15.Q.朝、部分入れ歯が入りにくいのはどうしてですか

A.愛知学院大学歯学部補綴学部第一講座 教授 田中貴言
  〃                講師 石上友彦

 口の中に歯の欠損が部分的にある場合はその欠損の前後の歯は欠損側に向かって移動しようとする性質があります。また、欠損に対向するする歯も延び出て来ます。さらに部分入れ歯の下にある歯肉は噛むことなどにより、多少圧迫された状態になっていますが、就寝時に入れ歯をはずしていると、欠損部が圧力から解放されることにより、歯肉の血流も増加し粘膜が膨らみます。つまり、入れ歯を外していると残っている歯の移動、圧迫された歯肉の変形等により入れ歯のスペースが縮小する傾向になります。そこで、朝部分入れ歯を入れる時こ、少し入りにくい状態になるわけです。入れ歯を入れたまま就寝すれば、このようなことは生じません。基本的に、口の中を清潔に保ち、虫歯や歯肉炎をおこさないためには、寝るときには入れ歯を外し、歯を磨いてから就寝することが望まれます。しかし、残っている歯が少ない場合は、寝ている間に少ない歯で噛むことにより、残っている歯に負担をかけ過ぎることもあるので、担当医との相談が必要です。
参考文献
「歯科補綴の臨床(II)」パーシャルンデンチャー編、旗手 敏、花村典之 編、医歯薬出版株式会社、東京、1991.