせでどんな子供映画になるんだ、と思ったけど、
第1作はロドリゲスらしい、ラテンの匂いがプンプンする、
実に彼らしい仕上がりに、なってました。
(ただ、映画の中で出てくる子供向けテレビ番組の悪趣味振りには
辟易しましたが。)
で本作は、さらにパワー・アップしてます。
さらに、コーエン兄弟の名作『ファーゴ』で、ずーーーと顔の変な
男と言われ続けていたスティーブ・ブシュミも、良い味出てます。
かれは、『コーン・エアー』で、悪役ジョン・マルコビッチと一歩も
引けをとらない悪役振りを発揮しています。
(しかも、最後の最後まで、なんかやりそうで何もやらない、と
思ったら...というのが良い)
- 『イノセント・ボーイズ(原題)
The Dangerous Lives of Altar Boys』
ジョディー・フォスターが主演、製作している映画です。
いつも、こういう映画で思うのは、日本語題名が
原題と離れすぎていることでしょう。
まあ、この映画は、「~~ボーイズ」ということで、
複数形なのが救いかなあ。
(「パトリオット(原題の日本語発音)ペイトリオッツ」
のように、発音デララメ、単複無視、って
映画が多いですから。)
原題は意味は「祭壇の少年達の危険な生活」ってなことなんで、
「イノセント・ボーイズ」つまり「無垢な少年達」というのとは、
違いますよねえ。
この原題の「祭壇」というのは、主人公の少年達が、
教会のミサを手伝っていることから来ています。
つまり祭壇で手伝っている少年達でも、
危険なことやってますよ、という映画なんです。
実際、映画の中では、「イノセント」の無垢のイメージからは、
とても考えられないような、悪辣ないたずらが展開されます。
最後は、うーーん、あーーあ、こういうことか。
彼らの漫画を使った映像は新しい。
少年達も、なかなかのもんだ。
でも私は、「海辺の家」(この映画自体は、つまらんかった)で、
可憐なヌードを披露したジェナ・マローンが良かったです。
(ってことは、それ以外は...)
- 『ダスト(原題)Dust』
今から8年前の1994年、まったく予想しなかった映画に、
私は打ちのめされました。
『ビフォアー・ザ・レイン』というその映画は、
その年のヴェネチア映画祭で、金の獅子賞ほか、
9部門を獲得という、圧倒的な力を持っていた。
監督はその時点では、まったく無名な
ミルチョ・マンチェフスキー。
小説家でもあり、ジャーナリストでもあり、
音楽ビデオも作成する才人マンチェフスキーが、
自分の故郷マケドニア(イギリスじゃあ「マセドニア」と
発音しますが)を舞台にして、自ら脚本を書いた
この映画は、ヴェネチア映画祭で、圧倒的な
指示を得ました。
3つの話を輪廻のように繋げる手法は、
タランティーノの「パルプ・フィクション」の
ような面白さがありますが、「ビフォアー~~」の
方が、中身が深い気がします。
で、この映画作成の時点で、次回作「ダスト」を、
ロバート・レッドフォード製作で、ミラマックスが
配給でハリウッドで作ることが決まっていたんですが、
それから8年かかって、本作です。
で、「ダスト」。
100年前のマケドニアと、原題のニューヨークが、
見事につながる手法が面白いです。
この映画って、現在のマケドニアの悲劇のおおもと、
100年前のトルコによる支配の悲劇を描いた映画のようにも
思えます。
また、聖書のアベルとカイン以来の、兄弟の確執を
描いた映画のようにも思えます。
しかし、この映画の本質は、そのような話の語り口の
面白さを描いたものではなく、語るという、
それ自体の重大さが描かれているという点で、
物凄く面白いです。
しかし、映画としてどのくらいおもしろいか?
これは、実際に見てもらわないと、わからないです。
- 『ドライブ』
日本のSABU監督の最新映画。
私、この監督は良く知らないんですが、
予告編を見ている限り、
超まじめサラリーマンの堤真一の車に、
銀行強盗が乗り込んでくるが、
堤真一がぷっつんして、
かっ飛ばす映画かと思ってました。
(まっ、ドイツ映画の「ラン・ローラ・ラン」みたいな。)
ところが、予想は見事に裏切られました。
まっ、たしかにプッツン映画ではあるんですが、
それよりもそれぞれの自分探しの映画、
そこのところが、なかなか一人一人の掘り下げ方が上手いので、
ついつい見てしまいます。
特に、生臭坊主の寺島進が良い。
ロックのリズムでお経を読むのって、結構有るんですが、
私、職業僧侶として、あれは見せ物以外の何者でもなく、
嫌いです。
ところが、この映画、パンクに乗せて説教する。
このシーンを見るだけでも、
この映画を見る価値有ります。
とにかく、笑った笑った。
- 『モンスーン・ウェディング(原題)Monsoon Wedding』
インド映画で、インドの豪華な結婚式を描いた映画と言えば、
もうあの、おきまりの意味のない豪華な音楽に乗せて、
いっせいに皆が踊りだす映画と思いきや、
見事に予想は裏切られました。
ま、確かに皆で歌ったり踊ったりするシーンはあるんですが、
それもごくごく自然な成り行きで、描かれています。
監督・制作は、女性監督のミラ・ナイール。
もともとは、アメリカでしっかりとドキュメントを勉強した
監督らしく、実に確かな演出に、
(マイク・フィギス監督の不思議な美しさを持った映画
「リービング・ラスベガス」の)撮影監督デクラン・クインが、
しっかり応えています。
で、この映画は、見事ベネチア映画祭で金の獅子賞を受賞したらしいですが、
これはインド映画44年ぶりの快挙らしいです。
内容は、インドの中流階級の結婚式までの4日間を描いたモノです。
とにかく花嫁側にはばく大なお金が必要らしいが、
私は豪華結婚式で有名な愛知県に住んでいますので、
花嫁が小さな頃から、嫁入り道具をちょっとずつ買っておくとか、
なんとなく事情も似てます。
(と言っても、私の結婚は、私の両親は京都出身、妻の
両親は東京出身と言うことで、愛知方式は無視しましたが。)
しかし華やかな結婚式とは裏腹に、結婚式に集まった
様々な人たちには、それぞれの事情があります。
その困難を乗り越えて、最後結婚式に至るまでを描いた映画です。
なかなかラストは、感動的でした。
- 『インソムニア(原題)Insomunia』
はじめに言わさせてもらいますが、この映画は面白かった。
迷っている人は、見たほうが良い。
アラスカの町での少女殺人事件。
応援で駆けつけたロス市警のアル・パチーノ。
彼にとって、だんだん、この事件が彼自身の事件にすりかわっていく
課程が、とても面白かったです。
原題の「インソムニア」って、「不眠症」という意味なんですが、
人間が一週間眠れない状況。
これを、ごくごく自然に描くことにより、この映画も
リアルな存在になっています。
監督のクリストファー・ランバート。
彼の「メメトス」は、私イギリスと日本を行き来する間に見逃したんですが、
評判は良いらしいです。
その監督のもと、主人公のアル・パチーノ、
犯人のロビン・ウィリアムズ。
芸達者ですねえ。
ロビン・ウィリアムズって、喜劇俳優と思われがちなんですが、
彼の初期の傑作、「ガープの世界」なんて大好きです。
なかなかシリアスな役でした。
その前、彼が有名になったのが、実写版「ポパイ」。
ロビンの実写版ポパイもリアルだったけど、
オリーブ役が、キューブリックの「シャイニング」で、
ジャック・ニコルソンの奥さん役だった人で、
この人しかオリーブの実写版は無理という役でした。
で、この映画でも、ロビンのリアルな演技が良かったです。
アル・パチーノって、「ゴッド・ファーザー」を見れば
分かるように、身長は(ダイアン・キートンよりも)低いんですが、
ロビンも、それと比べても、低く見えたです。
しかし、この映画の最大の見所は、女ポリスのヒラリー・スワンクでは
ないでしょうか。
彼女は性同一性障害を描いた「ボーイズ・ドント・クライ」での
熱演で、アカデミー主演女優賞を取得したのですが、
今回の映画は、この熱演をも凌ぐ演技でした。
「ボーイズ~~」が性同一性障害を描いた映画なので、
当然、女性が男性のように見せる映画なんですが、
それとはガラっと変わって、この映画では美人です。
凄いです。
あと、原作はノルウェー映画なんですが、こういうパターンは、
だいたい成功します。
死体を描いた「モルグ」、サイバー・パンクの傑作「バニラ・スカイ」
(原作は「オープン・ユア・アイズ」)とか、こういったリメークって、
原作のパワーがあるから、上手く行くわけです。
まっ、アル・パチーノのラストの台詞が泣かせました。
とにかく、面白かったです。
- 『リターナー』
本作は、「ジュブナイル」で、ちょっと有名になったらしい
(といっても私は興味無かったんで、見てないんだけど)
山崎貴監督の、SF日本映画。
金城武という、アジアでは稼げる男を連れてきて、
それなりに頑張ってる。
もう1人の若い女。
鈴木杏って、工藤由紀ちゃんが本当に良かった
スコット・ヒックス監督の「ヒマラヤ杉に降る雪」で、
工藤由紀ちゃんの子供時代の役に出ていたんだよなあ。
この映画も、本当に良かった。
で、本作。
でも何でしょう、未来から過去へ、未来を変えるために
やってくるのは、「ターミネータ」だろうって。
まあ、これぐらいのプロットの盗作はアリだろうけど、
その後も、宇宙人のプロットって、「E.T.」のパクリ?
