1.Q.含飲剤の種類と成分

A.愛知学院大学歯学部薬理学講座 教授 戸苅彰史

いわゆる「うがい薬」で、水剤、散剤、顆粒剤の三種の剤形がある。水剤は滴下あるいは希釈し、散剤および顆粒剤は一定の水に溶かして使用する。

主成分

商品名

ポピドンヨード イソジンガーグル(明治製菓)
臭化ドミフェン オラドール含嗽液(ノバルティスファーマ)
塩化ベンゼトニウム ネオステリングリーン(日本歯科薬品)
硫酸フラジオマイシン
 +塩化ベンゼトニウム
デンターグルF(昭和薬化)
アズレンスルホン酸ナトリウム

アズノール・ガーグル(日本新薬)

含嗽用アズレン「昭和」(昭和薬化)

マズレニンG(丸石製薬)

+炭酸水素ナトリウム 含嗽用ハチアズレ(小野-東洋製化)

 ポピドンヨードは殺菌消毒用ヨードチンキ類剤であり、その持続的な殺菌作用はヨードチンキに匹敵する。本薬は刺激性や組織傷害性が低いため創傷患者へ塗布しても比較的痛みが弱いので、広く用いられている。また、界面活性剤である臭化ドミフェンおよび塩化ベンゼトニウムは消毒作用をはじめ、清浄作用、角質溶解作用、乳化作用を有している。硫酸フラジオマイシンと塩化ベンゼトニウムを含有する製剤では、抗生物質と消毒薬との両面から口腔内細菌を殺菌している。これら製剤は口腔内の消毒や感染の予防に用いるうがい薬である。
 アズレンスルホン酸ナトリウムは、抗炎症作用、抗アレルギー作用、肉芽新生および上皮形成促進作用を示し、炎症を抑えるうがい薬である。また、この成分に局所性の粘液溶解作用を示す炭酸水素ナトリウム(重曹)を加えた製剤もある。
参考文献
佐藤精一/成田令博/山本加代子編著「歯科投薬ガイド - 適切な薬を選ぶために - 」学建書院、1992.