7.Q.アスパルテームなど甘味料と齲蝕
A.日本大学松戸歯学部衛生学教室 教授 那須郁夫
アスパルテームは、1983年に食品添加物として指定された人工甘味料である。甘さは砂糖の約200倍(高甘味度甘味料)で、甘みを得るのに量が少なくて済むので、低カロリー甘味料として用いられる。熱には弱く、コーラやヨーグルト、シヤーベット、漬物などに使う。その他卓上用甘味料としても使われている。甘み物質であるが糖類ではなく、L一フェニールアラニンとL−アスパラギン酸というアミノ酸の化合物である。従って、アスパルテーム単独であればむし歯の原因とはならないが、実際は他の糖類の甘味度を補う目的で使われることが多く、アスパルテームを含む食品がすべてむし歯を起こさないわけではない。代謝の関係から、フェニールケトン尿症患者はアスパルテームを含む食品の摂取には注意が必要であるという厚生省通達が出されており、商品にはL−フェニールアラニン化合物を含む旨の記載が義務づけられている。国内年間消費量は約200トンとされる。
参考文献
1.安藤高久:「砂糖の知識」(OHブックス)、昭和58年、口腔保健協会、東京.
2.大島隆・浜田茂幸編:齲蝕予防のための食品科学 一甘味糖質から酵素阻害剤まで一、1996年、医歯薬出版、東京.
3.高添一郎編:「歯を守る」甘味料 - 予防活動・健康教育のためのガイド、1997年、ティピィジャパン、東京.
甘味料 | 指定日 |
サッカリンナトリウム ソルビトール ソルビトール液 サッカリン キシロース グリチルリチン酸ジカリウム アスパルテーム キシリトール スクラロース |
S23.7.23 S32.7.31 S32.7.31 S36.6.1 S38.7.26 S44.2.1 S58.8.27 H9.4.17 H11.予定 |
甘味料 | 蔗糖を1としたときの甘さ | 原材料 | |
天然物 | グリチルリチン ステビオサイド ソーマチン |
200倍 |
甘草 ステビア 果実 |
人工甘味料 | サッカリン アスパルテーム スクラロース |
300倍 |
トルエン 澱粉 蔗糖 |