バイクのシーンは「MI:2」か、あげくにスローモーの
アクション・シーンとか金城武の皮のロング・コートは、
明らかに「マトリックス」の
パクリで、しかも、それぞれ、それらは元を
超えていないんです。
なさけない。
ようするに、映画を見てると、いちいち突っ込みを
入れたくなるような映画なんですよねえ。
外国映画を良く研究している、といえばそうなんだけど、
パクリといえばパクリで、しかも中途半端なんですよ。
まあこの映画の中で、日本映画らしい良さといえば、
やっぱメカのデザインかなあ。
これは秀逸、宇宙船は美しいよ。
あと、岸谷五郎。
とにかく、彼の悪役ぶりは、「レオン」の
ゲーリー(たぶんイギリス人は「ガリー」と発音すると思うけど)
・オールドマンに匹敵すると思います。
とても「月はどっちに出ている」のタクシー運転手とは
思えないです。
私は男優の実力は、悪役で分かると思っています。
ジェレミー・アイアンズでも、「ダイ・ハード3」の
悪役で、やっと実力を出したわけです。
まあ、岸谷五郎と鈴木杏の目は、見る価値アリなんだけど、
それ以外はどうなんだろう。
まあ、それなりには面白かったんだけど。
- 特別編、黒沢明監督を描いた本
『黒沢明の精神病理』(星和書店)
この本は、精神医学医の立場から、黒沢明監督を分析した
もので、
いろいろな論文の寄せ集めなんですが、
はっきり言って、無茶苦茶、面白かった。
だけど、精神分析が面白いんじゃなくって、
私が小学校5年生の時に起こった、黒澤明自殺未遂事件とか、
黒澤が戦前に山本かじろう監督の助監督
(代表作は「馬」で、黒澤もそうとう撮影を任されていますが、
本当に良い映画でした)をやっていた時に、主演のデコちゃん
(高峰秀子)との恋愛事件とかが、詳しく描かれていて、
そっちの方が興味深かったです。
デコちゃんは、山本監督の「綴り方教室」(ほんとに、
良い映画ですよ)なんかで、とっても
印象的な演技を見せた天才子役なんですが、映画会社の中で
純粋に女優として育てられ、恋愛には免疫が無い。
その彼女が、積極的に黒澤に迫る、というのが
以外でした。
そんなわけで、この本は黒澤の意外と言うよりは、
むしろケッタイな面を魅してもらいました。
それと、この本の中での最後の論文は、
黒沢明の映画を、共依存症からの脱却という視点で
分析しているのが、興味深かったです。
まあ、日本人って、土井健三の「甘えの構造」でも描かれているように、
基本的に自立できない大人達、甘えの許される社会構造ですからね。
ヤクザの義理と人情だって、共依存、演歌だって共依存、
典型的日本人は皆、共依存。
つまり「甘え」ですわ。
黒澤の映画って、その共依存をスパッと切っているわけです。
だから黒澤にかかれば、(本の中では描かれていませんが)
「酔いどれ天使」でも、ヤクザの義理と人情とか、普通の映画では
美しく描かれるところが、一切の妥協なしに、切り捨てられています。
(ちなみに、黒澤の映画では、ヤクザが美しく描かれたことは、
ただの一度もなく、常に社会のゴミとして描かれ、
「必要悪説」が入り込む隙間もないですねえ。)
「ヤクザの義理人情なんて、安全保障条約みたいなもんだ」と
志村喬に冷静に分析されるわけです。
そして最後、ヤクザの三船敏郎はヤクザに裏切られて、
壮絶に死んでいく。
そこには、志村喬が言うように、義理も人情も
ヤクザに都合が良い時だけ使われ、都合が悪くなると、
あっという間に殺されるわけです。
で、日本人好みの共依存症を、スパッと切り捨てるところが、
黒沢明の映画に感じる、気分の良さ、なんだろうなあ。
- 特別編、塚本晋也監督の『六月の蛇』
今日(2002年9月9日)、夕刊を見ていたら、なんと
あの「鉄男」の塚本晋也監督が、何と似合わないのだけど、
ベネチア映画祭で「六月の蛇」という映画で特別賞を
とったということです。
うーーーん、この人ほど、映画の賞が似合わない監督も
いないと思っていたので、これは以外です。
でも新聞で見た限りでは、「ストーカーのエロチシズム」を
テーマに描いた映画ということで、塚本監督健在ですね。
うーーーん、早くみたい。
うずきます。
でも、こんな、日本の隅っこって思っていた監督が、
こういう大きな舞台に出て行くなんて、本当に嬉しいです。
- 『天使にさようなら(原題)Gabriel & Me』
イギリス映画。
「リトル・ダンサー」(でも、この原題って
「ビリー・エリオット」という主人公の名前なんですか、
なんで「リトル・ダンサー」なんて変な名前を付けたんかなあ)の
脚本家が、「リトル・ダンサー」以前にラジオ用に書いた脚本を元に、
映画化したもの。
話の構造は「リトル・ダンサー」に似ているんですが、
ちょっと宗教がかっているところが良い。
宗教的に、本当の救いって、病気が治ったり、命が救われたり、
お金持ちになることじゃあない、ってことが、きっちり
描かれていて、良かった。
ちなみに宗教学者のひろ・さちおさんは、偽物の宗教を
見破るこつに、「人間の価値観」で良い
(つまり病気が治ったり、お金が儲かる)ことを言う宗教が
偽もんで、
「神(仏)の価値観」をいうのが正しい
宗教と言ってますが、この映画もこの価値観から言うと、
なかなか面白い映画です。
監督はインド人。
イギリスに住んでると、レストラン経営者のインド人なんかが、
イギリス人に向かって、「おまえらの英語は何て下手なんだ」と、
どうどうとインド訛りの英語で言ってるのには、感心します。
日本人も、もっと日本訛りの英語をどうどうと喋ればいいのに。
とうぜん世界中、ドイツ人はドイツ訛り、フランス人はフランス訛りの
英語で、どうどうとやってます。
あのインド訛りの英語がイギリスで市民権を持ってるんだから、
日本訛りの英語だって、そう捨てたものではないと思いますが。
で、監督がインド人だから、とうぜんイスラム教の話も出てきます。
イスラム教ってのは、キリスト教のバイブルを全部飲みこんじゃった
宗教だから、当然天使の解釈も、問題無いわけですね。
でも、こんな映画をインド人が作るところが、面白いです。
で、まあ、ラストは、これで良いんだろうか、と思いつつも、好きです。
ちなみに、この映画の舞台は、ニュー・カッスル(「キャッスル」
と書いてある本もあるんですが、そう書くのはイギリスに住んだ
ことない人ですね。イギリスでは、城は
「カッスル」です)なんですが、
なんでイギリス映画の秀作って、「フル・モンティー」
「マイ・ビューティフル・シェフィールド」「リトル・ダンサー」
と、北イングランドが多いのか、しかも大西洋の逆サイドなのか。
まあ、リバプールを描いた映画も、汚い街だったし、
マンチェスターも汚い町なんですが、
これらは大西洋よりなんです。
(日本人はイメージでだまされてますが、まあ一度行ってごらん、
汚い街で、訛りが強く、わけのわからない街。)
山(と言っても、標高1000メートルぐらいなんですが、イギリスで
一番高い高速道路です)を越え、ヨークシャーの周りに行くと、急に
映画の舞台なんですよねえ。
私、リーズ(ヨークシャーの中心都市で、マンチェスターよりは、
ましな街です)に住んでいたんですが、たしかにリーズ
やニュー・カッスルのサッカー・チームは暗い。
両方とも、そこそこ強いんですけどね。
リーズなんて、確かにマンチェスターのベッカムも、リバプールの
オーウェンもいないですが、この間のワールド・カップで
ベスト・イレブンに選ばれた、ディフェンスのファーディナンドが
いる。
(まっ、でも、マンUに移籍したんだっけ。)
ワールド・カップのイギリスのメンバーって、
リバプールとマンチェスター(ユナイテッド)とリーズと
アーセナルの選手ばかり。
つまり、北イングランド主体なんです。
ちなみに、イギリスのサッカー・チームは、
日本の野球のジャイアンツと同じく、経済力が強さに直結する
システムなんで、北イングランドって、そんなに
経済が下降とも思えないんですが、
映画で描かれると、哀愁を帯びてて良いんですよねえ。
なんでなんでしょうかねえ。
あと、テレビ番組で「ブラインド・デート」(日本の有名番組の
完全なパクリなんですが)とか出てきて、面白かった。
- 『イン・ザ・ベッドルーム(原題)In The Bedroom』
こりゃあ、去年、いろんな賞をもらった映画。
とくに、ほとんど皆忘れていた女優、シシー・スペイセス。
彼女のメジャーだった映画といえば、「歌えロリッタ愛の為に」
でしたっけ。
あれ以来ですからねえ。
本当に、長かった。
この映画、本当に淡々とある町を描いているだけなんです。
だけど途中から、内容は一気に加速して、心臓は、もうバクバク。
えらく興奮するんです。
こう言う映画ってあります。
妙な緊張感のある映画。
(いろんな映画祭で賞を取って、私も大興奮の)「アモーレ・ぺロス」
とか(古くは(古いか?))「パルプ・フィクション」とか。
私は両方とも好きな映画なんですが、
でも、こう言った映画って、画面自体が派手。
それから行くと、この映画。
静かなんだけど凄い緊張感。
見事です。
その緊張感のまま、ラストまで行ってしまう。
本当にこんなラストで良いんだろうか、と思うまもなく
終わってしまった。
まっ、見事としか言えません。
にしても、配給会社が(こんな良い映画なのに)パンフレットを
作っていなかったのには、ビックリした。
いろいろ批判の多いハリウッドなんですが、やっぱいっぱい
映画を作っていると、こういった優れた秀作が出てくる
余地もある。
だいたいが、多く作ってると、優れたスタッフの育成にもなりますし。
やっぱ、ハリウッド恐るべし。
監督はまったく無名だけど、次を見てみたい。
- 『この素晴らしき世界(チェコ語)Musime si pomahat』
第2次世界大戦中、チェコの田舎町。
まあ、ナチスの陰はありますが、それなりに暮らしていた
ところが、ある家族がユダヤ人をかくまうはめに。
ここから、ドタバタ劇のはじまり。
やっぱり、あまりにも悲惨な内容は、喜劇にするしかない。
日本人はこう言うネタは笑い足りませんが、まあ死んでいった人の
供養で、思いっきり笑った方が良い。
チェコ映画で戦争モノ。
なんか見たくない雰囲気もありますが、見る価値は十分あります。
ただ、ラストは感動的ですが、もうちょっと工夫の余地あり。
- 『チョコレート(原題)Monster's Ball』
アカデミー主演女優賞を、はじめて黒人のハル・ベリーが
賞を取った映画。
とっても不幸なわけありの中年女性ハル・ベリーと、
不幸な中年男性ビリー・ボブ・ソートンが
ある日出会い「どうたらこうたら」という映画です。
今風の言葉でカッコ良く言えば、「喪失と癒し」ということに
なるのですが、そんなこと意識しなくても、
不幸な内容にも関わらず気持ち良く時間が過ぎます。
映画全体が、とてもゆったりしたリズムで流れ、
2人の出会いが、なかなか深く描かれていて、
思わず引きこまれてしまいます。
ビリー・ボブ・ソートンって、大好きです。
(私の大好きな)「スリング・ブレイド」みたいに、
自分で脚本書いて監督して主演して、ほんとに才能を見せた映画から、
最近の「バーバー」まで、何が出てくかわからないところが
彼の魅力です。
ただ、彼は存在感がありすぎるので、一つ間違えると
それに映画が負けることになります。
ところが主演女優のハル・ベリー。
彼女の演技が凄い。
ビリーに完全に張り合ってます。
これならアカデミー主演女優に匹敵する演技です。
もともとモデル出身の美女。
今までも「ラスト・ボーイスカウト」や「代理人」
「エグゼクティブ・デシジョン」「X‐メン」と、
それなりの映画には出てるのですが、
いったいどの役立ったやら、覚えがない。
印象がない、ただの美人ですね。
これがデミ・ムーアだったら、まだ無名だった
「おれたちは天使じゃない」でも、
群衆の中で1人だけ目だけでわかる独特の雰囲気を
持った女で、記憶に残るのに、
ハル・ベリーは、そこそこの有名な映画に出ていながら、
そんな大した印象がない女優です。
ところがこの映画、凄い演技です。
たしかにアカデミー賞の価値ありです。
ところで、ここからは気になるとこ。
このストーリ、見てるうちに何か良く知ってる世界じゃあないかって。
考えてみるに、この映画の世界って、演歌の世界な気がする。
不幸な中年女と、不幸な中年男。
2人は因縁で結ばれているのですが、その因縁を乗り越え
幸せになろうとする。
この世界を3分で描くと演歌になり、2時間で描くと
この映画になるんですねえ。
どうりで、中年女性の客が多いわけだ。
あと、気になったとこ。
この映画はアメリカで今も残る露骨な人種差別を描いています。
この映画で主人公が取った、アカデミー主演女優賞なんだけど、
今まで黒人(「アフリカーナ・アメリカン」という言い方が
正しいらしいけれど、
この映画でも描かれている、今でも残るアメリカの有色人種の差別を
正確に表現するには、この表現の方が良いと思います)が
受賞したことがない。
