3.Q.フッ素入り歯磨き剤は、毒性はないのですか。

A.愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座 教授 中垣晴男

 歯磨剤は毎日数回使用しますので、フッ素が入っている歯磨剤の毒性を心配する人があるのも当然です。結論から先に述べますと心配ございません。問題になるのは幼児ですがその場合でも母の管理下で使用量(普通のチューブで5mm位の長さ)を守れば差し支えありません。

 反対に最近はフッ素入り歯磨剤中は子供のむし歯、成人の歯の根(歯根面)のむし歯予防に大切であるとして世界的に歯磨剤の価値が見直されています。
 色々の研究から歯磨剤から口のなかに残留するフッ素量は使用量の約10-30%とされています。口の中に0.15mg位のフッ素が残ることになります。むし歯予防のために、2歳児では0.5mg、3歳児では1mgフッ素を添加(補充)するとよいとされていますので、使用量を気をつけていれば問題がないことになります。
 表1はイギリスの歯科医師会のガイドラインです。

参考文献:WHO高江洲義矩監修:フッ化物と口腔保健-WHOのフッ化物応用と口腔保健に関する新しい見解
p41-45,一世出版,1995

表1 幼児のフッ素添加のガイドライン(イギリス歯科医師会)1988

フッ素製剤使用量(mgF/日)

年齢

飲料水中フッ素濃度(ppm)

0.2 0.3-0.7 0.7
6ヶ月-2歳 0.25 0 0
2-4歳 0.5 0.25 0
4-16歳 1 0.5 0
子供ができるようになったらフッ素製剤はなめたりかませる。

(文献略)

原 題 British Dental Association:

The Home Use of Fluorides for Pre-School Children .

A Policy Statement, March,1988.

  British Association for the Studay of Community Dentistry

水田、中垣 訳 1990

日本口腔衛生学会東海地方会ニュースNo28:15,1990