17.Q.歯がないが、何も不便は感じません。このままで不都合はあるのでしょうか。(―義歯を入れたがらないお年寄りにはどうすれば良いのでしょうか― 含む)

A.愛知学院大学歯学部補綴学部第一講座 教授 田中貴言
  〃                講師 石上友彦

 歯の欠損が少ない場合は咬むことに余り支障を感じないことがあると思います。しかし歯の欠損があるということは、その前後の歯は欠損側に移動し、対向する歯も延びてこようとします。それによって、残っている歯全体のバランスが崩れ、口の中や顎等に様々な病気を引き起こす原因となります。さらに多くの歯が損失しており、数本のみ噛み合う歯が残っている場合は、多少噛むことができたとしても、残っている歯への負担が大き過ぎることかあります。その結果、残っている歯を歯周病でだめにする確率が大きく、将来的に総入れ歯になる可能性も少なくありません。もしお年寄りの方で入れ歯を入れたからない場合、噛む必要のない食生活になることが考えられます。人の老化防止については種々な意見がありますが、噛むという行為が筋肉や舌等を意識的にあるいは反射的に反応させ、脳や身体の老化を防ぐ一因になると思われます。食生活への欲望等、人としての欲がなくなると精神的つまり、脳に対する刺激が減り、いわゆる痴呆にもつながることが考えられます。このような場合は、食に対する興味を維持させることが大切であると考えます。
参考文献
「口は何のためにあるか」山田宗睦 編、風人社、東京、1994.
「咀日爵運動の生理学」中村嘉男、医師薬出版株式会社、束京、1998.