まあ、アカデミー賞というのは、とても差別的(というか、アメリカ
社会自体が、差別的ですからねえ、私はあんな国には行きたくないので
行ったことないですが、日本人で留学した人達は、有名大学で
ちやほやされて、差別なんか感じる前にだいたい帰国しているから、
まったく差別の実態が、日本には伝わらないですよねえ)なんです。
その差別的なアメリカで、アカデミー賞って、
ハリウッドの仲間内で選ぶ差別的な賞ですから、
当然差別的ですよねえ。
でさらに、日本映画に対する差別たるや、凄いですよねえ。
日本映画はベルリン映画祭は良く賞に入りやすいし、
カンヌ映画祭でも評価されているのに、
アメリカのアカデミー賞ではサッパリ。
黒沢明が名誉賞みたいので、罪滅ぼしされてる程度です。
これがイギリス映画ですと、アカデミー賞って、
「恋に落ちたシェクスピア」とかデビッド・リーン監督の
いくつもの映画のように、
(たしかに良い映画だけど)映画の実力以上に評価されている
ものは、いっぱいあります。
アメリカ人のイギリス・コンプレックスは有名で、
イギリスもそれでアメリカ人に対して商売しているところが
あるますから、しょうがないけど、まあアメリカは
歴史のない国だから、しょうがないけどね。
アメリカに住む日本人数学者に聞いたら、
「まあ、アメリカは子供の国ですから、勘弁してやってください」と
言われましたが、私もそうだと思います。
ヨーロッパや日本みたいに、1000年以上歴史がある国とは、
所詮、深さが違うのですね。
(最近の9月11日事件以来、ますますそう思います。)
イタリア映画だって、ベニーニの「ライフ・イズ・ビューティフル」は
たしかに素晴らしい映画ですが、それ以上の日本映画だっていっぱいあるのに、
そういう日本映画は無視されている。
まあ、アメリカなんて、そんな差別的な国なんですね。
あと題名の「チョコレート」、これが良く分からない。
原題の「Monster's Ball」は、映画を見てればもちろん分かりますが、
死刑が行われる前日、イギリスでは看守は派手にパーティを行った
故事にちなんで付けられた題名らしいです。
(「Ball」は宴会です。)
なんでこれを「チョコレート」と訳したか。
アカデミー賞の発表を衛星放送で見ていて、
「Monster's Ball」って題名はサッパリわからなかったですが、
それを「チョコレート」と訳したのは、もっとわからない。
こういう題は、配給会社が付けるらしいですが、もっと原題に
従った題にするべきだと思います。
- 『バイオ・ハザード』
テレビ・ゲームで有名な「バイオ・ハザード」の映画化なんだけど、
つまらんかった。
ようするに、昔良くあったゾンビ映画に、DNAやらウィルスやらの、
現代的な味付けがしてあるだけ。
そのゾンビの描き方が、昔と同じ、大量の死体が、手を前に出して
さまようだけ。
何も新しいものがないんですね。
まあ、見所は主演のミラ・ジョボノビッチの熱演。
これだけはなかなか頑張っていたけど、いかんせん他がしょぼい
映像なんで、ミラだけが浮いちゃっていた。
やっぱテレビゲーム・ネタは、難しいですね。
- 『ル・ブレ(原題)Le Boulet』
フランス映画。
囚人が看守に宝くじを買うのを依頼するのだが、
それが当たった為に起こる大ドタバタ映画。
とにかく仕掛けがデカイのが良いです。
にしても、こういった映画はアイデアが勝負なんだが、
この映画はその点、なかなかアイデアが冴えてまして、
大成功だと思います。
主演の囚人と看守のコンビも絶妙でしたが、
私は看守の女房役のロッシ・デ・パルマ。
この人、スペイン映画の「キカ」も最高だったけど、
「私の秘密の花園」も良かったです。
ようするにあのデカ鼻は、スペイン映画の主役なんですね。
超個性的な顔も味があるけど、そのとぼけた演技が好きです。
以下は8月に見た映画です
- 『ラッキー・ブレイク』
イギリス映画の「フル・モンティ」は本当に面白かったです。
北イングランドの薄汚い感じが、実に良く出ていた。
最近では、ミュージカルにまでなってヒットしているそうですが、
まあ、もっともな話です。
個人的には、「フル・モンティ」のストリップ・シーン、
練習の時にはさえなくて、こんなんで本当に大丈夫?って
感じだったのですが、いざストリップの本番シーン、
なかなかのモノだったです。
で、あの映画を監督したピーター・カッタネオ監督。
あれはマグレだったのかどうか。
本作は同じ監督による映画ということで、
なかなか興味津々です。
まあ、テンポは相変わらず、そう速くもなく遅くもなく、
なんとなくこの監督独特のリズムで動いていきます。
この間の取り方が、上手い。
で、刑務所でミュージカルを利用した前代未聞の
大脱走が始まるのですが、
見せ場を作るのが上手いですね。
で、そのままラストまで、何となくハッピー・エンドで
皆を納得させてしまうところが、偉いデス。
まっ、映画としては「フル・モンティ」の方が
上だとは思いますが。
- 『ドッジ・GO!GO!』
小学生のドッジボールの試合を描いたスポーツ根性物、日本映画。
ドッジボールってのは、アメリカなんかだと、一部で
禁止されてるくらい激しいスポーツだと言うことが、良くわかります。
で、この映画。
あまりにありふれた内容ながら、出演している子供達が、
あまりに屈託の無い笑顔なんで、なんか許してしまおう
という気になります。
にしても、お客さんは大人ばっかり。
どういった観客を視点に入れて撮った映画か、
不明なんだけど、まあいいか、と思わせるくらい、
出演している小学生の笑顔が新鮮でした。
- 『プレッジ』
俳優ショーン・ペンが監督として撮った映画。
ショーン・ペンも、監督として何かにじみ出るものがある
監督なんだけど、どうもどれも、
内容がなじめないものが多い気がします。
本作も、映画としての出来は素晴らしいんだけど、
ショーン・ペンの映画のラストシーンって、どれも嫌い、
これも嫌い、ってところですか。
出てる俳優達は、主役のジャック・ニコルソンは、
最近ますます老け込んでて、ちょっとなあ、という演技なんだけど、
それなりの持ち味を見せてます。
ショーン・ペンの実生活での奥さんの、ロビン・ライト・ペンが、
なかなか良い演技なんだけど、
それよりちょっとしか出てこなかった、インディアン役の
ベネチロ・デル・トロが、実に良い味出していたり、
脇がしっかりした演技でした。
ただ、もう一度言うと、ラストは嫌いです。
- 『怪盗ブラック・タイガー』
なんと、タイの映画。
昔の「怪傑ハリマオ」やら「月光仮面」のテイストを
わざと演出しているのか、
それともタイの映画のレベルとはこの程度なのか、
知らないけれど、なかなかその微妙な味付けが、
一部のファンにはたまらなさそう。
ただ、人が死にすぎだとは、思いますが。
- 『海は見ていた』
故・黒澤明が残した脚本を元に、熊井啓という人が監督した
映画らしい。
江戸時代の深川の遊女(売春婦)を、なかなか粋に描いていまして、
見ていて気分が良いです。
吉原ほど派手ではない、しっとりした江戸の暮らしを、
丹念に描いているのは、好感が持てます。
この夏は全体的に映画は不作で、あまり良い映画が無かったような気がしますが、
そういった中では、この映画は一番感動した映画です。
とは言っても、黒沢明自体の映画と比べるとナア、
順番つけると、20番目くらいかなあ。
(ちなみに黒澤の時代劇で一番好きなのは『椿三十朗』。
捕虜の役の小林某が最高。
次に好きなのは『隠し砦の三悪人』です。
まあ『七人の侍』は別格ですから。)
黒沢明原作(で監督してない)映画と比べても、
名作『銀嶺の果て』あたりと比べるのはかわいそうとして、
最近の『雨上がる』なんかの方が、なんか黒澤らしい切れが
あったような気がします。
だいたい私は、黒沢明の名前を使って、こういった商売をするのは、
あまり好きではないのです。
黒沢明は『赤ひげ』(三船敏郎と組んだ、最後の映画)以後、
ずーーーっとまともに、日本で映画を撮らせてもらえなかった。
本当に日本映画界は冷たく、一度は黒澤自身の自殺未遂という、
これ自体を映画化したら面白いだろうなあ、なんて
個人的には大事件もありました。
(この時代、
『どですかでん』なんてのもあったけど、ありゃあ言ってみれば
キワモノですからねえ。)
たとえば、ポーランドと言う、日本と比べて(さして)お金が
有るとは思えない国がありますが、ポーランドの映画界が
ポーランドの至宝、アンジェイ・ワイダ監督を自殺に追い込むような、
そんな冷たい仕打ちをしたことがありますか?
70年以降、さしてお金が有るとは思えないイギリス映画界が、
大監督の(『アラビアのロレンス』が最高の)デビッド・リーンに、
(まあでも、往年の巨匠も、70年以降は大した作品は作らなかったですが)、
そんな冷たい仕打ちをしましたか?
でも日本の映画界は、巨匠・黒沢に冷たかったのです。
(日本では、出る杭は打たれる、という島国根性が問題、
という話もありますが。)
で、そういう不遇の黒沢に手を差し出したのは、
やっぱ何故か、外国なんです。
これが悔しいとこですが、日本駄目だね。
ソビエトで最大限の敬意を持って迎えられ
(なにせ本物の野生の虎が撮影に必要なら、本当に
捕獲してきてしまうのですから)、『デルス・ウラーザ』を
撮りますが、それでもやっぱ日本映画界は冷たかった。
で、スティルバーグやジョージ・ルーカスという、
黒澤の個人的大ファンのビッグ・ネームが見るに見かねて手を差し出して
(と言っても、制作費はたった3億円なんですが、当時の黒沢には
この程度のお金も、貴重だったのです)、
やっと苦難の果て『影武者』を監督、カンヌ映画祭でグランプリを
獲得し、メデタシ目出度しです。
(ただ個人的には、3億円と言う安いお金で作ったのがたたって、
映像的には厚みが足りないと思います。
こんなんでカンヌで賞をとって良いんだろうか?
私はその次の『乱』の方が、
10倍くらい映画としては上だと思ってますが。)
で、やっと黒澤明は復活できるのですが、
その間の失われた10年は、本当にもったいなかったです。
一番仕事できる歳に、こんな冷たい仕打ちをしといて、
その日本映画界がいまさら黒沢明の名前を使って商売するなんて、
という気持ちです。
とはいえ、埋もれた脚本をこうやって丹念に発掘するというのは、
まあ価値有ることなのでしょう。
ただ、黒沢明が生きているうちに本人に撮らしてあげたかった
ですがね。
- 『メン・イン・ブラック2』
人気シリーズの第2段。
地球には既にエイリアンが住んでいて、
一般人には秘密なんだけど、それを密かに取り締まる組織、
メン・イン・ブラックがある、という話。
前作はなかなか原作コミックの設定を上手に生かして、
なかなかハチャメチャな出来になっていて好きなんだけど、
本作は、ハチャメチャさがイマイチ足りませんなあ。
久々の(「ツイン・ピークス」が良かった)ララ・フリン・ボイルの
妖しげな魅力は良かったんだけど、それだけじゃあナア。
宇宙人たちも、迫力不足。
次回作(が有ればなんだけど)に、期待しましょう。
- 『きれいなおかあさん』
コン・リー主演の中国映画。
コン・リーが、耳に障害がある子を持つ母親を演じていますが、
やっぱ小学校の校長が言うように、子供は聾学校に入れた方が
良いように思うなあ。
その設定に無理があるような気がして、なんかこの映画も
嘘っぽく感じられました。
私自身、もうちょっと素直に感動しても良いんだと思うんだけど、
私の家の近くには、聾学校があって、小さな頃からそういった学校には
違和感が無いので、なんでコン・リーが自分の息子をそこに
入れたがらないのかがわからない。
じっさい、名鉄尾西線でよくいっしょになりますが、
はたで見ていると、普通の子供とどこが違うのか
わからないです。
そのような学校に入れたくないというのは、
単にコン・リーの偏見ではないのですか?
息子のためにも自分のためにも、そういった学校に入れた方が、
絶対良いと思うのですが。
こういった学校には、なにか問題があるんですかねえ。
特に重大な問題でもない限り、こういった学校には素直に入れたほうが、
良いと思うし、そうでないと、こういった学校の存在意義自体が
疑われてしまうでないですか。
もし、特に問題でもないのであれば、
親の入れたくないという気分は分かりますが、
そういった(ある意味で親のわがままで)多くの周りの人の
負担が増える、ということも、もうちょっとちゃんと
議論した方が、良いと思います。
それと、コンリーが言っていた、補聴器を付けている子は、
メガネをかけている子とどこが違うのか、という議論は、
やっぱ無理があるような。
ここまで子供の症状が悪かったら、やっぱりその方面の教育の
専門家に任せるべきではないだろうか。
そのあたりの議論が無くて、親の愛情のみに焦点が当てられているので、
ちょっとなあ、と思ってしまいました。
その親の愛情は、本当に子供の為なんだろうか...
