9.Q.寝たきりの方が使う食器について、教えて下さい。

A.医療法人東海記念病院 理事長 岡山政由

 疾病等により障書を持った方は、単に嚥下・咀嚼などの機能面のみならず、食事に関して様々なQOL(生活の質)上の問題を抱えることになる。これらの問題を解決するひとつとして、特殊食器・自助具類の利用が考えられる。例えば、柄が握りにくい場合には柄を太くする(図1)と保持しやすく、握れない場合には手に巻きつける形のホルダー(図2)を利用するとよい。箸が使いたいという場合には(図3)のような箸もあり、外出時でも持ち歩くことが出来る。食器が動いてしまうためにうまく食べられないという場合は、食器の下にすべり止めマット(図4)やぬれぶきんを利用するとよい。食器自体を深めの皿、座りの良い重くて安定したものを選ぶということも解決の方法となる。コップをうまく口に運べない場合には(図5)のような製品もいろいろと市販されている。食器も様々な特殊な形のもの(図6)が市販されているが場合によってはかえって使いにくいという場合もあるため、食器の選択には十分配慮したい。食器具に限らず、市販されている福祉用具はどれも、高価で、デザインなども限られている。在宅で生活している方にとって、生活に欠かせない食器具だからこそ、食欲を促進するような、個々の二ーズに合った、手に入りやすいものであってほしいと考える。

 図1.太柄スプーン・フォーク  図2.スプーンフォルダー

 図3.握りやすい箸  図4.すべり止めマット・ぬれ布巾

 図5.コップフォルダー  図6.いろいろな食器