4.Q.ケア時、水に対して「むせ」のあるお年寄りがよくいますが、その際の注意点、ケアの方法を教えて下さい。

A.順天堂医療短期大学 教授 松山洋子

 「むせる」というのは、本来食道に入るべき水が誤って気管に入ってしまうために起きる現象で、嚥下障害が疑われます。嚥下障害がおこるのは@意識障害がある、A舌や唇の動きが悪い、B咽頭や喉頭の嚥下反射がうまくできない、などが考えられます。@の意識障害があるときはうがいをさせずに、綿棒などでふき取ります。また、意識障害がない場合でも、はっきり目覚めているときにケアするのも大切です。ABの場合は、喉に水が入り込まないようにすることです。座れる場合には座って、頭を少し前につきだして喉に流れ込みにくくします。座れない場合には横向きに寝かせて吸引器を使いながら水で洗うとよいでしょう。また、うがいをさせるとき、1回に口に入れる水の量は小さな猪口一杯分くらいにします。ケアのタイミングも大切です。水を含ませるときは落ち着いた、集中できる雰囲気の時にゆったりした気分でケアするのがたいせつです。またすすいだ後は口の中に水分が残っていないようにガーゼなどで十分にふき取っておきます。