2.Q.歯磨剤の種類、効果、使用方法を教えて下さい。
A.島根医科大学医学部歯科口腔外科学講座 教授 吉村安郎
歯磨剤には殺菌性物質、フッ化物、酵素剤などの薬効成分と、その他の研磨剤、湿潤剤、発泡剤、粘結剤、香味剤、着色剤、保存剤を含んでいますので、機械的な歯ブラシのみによる「歯磨」よりも優れた効果を有していると考えられます。
『歯磨剤の種類と効果』
現在最も一般的な歯磨剤はペースト状の「練歯磨剤」ですが、その他には表1に示す種類があります。水歯磨剤は歯ブラシを使わずにいわゆる「ススグ」ものです。
歯磨剤の基本的機能は歯の沈着物(ペリクル:歯が萌出したとき、歯の表層のエナメル質が唾液と接触し、唾液中の糖蛋白が結合してできた膜状物質、歯垢(プラーク、歯石、有色性沈着物、たとえば歯のヤニ、タバコ等でステインと呼んでいる物質)を除去することです(表2)。
『使用方法』
人によって使用量は違っていますが、歯清掃、歯垢の除去、薬物成分の効果、清掃後の感覚、心理的効果など十分発揮する量で歯みがきすることです。
表1 歯磨き剤の種類、剤型と用法
種類 |
用法 |
|||
剤型 |
性状 |
容器 |
歯ブラシ併用 |
歯みがき法 |
練 |
ペースト |
チューブ、ポンプその他 |
アリ |
歯とはぐきをみがいたマッサージ |
液状 |
粘性液体 |
ボトル、その他 |
アリ |
歯とはぐきをみがいたマッサージ |
液体 |
液体 |
ボトル、瓶その他 |
アリ |
歯とはぐきをみがいたマッサージ |
水(洗口剤) |
液体 |
ボトル、瓶その他 |
ナシ |
口中をすすぐ |
潤製 |
潤性液体 |
缶、袋、瓶その他 |
アリ |
歯とはぐきをみがいたマッサージ |
粉 |
粉体 |
缶、袋、瓶その他 |
アリ |
歯とはぐきをみがいたマッサージ |
(飯塚喜一、他:「歯磨剤を科学する」学建書院p20,1994)
表2 歯磨剤の効能または効果の範囲
歯磨き類(化粧品の歯磨剤) |
薬用歯磨き類(医薬部外品の歯磨剤) |
歯垢を除去する |
歯周炎(歯槽膿漏)の予防 |
歯石の沈着を防ぐ |
歯石の沈着を防ぐ |
虫歯を防ぐ |
虫歯を防ぐ、または虫歯の発生および進行の予防 |
口臭を防ぐ |
口臭の防止 |
歯のやにを取る |
タバコのやにの除去 |
歯を白くする |
(調)歯垢の沈着の予防および除去 |
口中を浄化する |
(調)出血を防ぐ(調)歯がしみるのを防ぐ |
歯磨き類 ― 原料の種類、規格、配合等について審査、許可を受ける。
薬用歯磨き類 ― 上記事項の他、効能効果、用法・用量、規格および試験方法につき承認を受ける。
(調)中央薬事審議会の歯科用薬剤調査会、化粧品および医薬部外品の安全性問題調査会で審議、承認を受ける。
(飯塚喜一、他:「歯磨剤を科学する」学建書院p20,1994)