それで、
この問題に関して、私は良く知らないので、だれか詳しい人、
何か教えていただけると幸いですが。
どっちにしても、この映画は、この問題に関して消化不足な気がしました。
- 『裸のマハ』
ペネロープ・クルーズがハリウッド映画の出演を断って
出演したスペイン映画。
19世紀のスペイン王朝。
宮廷画家のゴヤが(名作なんだけど、陰毛が描かれている
というので当時スキャンダルになった)
絵画「裸のマハ」を完成した直後、公爵婦人が絵画に使われる
顔料で変死する。
で、その謎に迫る映画。
とまあ、面白そうなプロットは山ほど有るのに、
肝心の映画はと言えば、なぜか盛り上がらないのです。
さほど長い映画でもないのに、1時間も経ったら、長い台詞回しに
すっかり退屈しました。
脚本をもっと整理して、映画のテンポをもっと良くした方が、
良いと思います。
それと、ペネロープ・クルーズの貧弱なヌードが、
「裸のマハ」の豊満な肉体のモデルと言うのも、やっぱ無理だよなあ。
- 『アイス・エイジ』
数万年前の氷河期、動物達が人間の赤ちゃんを助けるアニメ映画。
アニメのキャラクターが、秀逸です。
動物を擬人化した話には、昔から食物連鎖の話がタブーなんです。
なにしろ、擬人化した動物達が食べ合えば、共食いに見えますからね。
(かつて、手塚治の「ジャングル大帝」で、動物レストランという、
あぶないネタがあったそうですが。)
ところが、この映画は、このタブーをどうどうと破り、
食物連鎖を真正面からとらえた、はじめての動物モノじゃあ
ないでしょうか。
そう言う意味では、たいへん珍しいですねえ。
ただ、サーベル・タイガーが快楽のために殺人をしたがるという話の設定は、
違和感がありますね。
自然界広しと言えども、快楽のために生き物を殺すのは、人間だけですからね。
- 『華の愛』
宮沢りえがモスクワ映画祭で主演女優賞を受賞した中国映画。
20世紀初頭の中国の金持ち、宮沢は元歌姫で、見初められ、
そこの5番目の嫁として嫁ぐ役なんだけど、
やっぱ独特の美しさがありますね。
思うに、中国系女優というのは、みな目がきついんですよねえ。
というか、緊張感がフィルムの向こうから伝わってくる
ような人ばかり。
(代表例は、本作には出ていませんが、世界一目つきの悪い女優、
ケリー・チャン。)
それに比べると、宮沢りえってのは、ただ出てくるだけで、
画面が何となく和らぐ感じですねえ。
まあその存在感で主演女優賞が取れたんでしょうねえ。
ただ、映画自体は退屈だったですがねえ。
- 『海辺の家』
ケビン・クライン主演の映画。
妻とは離婚、息子は不良、仕事はクビ、おまけに癌で余命が
あまりない男が、家を自分の手で建てることを思いつき、
そのプロセスで、皆が幸せになっていく、という、
予定調和的映画。
家を建てるプロセスは良く出来ていて感動的なんだけど、
最初のエピソードで、はたしてこれほどの不良息子が、
これくらいの説得で、簡単に父親に同居してくれるんだろうかなあ、
という疑問がどうしても残ります。
こんな簡単に同居してくれれば、今の日本の家庭崩壊の問題も、
もっと簡単に解決できる気がする。
実際は、こんなに簡単に行かないから、みんな苦労してるんだと
思うんだけど。
ここの詰めが甘いもんで、あとの話も嘘っぽく感じられてしまって、
映画に集中できんかった。
息子が同居する、なにか必然性が無いとナア。
映画ってのは、こう言ったディテイルが大事なんだけど、
製作のアービン・ウィンクラーは、伝統的に
こういったところが弱いんだよなあ。
うーーーん、ラストは好きだけど、このあたりが
ウィンクラーの限界か。
- 『ノーマンズ・ランド』
紛争おさまらぬボスニア・ヘルツェゴビナ。
ふとしたことから、両軍がにらみ合う中立地帯にのこされた
セルビア兵のニノとボスニア兵のチキ。
はたして2人は助かるのだろうか?という映画。
はっきり言って、この映画はものすごく面白い。
そして笑える。
内容があまりにも悲劇的すぎるもので、
もう喜劇で描くしかないのです。
この映画は、アカデミー外国映画賞を始め、世界中の映画祭で
数多くの賞を受賞したんですが、それももっともです。
それにしても、両軍をはじめ国連軍とかマスコミとか、
なかなか描き方が凄い。
そしてラスト。
あまりの悲劇は、喜劇以外の何者でもないのです。
- 『ピンポン』
松本大洋の漫画を、映画化したもの。
「タイタニック」でCGを担当した曽利文彦監督の、
初監督作品。
それにしてもCG出身の監督がスポーツを描くわけだから、
「小林サッカー」のような、ハチャメチャなCGを
期待した人は、残念。
描かれているピンポンのシーンは、実にオーソドックス。
とにかく、本当にピンポンをやってるように見える。
それでいて、見ている者が引き込まれるのです。
この作りは、なかなか上手いです。
主役の窪塚洋介はじめ、ARATA とか、なかなか
特訓の成果が出ています。
ラストも良かったし、音楽ともあってた。
それより何より、驚いたのは、脚本と監督の大胆な演出。
一見原作に忠実なようで、あくまでも監督の中にある
「ピンポン」のイメージなんですよねえ。
まあ、キューブリックの「シャイニング」や「2001年宇宙の旅」
ほどではないのですが、この監督、なかなかやりますよ。
- 『スターウォーズ、エピソードII、クローンの攻撃』
いやー、このシリーズもやっと第5作ですかあ。
思えば今から20年ほど前、私がまだ浪人生だった頃、
エピソードIV、すなわち第1作が来たわけですが、
名古屋のヘラルド会館に当時有った巨大スクリーンで、
見たんですが、あまりに感動して、そのまま4回続けて見ました。
これほど完璧なSF映画は、当時は小学校の時見た
「2001年、宇宙の旅」くらいしかなかったからなあ。
「2001年、宇宙の旅」は、あまりに完璧な撮影のため、
当時、まねを出来るスタッフがいなく、
これに匹敵する映画は10年経って「スターウォーズ」が
現れるまで、なかったわけです。
当時、映像を合成しようとすると、どうしても
合成したところに、白い線が出てしまう。
で、「2001年~」では、その線が見えなくなるまで、
繰り返し繰り返し、完璧に合成できるまで、
延々と撮影したわけで、当時としては
考えられないくらいの巨額のお金と時間が、かかったわけです。
で、あまりに凄いお金と時間がかかったので、
まねる映画が出てくる余地がない。
で、「スターウォーズ」は、コンピュータによってカメラを
駆動させ、合成を完璧に行えるようにしました。
これは、凄いアイデアだったわけです。
まあ、しかし、今見ると、ずいぶんローテクのところもあります。
たとえば、ライト・セーバがのびるシーンは、
カメラを一時止め、その間に出演者がライト・セーバを
持ち変えて、のびたように見せましたから、
今ビデオで見ると、画面が若干、ピクッと動きます。
しかし、ラストのデス・スターの溝に突っ込んで行くシーンなんか、
何千万円もするカメラ(特撮用のカメラは高い)を、
紐に通して上から落とすことによって、
あの迫力あるシーンは撮影されたわけで、
ハイテクとローテクが入り乱れて、あの迫力のある
映画は出来たわけです。
で、やっと第5作まできまして、第1作、エピソードIV に
繋がる多くの登場人物も出てきまして、
なかなか興味深い展開になっています。
まあ、ストーリ自体は、そんな面白い展開には出来ませんから、
この辺の絡みで、お客さんを退屈させないような趣向なんでしょうねえ。
まあ、いつもながら、そつのない演出でした。
- 『猫の恩返し』
スタジオ・ジブリの最新作。
「ナウシカ」やら「千と千尋の恩返し」ほど大きな作品では
ないですが、1時間半という時間で、ジブリらしい良質な
作品になっていると思います。
- 『ギブリース』
「猫の恩返し」と同時上映されたスタジオ・ジブリの
実験的ギャグ映画。
それなりに面白かったけど、「猫の恩返し」を見に来ているのは、
そうとう小さな子供もいるので、それといっしょはどうかなあ、
と思いました。
以下は7月に見た映画です
- 『トンネル』
いやあ、なかなか凄い話も有ったもんだ。
少し、この映画の背景となった歴史を、説明しておきます。
第2次世界大戦後、ドイツの首都ベルリンは、アメリカ、ソビエト、
イギリス、フランスの
4ヶ国によって分割統治されました。
しかし問題は、戦後、ドイツの東半分が、ソビエトの傀儡の
東ドイツになったので、ベルリンはその東ドイツに、
すっぽり囲まれてしまったのです。
アメリカは威信をかけて、ベルリンの西側統治地帯に、
物資を空輸して、ベルリンの西側地帯は保たれたわけです。
で、はじめのうちは、ベルリンでは西側と東側の境は、
比較的簡単に行き来できました。
この状況を利用して、
東ドイツから西ドイツに亡命したい人達が、ベルリンで亡命事件が続発、
多発。
東ドイツの面子は、丸つぶれ。
で、1961年、東ドイツはベルリンに、西側地帯と東側地帯の
行き来を制限するために、壁を作ったわけです。
(後に、ソビエトが潰れ、東ドイツも連鎖的に潰れ、ベルリンの壁も、
崩壊するんですがねえ...)
この映画は、壁が出来た直後、東から西に亡命させるために、
200m近いトンネルを掘った人たちの、実話のドラマ。
この映画は2時間以上の長い映画なんですが、
はっきり言って、面白いです。しかも実話、凄いです。
お勧めです。
- 『青い春』
松本大洋原作の漫画の映画化。
今風の不良群像を、乾いた感覚で描いています。
主演の松田龍平が、良い味出してます。
とはいえ、
(映画は、いかにも松本漫画のテイストで、それなりに
頑張っているとは思うのですが)、私にはイマイチな印象だった。
で、映画を見終わった後、漫画を読んでみて、何となく
その原因がわかった気がしました。
原作は短編集で、映画はその中からいくつかのエピソードを
集めて映画化しているんですが、私の印象では、上手く、
こなれていないような気がします。
原作の短編と言うのは、一つ一つ、どこに着地させるか、
実に計算されてて鋭いんだけど、一つ一つは、その着地地点が
微妙にずれている。
で、映画は、そのズレを調整できずに、
これらのエピソードを合体させて来た感じなんです。
だから映画の中の一つ一つのエピソードに、どこか違和感がある。
本当は3話からなるオムニバズ形式ぐらいが良いような気もしますが、
松田龍平というピッタシの俳優を得て、これで全部作ってみたくなった
気も分かります。
だとしたら、この微妙なずれを映画に生かすためにも、
もっと脚本を練った方が良かったような気もします。
(同じような、漫画原作で、短編集を一つに集約させた映画に、
吉田秋生原作の『桜の園』という映画がありますが、
これはやっぱ脚本が巧みです。また『桜の園』の監督は、
ポルノ映画出身だけ有って、映画館の大きな画面に映される
女子高校生達の肌が本当に美しかったです。ビデオで見るには、
この美しさは惜し過ぎる。)
本当に優れた原作付き映画と言うものは、一見原作を引用しているようで、
実は原作を無視しているのが良いと思う
(例、キューブリックの『シャイニング』や、まだ見てないけど、たぶん
同じく松本大洋原作『ピンポン』)んですが、この映画は
原作の味を忠実になぞりすぎて、作者の繊細な微妙差が、
こなれきれなくて失敗した例かなあ。
- 『暗い日曜日、(原題)Groomy Sunday』
戦前、世界中で大ヒットしたシャンソンで、「暗い日曜日」と言うのがあります。
この曲を聴きながら、多くの人が自殺をしたので、発売禁止になったと言う、
いわく付きの曲なんだそうです。
これは、もともとピアノの曲だったらしいのですが、
その曲にまつわるエピソードを、戦前のブタペストのナチスにまつわる
話と上手く絡めて、作られた映画。
まあ、ストーリは、純粋なフィクションでしょうが、なかなか
この曲の生まれたエピソードを思わせるような、上手な
展開になっています。
なにしろ曲自体が身震いするような凄い曲ですから、
この映画の話にも、十分説得力があります。
とにかくブタペストという街の持つ危うさと、この曲の
持つ危うさと、ユダヤ人の置かれた立場が、なかなか
興味深く展開し、本当に面白い映画でした。
物語の語り口は、本当に鮮やかに、この曲の持つ怪しげな魅力を、
解説してくれます。
ほんとうにこの映画のラストは、鮮やかなんです。
でも、一つだけ難点を言わせてもらえば、
あまりに鮮やか過ぎるのが、ちょっとひっかかるんです。
この曲は人間の内面の割り切れない
部分を描いていて、その何とも言えず、もやもやしたものが
魅力なんだと思うのですが、
それに反して、
この映画のラストの
鮮やかさは、あまりにも割り切れすぎ。
もうちょっと割り切れないラストでも良かったような。
でも、それは贅沢か。
にしても、この映画には、
ナチスで戦時中に上手いことやって、戦後大もうけした奴が描かれていますが、
日本にも似たような奴って、いっぱいいるよなあ。
(日本人を裏切り、戦時中保身に走り、戦後もそれを利用して
大儲けをした軍人や民間人の卑怯者のことなんですが。)
日本やドイツ、どこにも同じような奴って、いっぱいいるんですねえ。
- 『穴、(原題)The Hole』
イギリスの名門パブリック・スクール。
4人の生徒が失踪するが、18日後一人が発見される。
はたして、真相は?
