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二胡情縁二胡少年の夢
趙寒陽
著/朱新建・陳恵明翻譯

著者紹介
趙 寒陽 ZHAO HANYANG(ちょう かんよう)
著名二胡演奏家、二胡教育家、中国江蘇省常州市生まれ。中国中央音楽学院民楽系卒業。現在、中国中央音楽学院民楽系主任教授、大学院指導教官。中国二胡学会副理事長、中国民族管弦楽学会理事。趙寒陽氏は中国民族音楽家として、ヨーロッパ、アジア諸国を歴訪し、演奏会や民族音楽の公開講義を行う。また、二胡関係の学術論文・楽譜集やCDアルバム・ビデオ教材などを多数発表。中でも、中国中央テレビで放映された中国初の民族楽器教育テレビ番組「しっかり学べる《二胡》教材」は日本のドレミ楽譜社から『やさしい二胡教室』日本語版DVDが発売され、好評を得ている。中国二胡コンクールの審査委員としても、その卓越した指導力・演奏力は国内外において高く評価され、その業績は『中国音楽家名録』、ケンブリッジ大学の『世界紳士録』にも紹介されている。昨年10月に初来日され、中央音楽学院民族音楽団一行5人を率いて長野、名古屋、東京、大阪を歴訪し、日中友好文化交流二胡演奏会及び二胡公開講義を開催し、好評を博す。関西21世紀交響楽団との共演で、福知山JR電車事故慰問演奏をされました。主要著書は『二胡教程・基礎・中級・高級』、『二胡演芸知識500問』、『二胡考級主要曲目詳解』、『通向二胡演奏家之道』、『二胡演奏100曲シリーズ(1000)』、『二胡弓法技巧訓練』など、二胡教材・楽譜本・著書33冊、学術論文80篇を超える。



二胡について
中国二胡(Chinese Violin)は胡琴とも言い、構造簡単な擦弦楽器ですが、時に哀愁を漂わせ、時に軽快で楽しく奏でることができ、独奏でも伴奏でも大活躍する中国民族音楽における代表的な楽器です。紫檀などの硬い木で作られた胴体に、二本の弦を張り、弦はそれぞれDAに調弦されています。6角形や8角形の琴筒にニシキヘビの皮を張り、人の声に近い音色を出すことができます。弓に馬の尾の毛を使用し、バイオリンと同じく騎馬民族の楽器で、中央アジアのカマ-ンチェが祖先といわれ、シルクロードを伝って漢民族に入ってきたのは遥か一千年も前の唐宋時代であったと考証されています。二本の弦に弓を挟んで弾く漢民族の奏法と合致してできた楽器である。現代の中国二胡は、およそ88年間にわたる三段階の発展をへて今の二胡の形と演奏スタイルを形成しました。

【現代中国二胡発展三段階】
1.二胡革新段階 19181949 中国伝統の伴奏楽器から独奏楽器へ 代表曲「空山鳥語」  
2.二胡創造段階 19501979 中国伝統文化の重宝として中国全土に発展 代表曲「三門峡暢想曲」 
3.二胡昇華段階 1980~現在 中国の二胡文化として世界へ発信 代表曲「長城随想」
現代中国における二胡のプロ演奏家は20万人以上あり、二胡愛好家や学習者は1000万人に上るといわれています。この中国の二胡文化は2003823日にかの「女子十二楽坊」の鮮烈な日本デビューにより旋風を巻き起こし、そして、20055月に相次いで在日のプロの中国人二胡演奏家による「日本二胡振興会」や「日本二胡学会」が設立されました。日本における中国二胡愛好家や二胡学習者は10万人以上に上るといわれています。
【日本でも有名な現代中国著名二胡演奏家・教育家(年齢順)とその代表曲(二胡独奏曲)】
 周少梅(18851938)『虞舜熏風曲』全11曲。二胡の棹を90センチに。
 華彦鈞(18931950)『二泉映月』全3曲。二泉琴。4オクターブ演奏した盲目の演奏家
 劉天華(18951932)『空山鳥語』全10曲。二胡の調弦をD(内弦)A(外弦)に。
儲師竹(19011955)『祖国之恋』全4曲。劉天華の高弟
劉北茂(19031981)『小花鼓』全36曲。劉天華の実弟
張季譲(19041961)『溜氷舞』全7曲。指板付二胡創作
陳振鐸(19051999)『雨後春光』全6曲。劉天華の高弟
蒋風之(19081986)『漢宮秋月』全6曲。劉天華の高弟。蒋派二胡創始者
陸修棠(19111966)『懐郷行』全7曲。南派二胡創始者
兪 鵬(19171946)『平原競馬』全10曲。劉天華二胡継承者
孫文明(19281968)『流波曲』全8曲。「無千金二胡」を試作した盲目の演奏家
王国潼(1939~  )『奔馳在千里草原』他。中央音楽学院民楽系主任教授、香港演芸学院中楽系主任教授歴任
蒋巽風(1940~  )『山丹丹開花紅艶艶』他。中国二胡学会会長
周耀錕(1945~  )『黄河二胡協奏曲』他。日本二胡学会会長
閔恵芬(1945~  )『陽関三畳』他。上海民族楽団国家一級演奏家
趙寒陽(1954~  )『郷音』他。中央音楽学院民楽系主任教授
楊長安(1954~  )『二胡独奏曲 櫻花縁』他。湖南師範大学音楽学院教授                   (朱新建)