9.Q.歯磨き剤の利点、欠点は

A.愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座 教授 中垣晴男

 歯磨剤は毎日使用されるもので、歯の清掃や爽快ばかりでなく、フッ素入り歯磨剤による再石灰化促進作用(白濁部が唾液中のカルシウムの沈着により溶けかけていた歯の面が修復される現象)、トラネキサム酸などによる消炎、抗プラスミンによる歯肉炎予防、ポリリン酸などによる歯石予防、およびメチルメルカプタン産生抑制による口臭予防など、薬効が注目されている。

 歯磨剤は研摩剤により歯の表面を研摩して歯垢沈着を除去するため、“たてみがき”、“よこみがき”など誤った歯ブラシによる清掃により歯と歯肉との間の歯の部分に機状欠損とよばれる欠損をつくることがある。しかし、これは歯ブラシの使用法に誤りがあるためで、直接歯磨剤のせいと考えられる訳にはいきません。
 歯磨剤はうがいができない幼児や障害を持つ患者では飲み込むことがある。うがいができるかどうか判断して使わせるようにすべきである。飲み込んでも安全性では問題がありませんがうがいができるようになってから使うようにすべきです。
図.歯磨剤を用いた場合の歯垢除去効果[Rustogiら (1984)]