16.Q.金属の義歯は良いと聞きますが、他とはどのような違いがあるのですか

A.愛知学院大学歯学部補綴学部第一講座 教授 田中貴言
  〃                講師 石上友彦

 一般的に入れ歯にはプラスチツクの入れ歯と金属の入れ歯があります。保険治療の対象となっているのは前者だけで、残念ながら金属の入れ歯は保険対象外になります。金属はプラスチツクに比べると強靱ですので、入れ歯を全体的に薄く、小さめにすることも可能で異物惑が少なくなります。また、破折なども少なくなります。さらに金属は表面が滑沢であり、吸水性もないので、沈着物も付きにくく汚れにくい特徴があります。また、熱伝導性が高いので食吻の冷熱変化が判りやすく、味覚も感じやすくなります。そして、最も大きな利点として、金属の入れ歯は残っている歯の状態により入れ歯のデザインが自由に行えるということです。しかし良いことばかりではなく修理や調整がプラスチツクに比べ困難です。例えば、顎の変化等により入れ歯に裏打ちが必要な場合でも簡単てはありません。ですから残っている歯や顎が変化し易そうな場合はプラスチックの入れ歯の方が良い場合もありますので、担当医と良く相談することが必要です。
参考文献
「有床義歯技工学 ―部分床義歯技工学―」奥野善彦、大番敏行、医歯薬出版株式会社、東京、1995.