4.Q.顎が外れやすい人がいますが、外れた場合はどうしたらよいですか.

A.札幌医科大学医学部口腔外科学講座 教授 小浜源郁
                  講師 野口 誠
 高齢者の習慣性顎関節脱臼は多くの場合、自力整復(自分で元に戻すこと)が可能です.自力整復ができない場合、徒手整復を試みます。まず、義歯がある場合にはそれを入れます。そして、両手の親指を下顎の奥歯に置き、下顎をしっかり把持し、下方に押し下げ、次いで後方に押します。簡便な方法として、奥歯にガーゼなどをまるめたものを置き、おとがい部(下顎の前の部分)を下から上方に押し上げることで整復される場合があります。もし、整復されれば口を閉じることが可能になし、噛み合わせが元に戻ります。


 しかし、痛みを訴えたり、すぐに元に戻らなければなるべく早く専門医にみてもらって下さい。時間を置けば置くほど元に戻りにくくなります。専門医による整復後は数週間、大きな口をあけないように指導して下さい。また、整復後も痛みがある場合は、治まるまで固いものの摂食は控えるようにして下さい。

参考文献
1)口腔ケアQ &A:施設口腔保健研究会/日本口腔疾患研究所、中央法規出版
2)最新口腔外科学:監修 上野 正、伊藤秀夫、医歯薬出版株式会社
3)顎関節疾患の外科的診断と治療:高久 暹、株式会社書林