3.Q.口腔のしくみと働き

愛知学院大学歯学部口腔外科学第二講座 教 授  河合 幹
愛知学院大学歯学部口腔外科学第一講座 教 授  栗田賢一
愛知学院大学歯学部口腔外科学第二講座 臨床教授 夏目長門

1.口腔の働き
 口腔には食物の摂取、咀嚼、唾液による消化と、これを飲み込む嚥下、呼吸のための気道としての働きがありますが、さらに味覚や言語のための構音などもつかさどります。また顔面の下約3分の1をを占めており、審美上重要なポイントにもなっています。
 口腔の働きが障害されると身体への影響は大きく、その苦痛は容易に理解することはできますが、この状態を自分に置き換えてみてそのケアの重要性を知り、口腔に関する基礎的な知識を得ることが口腔ケアのまず第一歩です。

2.口腔の構造
 口腔は消化管の上部を占め、口裂の内方にあります。その構成は図1に示すように、歯列と歯槽弓によって、口腔前庭(口唇と歯肉の間)と固有口腔にわかれ、側面は頬の内面、上方は口蓋、後方には口蓋垂があり、咽頭につづいて底部には舌があります。口腔は口唇 、歯肉、歯牙、舌、口蓋、(硬口蓋、軟口蓋)、口蓋垂、口蓋篇桃、口蓋弓、口蓋咽頭弓、咽頭、唾液腺、口腔前庭によって構成されています。