10.Q.痰の処理が自分でできない方への口腔ケア

A.日本赤十字看護大学 吾妻知美

意識障害や衰弱のため自カで痰の喀出ができない場合は、それだけでも苦しいものです。さらに、呼吸困難を助長させたり、気道感染をひき起こしたりあるいは増悪させることもあります。痰が多い場合や臭気がある時は気分不快や食欲不振につながります。また、感染予防をする上でも口腔の清潔を保つことが必要です。口腔ケアは、排痰の後や食後など頻回に含嗽を行うことが簡単で有効な方法です。水でも構いませんが、レモン水やクロロフィルを用いることで、爽快感が得られるとともに自浄作用(自らの働きで汚れをとり除く)が高まります。また、感染防止の意味で30倍のイソジンガーグル液を用いるのも効果的です。さらに、痰の喀出を促すためには、水分摂取を促し、外から加湿し痰の粘稠度を下げることも有効です。

参考文献

1) 内尾貞子監修「成人・老人看護学A呼吸器系に障害のある息者の看護」P38−43、真興交易医書出版部,1993.
2) 施設口腔保健研究会/日本口腔疾患研究所監修「ロ腔ケアQ&A 口から始まるクオリティ・オブ・ライフ」P182,中央法規出版,1996.