ってな映画。
なかなか、怖がらせ方は上手い。
ただ、ちょっとストーリが破綻しているところが気になるが。
ところで、これぐらいの騙しで、イギリスの警察って納得するのかなあ。
- 『タイムマシン』
H.G.ウェルズ原作のSFを、H.G.ウェルズの本当の孫のサイモン・
ウェルズが映画化した映画。
映像で見せる技術は、なかなか凄かったです。
まあ今時は、これぐらいの映像は簡単に作れるんでしょうが、
それでも見応えは抜群でした。
しかし、だからこそ、
見終わった後に
「だから、どうなの?」と言いたくなってしまうところも
あるんですが。
ちょっと、哲学的過ぎるような気もするんですが。
もうちょっと、ストーリがあっても良いような...
- 『銀杏のベッド』
韓国のファンタジー映画。
1000年の時代にわたる銀杏の木に
まつわる話です。
『シュリ』のカン・ジュキョン監督のデビュー作。
それにしても、本作は話は大変面白かったけど、
何かずいぶん雑な映画に見える。
『シュリ』は、本当に完成度の
高いミステリーだった(それにしても、その謎解きは
むつかし過ぎた)のに、それと同じ監督とは
思えないです。
- 『燃ゆる月』
韓国のスターが多く出演しているファンタジー
時代劇映画。
まあ、その豪華さが売り物の映画なんですが、
2000年に作られた映画にしては、
豪華さを感じないのはどういうわけなんだろうか。
ハリウッド映画と比するのは愚かですが、
香港映画のようなハチャメチャ・ワイヤーアクションとか、
なにか吹っ切れたところがないと、特色を
出すのは難しいだろうなあ。
そういった点が、この映画はちょっと
物足りないです。
以下は6月に見た映画です
- 『スコーピオン(原題)3000 miles to Graceland』
この映画、最低映画に捧げられるラズベリー賞に5部門も
ノミネートされながら、1つも賞が取れなかった映画らしい。
結論から言うと、この映画はものすごく面白いです。
スピーディーな展開に俳優が上手く絡み合い、
実に上質な映画になっている。
つまり一見B級映画を模していて、実は(隠れ)A級映画なんです。
カート・ラッセルがこんな良い俳優とは知らなんだ。
クリスチャン・スレータは完全に脇役です。
で、問題はケビン・コスナー。
彼のファンには申し訳ないけど、かれは本当にここんとこ
酷かった。
かつて「ダンス・ウィズ・ウルブズ」のような頂点を
極めた映画を、自ら主演して自ら作ったなんて、
いまじゃあ信じられない。
ずーーーと落ちっぱなし。
あげくに「ポストマン」ではラズベリー賞を見事受賞。
彼本人が授賞式に出席。(これは異例のことなんだけど。)
まあこの映画は、本当につまらんかったからなあ。
本作、コスナーは、やっと悪役で、良い感じになってきた。
私の持論では、俳優は悪役で復活する。
本作の悪役は、それこそ情け容赦ない、というのを
映像化するとこうなるか、と役。
「パーフェクト・ワールド」の、あの甘すぎる、
砂糖をまぶせすぎた悪役とは、まったく違った役柄です。
ただそれだけに、ラストもそれに徹して欲しかったけどなあ。
- 『ルーブルの怪人』
ソフィー・マルソー主演のルーブル美術館もの。
毎夜、ルーブル美術館に現れる怪人の正体は?
なんせ、ルーブル美術館の映像が実際に使えるのだから、
なかなか見応えある撮影、ストーリも悪くない、
マルソーの怖がり方も、どうに入っている。
エジプトの古代の話も、なかなか説明が上手い。
ところが、なぜか話が盛り上がらない。
その原因を考えてみるに、やっぱ肝心の
怪人が、なんか高校の文化祭のような扮装で、
リアリティーが無いのです。
しょうがないから、マルソーが頑張って演技している
んですが、それがむなしく、空回りするだけ。
本当にこんな映画、フランスでヒットしたんですか?
- 『マジェスティック(原題)The Majestic』
フランク・ダラボン監督。
この名前は、今やブランドなんでしょうかねえ。
映画館で並んでいても、「この監督って『ショーシャンクの空に』
(ありゃあ、良い映画だったからなあ)の
人なんだってねえ」なんて声も聞こえる。
しかし、やっぱ彼が凄いのは、そういった期待に、まったく
応えれることなんですかねえ。
一言で言うと、この映画は面白い。
しかも泣ける、感動も出来る、完璧な映画なんです。
つまり、お勧めなんです。
話は第2次世界大戦後、一つの村で60人以上の若者が
戦死した村。
そこへ、記憶喪失の青年(ジム・キャリーが良かった)が現れ、
かれは戦死した若者の1人であることになるのだが...
まあ、種明かしは、初めから分かってますから、なんですが、
それにしても、ここで言っておきたいのは、フランク・ダラボンの
演出は凄い。
なかなか見てる人を、「ああ、そうなんだ」という境地には、
連れていってくれない。
それにしても、その予測できないラストは、凄いです。
まあ、これがダラボンの真骨頂。
「ショーシャンクの空に」でも、あのラストは凄いでしょう。
私も大好きなラスト・シーン。
でも今回も良いんです。私は好きだなあ。
- 『ヘドウィック・アンド・アングリー・インチ(原題同じ)』
アメリカで大ヒットしたミュージカルを、
ミュージカルと同じジョン・キャメロン・ミッチェルが
監督・脚本・主演を兼任して映画化したもの。
アングリー・インチとは、性転換手術に失敗して、
股間に残った1インチの物のこと。
性転換手術に失敗したのが主人公なんだが、
その主人公がロックで自分の人生を歌う。
と言っても、もうハチャメチャな内容で、
なかなか楽しいです。
なかなかロックを主体とした映画って、音楽が難しい。
「あの頃ペニー・レインと」では、ほとんどの曲を
ロキシー・ミュージックのメンバーが担当してますが、
どうもそれが、(映画は良いんだけど)音楽がイマイチだった。
「ベルベット・ゴールド・マイン」では、
70年代のグラム・ロックの名曲を余すとこなく使って、
こっちは大成功。
本作は、音楽が凄く良いんだけど、ロック・ミュージシャンでなく、
ミュージカルの音楽を担当している人が作ってるんで、
厳密にはロックではないかも知れない。
でも、そのかわり、物語を音楽で語らせるにはピッタリ。
そしてえげつない内容にピッタリの、えげつない音楽で、
大成功だと思います。
- 『ハイ・クライムズ(原題)High Crimes』
アシュレー・ジャッドとモーガン・フリーマンの軍事法廷物。
出演者だけ見ると、「コレクター」やら「スパイダー」と
同じシリーズの映画かと思ってしまいますが、
全く関係ない話になっている。
まったく別の映画と思わせるため、モーガン・フリーマンの
キャラクターは、かなり変えてきています。
この軍事法廷物ってのは、「ア・フュー・グッド・マン」とか、
あまり映画で描かれることの少ないジャンルですが、
本作ではその不合理さが存分に描かれている。
本作が描く軍事法廷ってのは、サッカーに例えると、
サポータは全部敵の味方、審判も相手に買収され、
サッカー協会自体も敵の味方という中で、
サッカーの試合をするようなものです。
で、夫の無実を晴らすため、アシュレー・ジャッドと
モーガン・フリーマンは悪戦苦闘するんだけれど、
物語は本当に意外な展開。
これはなかなか見事です。
それにしても、「トゥーム・レイダー」では、
下唇が巨大だったアシュレイ・ジャッド。
本作は本当に美人です。
- 『ブレイド2(原題)The Brade II』
アメリカのコミックが原作の映画。
吸血鬼と人間の混血を、ウェズリー・スナイプが
演じています。
にしても、ここ10年くらいのコミック原作アクション映画って、
なかなか侮れないんですよねえ。
「Xメン」は酷かったけど、「スパイダー・マン」やら
「スーパーマン」やら「バットマン」やら、
どれも、なかなかのものだと思います。
で、本作、まあまあじゃあ、ないですか。
小道具の使い方とか、吸血鬼との戦いとか、
なかなかのものだと思いますが。
- 『スコーピオン・キング(原題)The Scorpion King』
「ハンナプトラ」という、ミイラがウジャジャ出てくる
映画があって、その中のキャラクターが独立して
映画になったそうな。
まっ「ハンナプトラ」は、
面白いとか、面白くないとかのレベルじゃあなくて、
とにかく、あまりに多いミイラに辟易とする映画でした。
(まあ原題が「The Mammy」つまりミイラですからね。)
それにしても、こういった映画を見るにつけ、
やっぱ「インディー・ジョーンズ・シリーズ」は
偉大だなあ(私のお気に入りは、第2作「魔宮の伝説」。
これこそ、本当の意味の、ジェットコースター・ムービー)
と思ってしまいます。
なんだかんだ言っても、スティーブン・スティルバーグは
偉大です。
で、「スコーピオン・キング」の出来は、
どうだったかって。
うーーん、やっぱスティルバーグは偉大だなあ...
