3.Q歯ぎしりがひどいお年寄りがいますが、どうしたらよいですか。

A.北海道大学歯学部附属病院特殊歯科治療部 教授 井上農夫男
                     講師 山口泰彦
 北海道大学歯学部歯科保存学第二講座   教授 加藤 熈

 「歯ぎしり」は、主に睡眠中に上下の歯をキリキリとすり合わせるあごの運動をいいます。
 歯ぎしりのひどい人は、歯ぎしりの音が同室者の睡眠の妨げになり、そのことが心理的負担になります。歯ぎしりはそれだけでなく、お年寄りの弱っている歯やあごに大きなダメージを与え、食べることや会話にも支障をきたします。これは歯ぎしりの影響で、歯が異常に磨耗したり、歯が動揺したり、さらに歯やあごが痛くなったり、思うように口が開かなくなるためです。
 原因として「ストレス」や「上下の歯のかみ合わせの異常」などが考えられています。治療はストレスを減らすとともに、かみ合わせ(咬合)の治療を行い歯ぎしりを断つようにします。さらに、歯ぎしりの影響で傷んだ歯やあごの治療も行われます。
 治療には専門的なアプローチが必要ですので、かかりつけの歯科医に相談して下さい。

図1.歯ぎしりによる歯や顎の障害

参考文献
1)加藤 熈、ほか「ブラキシズムの基礎と臨床」日本歯科評論社、東京、1997.
2)歯科医学大事典編集委員会「歯科医学大事典」医歯薬出版、東京、1989.
3)大橋 靖、ほか「かむこと、のむこと、たべること」医師薬出版、東京、1996.

表1 歯ぎしりの原因と治療
1)原因
  精神的ストレス
  かみ合わせ(咬合)の異常
  中枢神経系の異常
2)治療
  ストレス管理
  咬合治療
  スプリント療法
  薬物療法