と思った。
なんで「インディー・ジョーンズ」より面白い
映画を作れないんだったら、こういう映画を作るんだろう。
技術も進んでいるんだから、もっと面白いものを
作ってくれよお。
ちなみに、主演しているザ・ロックというのは、
WWFという団体のプロレス・チャンピオンです。
ちなみに、WWFは自分たちのことをスポーツ興業とは言わずに、
ショーと言ってますから、チャンピオンも俳優に
うってつけ。
ちなみに、私の好みは、昔のアンダーテイカー、
最強のレスラーは、若くして死んだブルーザ・ブロディーです。
- 『アイ・アム・サム(原題)i am sam』
7歳の知能しか持たないサムが、子育てが出来るか、
という映画なんだけど、簡単なお涙頂戴ものとは違って、
なかなか深みのある映画でした。
監督は、「グッドナイト・ムーン」や「ストーリ・オブ・ラブ」の
脚本を手がけたジェシー・ネルソン。
まあ、こういった映画はお手の物、って感じで、
実にそつなくこなしてます。
主役のサム役をやったショーン・ペンとか、
サムの娘役のダコタ・ファーニングの達者な演技はさすがですが、
それ以上に、ミッシェル・ファイファーの演技が、良かったです。
今までで、最高かなあ。
養育する能力がないと判定され、娘を施設に取られたサムは、
裁判で取り返そうとして、弁護士に頼む訳なんですが、
その相手が最悪の弁護士ミッシェル・ファイファー。
もう、この最低ぶりが良いんです。
本当に上手い。
この人の演技で、映画にぐっと厚みがついて、
映画は単に、「身障者ってかわいそうねえ」とか
「愛が有れば能力がなくったって大丈夫」とかの、
安易な結論から、救われています。
本当にこの映画を見て、人々って簡単に愛が有れば大丈夫、って言うけど、
そんなに簡単なものなのかなあ、って思ってしまいます。
あと、映画を彩るさまざまなビートルズの曲たちと、
サムが語るビートルズのエピソードが、
映画に華を添えています。
ただ私は、ビートルズは、まだガキンチョだった「サージェント・ペッパー〜」
前のレコードが好き(一番ロックだったのは「ヘルプ」、一番まとまりがあるのは
「ラバー・ソウル」)なんで、この映画の選曲は、ちょっと
不満ですが。
ま、しかし、良い映画でした。
- 『ニューヨークの恋人(原題)Kate & Leopold』
「17歳のカルテ」はなかなか才気溢れるところを見せた
ジェームズ・マンゴールド監督。
今回は究極のロマンティック・コメディーに挑戦したわけです。
究極だから、主人公はもう、メグ・ライアンしかいないでしょう。
ちょっと調べたら、1981年の「ベスト・フレンド」が
デビュー作。
1986年「トップ・ガン」にチョイ役で出てたのが運が開くきっかけ。
ようするに、ロマンティック・コメディーやって、ハヤ20年、
年期の入り方が違います。
本人は、ちょっと前まで、「40過ぎてロマンティック・コメディーは
どうかねえ」と言って、「戦火の勇気」なんかに出てたんだけど、
「プルーフ・オブ・ライフ」で競演したラッセル・クロウに実生活で
ふられてからは、
「私はやっぱロマンティック・コメディーよねえ」、と
開き直っています。
で、究極のロマンティック・コメディーなんで、相手は
イギリス貴族、それも18世紀と来るんだから、
もう恐いものなし。
泥棒に鞄を盗まれれば、白馬にまたがり追いかけるし、
女性が席を立つときは、さりげなく立ち上がるし、
会話はユーモアーに富み、動きはエレガント、
まあイギリス貴族の実像(イギリス貴族はいつの時代も没落しつづけ、
常に成金が入ってくることによって、それは成立してた)はともかく、
アメリカ人が思い描く理想の貴族(アメリカ人のイギリス・コンプレックスは、
もうほとんど病気ですから)は、十分すぎるくらい描かれています。
まあ、だからマークス某さんみたいに、勘違いして
イギリス貴族(と言っても、たった3代目の、小売業から財をなした、
典型的成り上がりで、我々が思っているような、中世からの先祖代々の
貴族とは違いますが)と結婚してしまう人も、いるんだろうなあ。
- 『KT』
今から30年くらい昔、今の韓国大統領の金大中氏が
日本で誘拐されて、韓国で発見されるという事件がありました。
その事件を「どついたるねん」の坂本順治監督が
韓国と共同製作して作った映画。
それにしても、当時の韓国って、こんなことを
していたのね、という衝撃的な事実のオンパレード。
そりゃまあ、北朝鮮も悪いけど、それに対抗するためとは言え、
軍事政権というのは、やりたい放題なんだなあ。
(とうじ韓国は、クーデターにより出来た軍事政権だったらしい。)
坂本監督って、「どついたるねん」とか「トカレフ」とか、
印象的なんだけど、ここのところ「顔」は良かったけど、
どうも、お疲れ、って感じがしていたんだけど、
それを吹き払うために、脚本家に脚本を頼んだ(今までは、
自分で脚本を書いていた)のは、マンネリを打破する意味でも、
良い選択だと思います。
そのため、いままでの坂本映画だと、最後に何かしら
いごごちの悪さが残るんだけど、このラストシーンも
下手するとそうなりそうなのを、ギリギリのところで、
残ったと思います。
- 『Hush』
橋口亮輔監督の映画。
ゲイのカップルのところに、彼の子供が欲しいという
女が現れて、てんやわんや、という話なんだけど、
カンヌの監督週間に招待されただけあって、
なかなか最後まで見せます。
まあ、映画ってのは、奇想天外なストーリを、いかに
リアリティーを持って見せるか、がポイントなんだけど、
これなんか、本当に上手いと思う。
カメラは長回しで、出演者達の演技というか、自然な姿を
ズーと撮影しているだけなんだけど、その間がなかなか
良いです。
- 『愛しのローズマリー(原題)Shallow Hal』
「メリーに首ったけ」のファレリー兄弟の最新作。
ファレリー兄弟も「ふたりの男とひとりの女」はイマイチだったんだけど、
本作で見事に蘇ったなあ。
どうもファレリー兄弟は、ジム・キャリーのような
アクの強いコメディアンと組むと、そのアクの強さが
重なってしまって、イマイチな印象なんだけど、
キャメロン・ディアスのような、未知な才能を引き出すのは、
これが実に上手い。
本作も、どうも演技の方はパッとしないヴィネス・パルトロウを
上手に使って、実に良い映画に仕上がってます。
もちろん内容は、ファレリー兄弟のことなので、
差別とか奇形とかのオンパレード。
この異形に対するこだわりは、フェリーニみたいなもんだな。
テーマはずばり、女は外見か中身か。
要するにオッパイが半分の女と、脳味噌が半分の女、
どうしても選ばなければならないとしたら、どっち、という、
あいかわらず無茶苦茶な内容なんだなあ。
私個人的には、小児病棟のエピソードには、ジーンと来たなあ。
- 『模倣犯』
宮部みゆきの同名の小説の映画化。
スマップの中居君が出演していることで、話題になったらしい。
原作はとっても有名な小説らしいんだけど、
その優れているらしい原作が、本当に気の毒になるほど、
映画は酷い出来だった。
とにかく演出とか編集とかじゃなくって、
脚本が酷すぎる。
監督の森田芳光自身が脚本も書いているらしいですが、
このストーリでは、原作がどう面白いかが、
まったく分からない。
それどころか、完全犯罪にしては犯人は間抜け
だし、
設定も間が抜けてる。
たとえば、2人を殺すのに、そんな別荘の近くで殺して良いのか、
と思ってしまうし、別荘で食べてるあの豪華な食事は、
誰が作って、誰が片づけるのか、とか、見ていて
あまりに間抜けな脚本に、もうすっかり白けてしまった。
そのあげくに、なんの脈絡もなく、いきなり中居君がテレビ出演。
あれにゃあ、ぶったまげたが、ラスト・シーンの
間抜けさには、もっと吃驚。
とにかく森田監督は、監督のセンスは並からちょっと下ぐらいだけど、
脚本のセンスは全くないから、だれかに書いてもらった方が、
良いと思う。
私が思うに、原作がある映画というのは、難しいのです。
それは、本の世界と映画の世界が、本質的に違っているからねえ。
まず、ちょうど良い長さってものが、違いすぎる。
だいたいの原作は、映画にすると長すぎる。
スティーブン・キングの映画化は、ほとんどが短編ですからねえ。
で、そのまったく別物の小説の世界を、その小説の面白さを
残したまま映画化するには、その小説家以上の力量を、
求められると思う。
だいたい、映画の出来というのは、半分以上は脚本で
決まってしまうので、ハリウッドの脚本家は、とても
良い給料を、もらっているらしい。
で、その高い給料につられ、優秀な人材が集まる。
(日本だと、漫画やアニメに、多くの優秀な人材が
集まるけど。)
ハリウッドでは、原作付き映画が、ここの所多いけど、
だいたい上手く言っているのは、やっぱ優秀な脚本家が
多く存在するからでしょう。
(昔は日本同様、ハリウッドでも原作付き映画で、
けっこうこけるケースも有ったけど。)
日本だと、「マークスの山」もつまらんかったけど、
どうしても脚本家が弱いんだなあ。
というより、黒沢明監督以後、脚本という仕事を
なめているというか、片手間の仕事としか、
考えていないんじゃないかと思えてきます。
まあ、森田監督も、ちょっと脚本の仕事を
軽く考えすぎだったんかなあ。
とにかく、つまらん映画だった。
- 『少林サッカー』
今までも、ばかばかしい映画ってのは、山ほどあったわけです。
しかし、まあそう言った中でも、この映画は王道中の王道と
言って良いでしょうねえ。
この馬鹿馬鹿しさに対抗できるのは、
「ボンベイ to ナゴヤ」レベルだろうけど、
この映画は、けっこうB級C級のテイストを残しながらも、
ワイヤー・アクションや特撮はまじめに作っているところでしょう。
昔流行った漫画「アストロ球団」を、サッカーに変えて、
実写で見せると言えば、その雰囲気を分かってもらえるだろうか。
内容は、もろサッカー・ワールドカップを当て込んだもので、
少林寺拳法でサッカーをやって、とんでもない技を
繰り広げる、ということなんだけど、
以外とストーリに膨らみを持たせてあって、
なかなか、それだけですまないところになっている。
にしても、冒頭にキューブリックの名作映画のパロディーを
持ってきたのには、ぶっとんだですね。
- 『鬼が来た(中国語題名)鬼子来了』
カンヌ映画祭でグランプリを取った中国映画。
どうも、昔から戦争映画には腑に落ちないことがある。
もうすぐ公開される「ワンス&フォーエバ」には、
ベトナム戦争で戦った兵士達は、ごく普通の
一般人だった、と描きたいようなんだが、
そうすると、ソンミ村の大虐殺(アメリカ軍がベトナムで、
一般人の村を全員大虐殺した事件で、これは
映画の出来事ではなく、まったくの事実)を行った兵士達との
ギャップは、どうなるんだろうか。
「ワンスー」は、今までのハリウッド映画は間違った
アメリカ兵のイメージを作ってきたので、本当のアメリカ兵を描いた、
と言いたげな映画なんだけど、ハリウッド映画だって、
全くのデタラメを作っているわけではなく、
ソンミ村の大虐殺のような事実を積み上げて、
ああなったわけで、ソンミ村以外にも、見つかっていない
大虐殺はありそうなわけです。
で、普通の良き一般人が戦争に行って大虐殺をする、
そこに何があるか、このなかなか繋がらない線を、
「鬼が来た」では描いているわけです。
第2次世界大戦中の中国、日本軍に占領されて8年が経つとある村。
日本兵と村人とは、きわめて良好な関係で、実にホノボノとしています。
そこへ、ある夜、麻袋に入った日本兵2人が、放り込まれ、
訳も分からぬまま、あずかる羽目になる。
そこから、ユーモアのある展開で、なかなか退屈させずに見せるんだが、
なにか村に狂いが生じ始める。
そしてラストの30分は、本当にドキドキしました。
こんなにドキドキした映画は、久しぶりです。
本当に展開が読めない、と言うより、
こんなの有りーー、って感じで、なかなか不思議な感覚が残ります。
また、この映画は、中国映画にしては珍しく、「赤いコーリャン」のように、
一方的に日本軍が悪者、という描き方でもない。
まあ、そのあたりも含めて、カンヌ映画祭でグランプリを取ったにも関わらず、
未だに中国では公開されていないんだが。
(まあ、中国は未だに情報鎖国の国だから、そのまま映画が上映されることは
希ですが。)
ところで監督は、チアン・ウェンという俳優出身の監督さんです。
チアンは、その昔、(「初恋の来た道」や「あの子を探して」の)名監督
チャン・イーモウの名作中の名作「赤いコーリャン」で、
コーリャン酒にやけくそでションベンを混ぜて、コン・リーと
結婚する役で有名ですが、その他にも、
シャ・シン監督の「芙蓉鎮」とか、なかなか印象深い多くの
演技があります。
それが監督業もやるようになり、本作は監督と俳優と脚本と、
多彩なところを見せています。
ところで、本作は、日本軍の描き方もなかなか正確だと
私には見えるんですが。というか、中国人が作った割には、
そんなに一方的な描き方になってない。
それで、どちらかというと、日本軍に向けられるのと同じくらい
厳しい目が中国側にも向けられているのが興味深い。
そもそも物語の発端になるのは、日本人捕虜がいきなり
中国人に預けられるシーンなんですが、
映画では誰が預けたか、謎なんですが、
知ってる人が見れば、これは八路軍、つまり中国共産党の
軍隊の仕業だとわかるらしいです。
最後に国民党も出てくるが、いったいどれが本当に悪いのか、
なかなかはっきりしない描き方で、
中国政府から編集を迫られているんだが、しないもんで、
中国では上映が出来ないらしいです。
まあ、中国ってのは、今でも信じられないくらい情報鎖国の国で、
上海みたいな一見資本主義のところでも、まったくの
前近代的賄賂(日本の官僚も日本人はひどいと感じますが、
中国人には負けますって)がまかり通る国ですが、
WTOに本気で加盟したいんだったら、ちょっとは
世界標準にならないとなあ。
なんぼ、多くの国民をまとめるためとは言え...
以下は5月に見た映画です
- 『エトワール』
パリのオペラ座のバレエ団に密着して撮影したドキュメント。
なかなか興味深いシーンだらけでした。
まあ、私個人としては、世界最高のバレエは、ソビエト時代の
ボリショイ・バレエだと思っていますが、ソビエト時代に
アメリカで亡命事件があってから、ソビエト時代には
日本に本当に優秀なメンバーは来なくなったと言いますからねえ。
ロシア時代になってからは、やっぱ経済的な問題で、ちょっと
劣っているかなあ。
それにしても、資本主義の国で、予算の3分の2が国から
出されているなんて驚き。
それなら優秀なバレエ団が維持できるはずです。
- 『アトランティスの心(原題)Hearts in Atlantis』
スティーブン・キングの原作を、「シャイン」や
(工藤ゆきちゃんが本当に良かった、私おすすめの)
「ヒマラヤ杉に降る雪」のスコット・ヒックス監督が
映画化したもの。
まあ、内容は、ある少年が一夏に経験する出来事を、
スティーブン・キング独特の不思議体験ものを絡ませて、
実に巧みに作られています。
その不思議体験というのが、そんなに大したことではないのに
大したこと、後でじわっと、効いてくるのです。
アンソニー・ホプキンスの演技は、相変わらず確かですが、
少年のアントン・イェルチンや、
「スパイダー(原題)Along came a spyder」の演技が良かった
ミカ・ブーレンとか、演技陣も頑張っています。
ただ、スティーブン・キング原作の映画は、名作ぞろいなんで、
その中では6番目くらいかな。
ちなみに、そのランキングは、一番好きなのは
「ショーシャンクの空に」と(「ミザリー」に続いて
スティーブン・キングもので好演したキャッシー・ベイツが
良かった)「黙秘」で、それに続くのが
「スタンド・バイ・ミー」「ミザリー」「グリーン・マイル」って
ところでしょうか。
巨匠キューブリックの(私が大好きな)「シャイニング」は
どこに行ったのか、とお思いでしょうが、あれは完全に
キューブリックの映画で、キングの映画ではなくなっていますからね。
(本人も不満で、後に自分でテレビ映画化したらしい。)
本作もなかなか良かったけど、残念ながら私の評価では、
これらの映画の次くらいです。
- 『ローラーボール』
なんかこの題名、私たちの年代には懐かしいのですが、
ひょっとしたら昔ポール・ニューマン主演であった映画の
リメークなんかしら。
それにしても、マイク・マクティアナンの映画としては、
「ダイ・ハード」や「レッド・オクトーバを追え」ほどは
面白くはないのですが、後半は音と残酷シーンで、
盛り上がります。
ただ、やっぱり、主役のクリス・クラインは、
「愛ここにありて」と同じで、印象が薄いんだなあ。
内容のハードさに比べ、主役が食われています。
それにしても、ラストシーンは、納得行かないなあ。
最後に、音楽は、多くのリュック・ベッソンの映画を手がける
エリック・セラです。
- 『キューティ・ブロンド(原題)Legally Brond』
金髪の美人が、彼氏に振られたことから、弁護士を志すという、
サクセス・ストーリなんだけど、まあ内容は決まり切った
ハリウッド映画のサクセス・ストーリながら、
なかなか最後まで見せます。
監督はまだ30歳で、これがハリウッド・デビュー映画となる
ロバート・ルケティックなんだけど、彼はハリウッドに来るまでは、
オーストラリアで数多くの映画を撮ってきたわけで、
こう言った映画は実に手慣れていて、そつのない演出になっています。
まあ、主演のリーズ・ウィザースプーンのぶっとんだ演技が良かった。
- 『A2』
オウム真理教を追ったドキュメントなんだけど、
ものすごく面白かった。
オウムだけでなく、その回りに生息している人々達にも
実に丁寧に撮影されています。
たとえばマスコミ、たとえば近所の人、たとえば右翼、
ようするにオウムを社会現象として見、
それに関連する様々なものに、この監督は興味があるみたいです。
それにしても、この映画で浮かび上がって来るのは、
正義を叫ぶ人々の胡散臭さ。
そりゃあ、オウムのやったことは絶対的に悪いことで、
どのように謝罪しても、その罪は購えるものじゃあないと
思います。
でも、だからといって、それを糾弾する人々やマスコミや警察の方に、
絶対的な正義があるとは限らない。
むしろ、こんどのアフガン戦争なんかで見えてきたのは、
正義を言う人々の危うさなんじゃあないだろうか。
だいたい、古代から戦争とか大量虐殺とか、
すべて正義の名の下に行われてきたわけだし、
今、正義を言うより、この映画のようにありのままを
映し出す方が、はるかに重要なことだと思います。
それにしても、森達也という監督は、ずいぶん勇気のある人だなあ。
- 『パニックルーム』
ジョディー・フォスターが、「ハンニバル」の出演を
断って出演したという、サスペンス映画。
監督は、「セブン」や「ファイト・クラブ」の
デビッド・フィンチャー。
にしても、この監督、「セブン」の時には純粋の
毒々しさとでも言うべき、なにかとても嫌な
後味の映画だったんですが、
それが「ファイト・クラブ」ではだいぶ
薄れ、なかなか娯楽映画として楽しめる
ようになってきた。
で、本作の映画なんですが、原案はとっても
面白いし、その原案を巧みに生かした脚本も、
なかなかの出来だと思う。
出演者もジョディー・フォスターの
脇を固めるフォレスト・ウィテカーとか、
なかなか芸達者な役者を揃えた。
そして、鬱蒼とした雨を撮らせたら、
やっぱりフィンチャーは上手いと思う。
これだけ、良い映画になる条件を揃えているのに、
なにか物足りないんです。
フィンチャーは、「セブン」のような
毒々しさをもう一度、考え直した方が良いと思う。
最近のサスペンスは、「サウンド・オブ・サイレンス」
(この映画は、原題の「Don't Say a word」のままが、
良いと思う)とか、なかなか名作ぞろいだから、
それらと比べると、ちょっと物足りない映画です。
- 『スパイダーマン』
漫画「スパイダーマン」の完全映画化。
それにしても、「スパイダーマン」ってのは、
他のスーパーヒーロに比べると、
実写版は「何か変?」となりそうに思うんだけど、
アニメ版「ターザン」をほうふつとさせる、
ゴムの弾けたような躍動感が、以外と良かった。
主役のトビー・マクワイヤーって、
「サイダー・ハウス・ルール」の時は、
どこが良いの、って感じだったけど、
その前の「アイ・ラブ・ペッカー」では、
クリスティーナ・リッチーと、「ほへ?!」って言う感じで、
自然体で良かったです。
今回もその感じのままスーパーヒーロを演じているわけで、
「等身大のスーパーヒーロ」というスローガンには、
ピッタリでした。
監督のサム・ライミは、「死霊のはらわた」で有名な
人らしいけど、良く知らない。
「シンプル・プラン」は、コーエン兄弟の名作「ファーゴ」に
似ているんだけど、「ファーゴ」は越えていない。
つまり、あまり印象に残ってない監督なんだなあ。
- 『E.T.』
言わずと知れたスティーブン・スティルバーグの名作。
20周年記念にリニューアルされて公開されました。
にしても20年前、私はまだ大学院生。
結婚してなくて、結婚前の妻と、まだ中学生だった姪と
見に行ったんだけど、その姪も今では5児の母だからなあ。
シミジミ...
- 『活きる』
中国映画を代表すると言うよりは、今や世界の
大監督の風格があるチャン・イーモウ監督が、
1994年にカンヌ映画祭でグランプリと主演男優賞を受賞した
映画なんですが、配給の問題で、久しく公開されなかった映画。
やっと日本でも見れるようになりました。
1940年代50年代60年代、激動の時代を活きたある家族の
姿を通してみた中国現代史。
それにしても、すさまじい映画なんですが、それだけでなく
感心するのは、この映画にはユーモアが貫いていることです。
とくに子供の名前に関するユーモアは、本当に秀逸です。
要するに、本当に深刻な内容は、本当に深刻になればなるほど、
ユーモアで語るしかない、ということなんですが、
これが本当にすばらしい。
それにしても、この後の「上海ルージュ」とか「あの子を探して」とか
「初恋のきた道」の方が先に公開されると言うのは、ちょっと不可解ですねえ。
まあ、「上海ルージュ」はいかにも昔のチャン監督の典型的作風なんで、
これはいかにも日本で受けそうだと言うことなんでしょうけど、
本作もすばらしい出来なんで、もっと早く公開されても
良さそうなもんなんだけどなあ。
- 『耳に残るは君の歌声(原題)The Man Who Cried』
イギリス人の女性映画監督サリー・ポッターの最新映画。
サリーは、元々はテレビのディレクター出身なんですが、
バージニア・ウルフ原作の小説「オルランド」で、
映画デビューしました。
その後、自らのタンゴ修行をもとに、自分出演で、
「タンゴ・レッスン」という映画を作ってしまったんですが、
これはタンゴを内側から知る人間しか作れない迫真のダンス・シーンが
随所に見られ、本当に迫力のある映画でした。
本作は、そういったサリーの芸歴の深さを随所に行かし、
非常にセンスの良い音楽の使い方をしています。
内容は、ユダヤとかジプシーとか、ヨーロッパで迫害されてきた
人々の中でも、なかなか歴史に残らない声なき声を、
丹念に拾い出してきて、エピソードが作られていきます。
ロシアを追われた少女をクリスティーナ・リッチーが好演し、
その苦難の歴史と、ジプシーであるジョニー・デップとの
交流を元に、その回りに暮らす様々な人々のありのままの姿を、
丹念に描いています。
まあ、内容はなかなか面白いんですが、それ以上に
使われているオペラの曲の数々が非常にセンスが良いです。
はじめに流れるビゼーの「真珠採り」。
あまりオペラで上演されることはないオペラですが、
この曲のアリアは、コンサートなどでよく使われます。
この曲を中心に、ヴェルディの「トレバトーレ」や
プッチーニの名曲中の名曲「星は光ぬ」とか、オペラではないですが、
(当時、あまりに内容が暗すぎて自殺者が続出して発売中止になった)
「暗い日曜日」とか、実に多彩な曲が巧みに使われています。
なお、物語のキーになる子守歌だけは、サリー・ポッター自らが
作詞したオリジナル曲です。
- 『害虫』
塩田昭彦という人が監督をした日本映画。
「ユレイカ」に出ていた宮崎あおいが主演の
救いのない青春映画なんだけど、まあ
今一歩ってところかなあ。
映画の構成とか、なかなか凝っていて、
塩田監督はいちおう映画青年って感じなんだけど、
どうもそれにしては研究が足りないと言うか、
もうちょっと踏み込んだ演出があっても、
良いと思う。
もっと芸術映画(この場合は、観客を
無視いていると言う意味なんですが)に
徹するなら徹する、観客の方を見るのであれば、
もっと観客の方を見る、
こういう中途半端が、映画には一番良くないと
思います。
まっ、宮崎あおいの独特の雰囲気で
救われた、というところでしょうか。
それ以外には、これと言って取り柄のない映画。
- 『コラテラル・ダメージ』
アーノルド・シュワルツネッガー主演のアクション映画。
ひさびさ、こんな吹っ切れたシュワルツネッガーは久しぶりで、
おもしろかったです。
本作は、テロの場面が2001年9月11日のテロ事件を
思い出させるということで、アメリカの公開が
遅れた事になってるのですが、
別にテロのシーンは、どうって事ないです。
もしアメリカ政府の圧力で公開が遅れたのが
真実とすれば、それはたぶん、映画の中で、
CIAが好ましくない対象として描かれて
いるからではないでしょうか。
(本作はコロンビアが舞台ですが)、
今となっては良く知られた事実ですが、皮肉なことに、
アフガニスタンのビン・ラディンもアルカイーダも、
CIAの生み出した産物ですからね。
アメリカが、ヨーロッパ諸国の反対を押し切っても、
あれほど彼らを軍事裁判で裁きたがっているのは、
普通の裁判でCIAにとって不利なことを
喋られるのを防ぐため、というのは、
大方の見方でしょう。
それと、もしこの映画がアメリカ政府に嫌われた
別の理由があるとすれば、
それはテロにも言い分がある、ということが
描かれているところでしょうか。
アメリカとしては、テロとは問答無用で
排除しなければならない対象となってしまって
いますから。
しかしまあ、そのような政治的なことが、
いろいろと想像されますが、
そういうことを除いても、
この映画は物凄く面白いです。
まずシュワルツネッガーが原点に戻って、
真正面から一生懸命で頑張っていることです。
それに、あんまりピストルを撃ったりしないのも良い。
あくまで体力勝負。
思えば、90年代というのは、シュワルツネッガーに
とっては、あまり良い時代ではないかもしれません。
80年代には、『ターミネーター』や『プレデター』、
『レッド・ブル』と絶好調だったのに、
ポール・バーホーベン監督の『トータル・リコール』あたりから、
どうも調子が狂ってきたように思える。
たしかに『トータル〜』はアイデアはとても面白いのですが、
その分シュワルツネッガーの持ち味が消えてるような気がします。
『ツィンズ』やら『キンダーガーデン・コップ』やら、
自分では芸風を広げたつもりでしょうけど、
どうも私は好きでない。
『トゥルー・ライズ』に至っては、たしかに
器用なことは分かったけれども、逆に器用なシュワルツネッガーなんて、
魅力半減だと思うんですが。
シュワルツネッガーという人は、見かけと異なり、
実生活では、とても頭の良い人だそうなんですが、
その頭の良さが災いしたかなあ、という感じです。
その後、もとの持ち味に戻ろうと、
『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』やら
『イレイザー』やら『エンド・オブ・デイズ』やら
『シックス・デイ』やら、まあ頑張ってはいるんだけど、
いまいち吹っ切れていないような感じがしました。
しかし、本作の監督アンドリュー・ディビスは、
『刑事ニコ/法の死角』では、スティーブン・セガールの
素手の魅力を引き出したし、
『逃亡者』のハリソン・フォードも、
裸一貫という感じで良かったです。
ようするに、極限状態の人間が、
武器に頼らずに自らの力だけで何とかする様を描かせると、
なかなか良い味を出す人なんです。
そういった監督の持ち味が、シュワルツネッガーの持ち味と
見事にはまった、というところですか。
ストーリもなかなか良く出来ていて、ラスト・シーンは
本当に見事です。
脇を固める(おなじみ)ジョン・タトゥーロとか、
スペインの天才監督ペドロ・アルモドバルの
『ライブ・フレッシュ』が印象的な
フランチェスカ・ネリーとか、
アトム・エゴヤン監督の(本当に面白くて私の大好きな)
『エキゾチカ』に出ていたイライアス・コーティアスとか、
ハリウッドの大俳優ではないが、
才能有る俳優を、うまく集めたと思います。
とにかく、面白い映画でした。
- 『陽だまりのグラウンド』
キアヌ・リーブス主演の少年野球映画。
まあ、はっきり言って、一般に、
私、あんまり少年スポーツ物の
映画は、好きではないのです。
根性とチーム・ワークで勝っていく内容って、
どちらかというと、苦手。
そんなわけで、この映画も、まったく期待せずに、
見に行ったわけですが、
まったく予想は裏切られ、凄く良い映画でした。
少年達の置かれた、さまざまな状況は、
なかなか、きついものが有る。
まあ、命の心配をせずに好きなことに打ちこめる
日本の少年達って、本当に幸せですね。
アメリカも含めて、そんな国は、
なかなかありません。
キアヌのやる役も、なかなかユニーク。
彼は賭博に溺れる酒のみのダフ屋。
まあ、はっきり言って、あんまりきれいな役では有りません。
いやいや引きうけた少年野球のコーチだけれど、
本当はやめたくてしょうがない。
で、少年達も厳しい人生を歩んで来たから、
キアヌの嘘も巧みに見分ける。
なかなか、このあたりがブライアン・ロビンソン監督の
腕の見せ所なんですが、テレビ・シリーズで
こういった内容のドラマに長けている人なんで、
最後まで、なかなか上手く引っ張ります。
ま、意外性を買って、お勧め映画です。
以下は4月に見た映画です
- 「ヒューマン・ネイチャー」
「マルコビッチの穴」の脚本家がこの映画の脚本も書いた、
といえば、気になる人も多いと思う。
本当に「マルコビッチの穴」はブラックで、
大好きな映画です。
ただ、あの映画が成功したのは、単にアイデアが良かったからだけでなく、
ジョン・マルコビッチをはじめ、意外な素顔を見せてくれた
キャメロン・ディアスとかジョン・キューザックとか、
とにかくキャスティングも良かったです。
で、本作です。アイデアは奇抜。
出演者も、世界一毛深い女にパトリシア・アークェット。
この人、「トゥルー・ロマンス」も良かったけれども、
私の大好きな「アメリカの災難」(私の中での90年代、ベスト3
コメディーの1つです。
ちなみに残りの2つはパトリス・ルコントの「タンゴ」と
キャメロン・ディアスの「メリーに首っ丈」です)
も良かったです。
猿人間に、「ノッティングヒルの恋人」でウェールズの怪人を
演じたリス・エバンス(イバンス?)。
この人も、コメディーから知的な顔まで、
本当に芸達者です。
ところがである、肝心の映画の方は、なんかこう
サッパリなのである。
少なくとも、「マルコビッチの穴」の再来を期待して行った人は、
あれほどの毒はないし、
文明批判を期待した人にも、パンチが効いていないギャグの連続で、
なんか白けました。
- 「光の旅人 K-PAX」
これは、何とも不思議な味わいのある映画です。
主人公のケビン・スペーシーは、自分がK-PAX星人だと主張する
変わった役なんですが、彼が演じると、この奇妙な役も、
妙にリアリティーがあります。
やがて、彼の回りの人々は、だんだんと幸せになっていく、
というような映画なんですが、監督のイアン・ソフトリーは
そのあたりを、なんともやんわりと、
説得力のある映像に仕上げています。
イアン・ソフトリーってのは、無名時代のビートルズを
題材にした「バック・ビート」でデビューした監督ですが、
「鳩の翼」では、正統的な映画も作れる実力派であることを
証明しました。
まあ、とにかくおすすめな映画です。
- 「山の郵便配達人」
要するに、中国奥地の郵便配達人を描いた映画なんですが、
それがなかなか興味深い。
我々日本人には、あまりなじみのない中国奥地の
風景が、たっぷり見れます。
何しろ120kmを三日間で配達するんだから、
すごいもんです。
で、内容はとっても地味なんだけど、
だからといって退屈するようなところは全くありません。
実にストーリが、巧みにつくられています。
監督は、美術監督出身のフォ・ジェンチン。
私はこの人のことは全く知らないのですが、
映画の景色の美しさは、さすが美術監督出身と
納得させるだけの説得力があります。
- 「D-TOX」
シルベスター・スタローンが主演したサスペンス映画なんだけど、
まったくつまらなかった。
たぶん来月あたりには、忘れているだろう。
- 「千と千尋の神隠し」
この映画、イギリスに行った後で日本で公開されて、
イギリスではまだ公開されていなかったので、
見ることが出来なかったんですが、
やっと見ることが出来ました。
スタジオ・ジブリの映画は、「ナウシカ」「隣のトトロ」
「魔女の宅急便」あたりまでは良かったんですが、
どうも「紅の豚」「平成狸合戦ポンポコ」や「もののけ姫」あたりから、
やたら話が広がりすぎて、収集がつかなくなってきた
印象があったんですが、今回の映画は、
ちょうど良いところで収まっていて、
良かったと思います。
これなら、ベルリン映画祭で金の熊賞を受賞したのも、
納得ですね。
- 「折り梅」
ようするに、アルツハイマー病の老人を描いた映画なんですが、
まあ良く描けてると言えば良く描けてるんだけど、
なんかちょっと、どこか物足りない映画でした。
うちの実家も、過去にボケたばあさんの面倒を
見てまして、今も別の完全にボケたばあさんの
面倒を見ていますが、まあ実際は、この映画のように
うまくいくと良いんですがねえ。
まあ、こんなこと言っても、しょうがないですがねえ。
ちょっと前にも、朝日新聞に、ボケた老人の介護というのは、
知らない人にはどう説明してもわかってもらえないし、
知っている人には説明しなくてもわかってもらえる、
と書いてありましたが、まことにそのとうり。
それにしても、老人の世話は家族が見るもの、
という社会通念があるかぎり、なかなかこの問題は
解決しないと思いますが。
この映画でも、施設に預けるのを断念するシーンがありますが、
あのとき預けてみて、ちょっと気持ちに余裕ができれば、
また違った展開になったような気もしますが。
なんで、息子の嫁が面倒を見るというのが、
当たり前なんだろうか。
まあ、この映画、前半はなかなかボケばあさんを世話することになった
家族の苦しみを良く描いていますが、
後半はきれい事すぎますね。
まあ、言いたいことはわかりますが、そうきれい事で
うまくいきますかねえ。
ただ、加藤登喜子さん演じる人の言ってたことは、
まあそれなりに、説得力がありますが。
- 「ピアニスト」
カンヌ映画祭でグランプリ、主演男優賞、主演女優賞を
受賞した映画。
なかなか見応えがありました。
ウィーンの音楽大学でピアノを教える女教師。
彼女の日常生活を丹念に描いているのですが、
一歩間違えると、たんに危ない映画というだけに
なってしまうんですが、
それを非常に丁寧に描くことによって、
映画として成立しています。
それにしても、内容は救いのない愛で、
あんまりこういう映画は、得意ではないのですが。
- 「友へ チング」
韓国映画。
激動の時代を生きた4人の若者の友情を描いた
映画なんですが、これが韓国映画「シュリ」よりも
ヒットしたってのは、ちょっと信じられないですねえ。
映画的には「シュリ」や「JSA」の方が、
よっぽど良くできた映画だと、思います。
ただ、人情やら友情やら、テーマが韓国人に
受ける内容なんで、ひっとしたのかもしれないけど。
まあ、どっちにしても、私の青春時代と
かなり時代がだぶっていますので、
懐かしいことは懐かしいですね。
だけど噂では聞いていたけど、韓国の
体罰ってのは、すさまじいですね。