7.Q.義歯だと味が変わったり、義歯の色が変わるのはどうしてですか。

A.愛知学院大学歯学部補綴学第二講座 教授 川口豊造

 味覚には、甘い、塩からい、すっぱい、にがいの4種類があり、主として舌の味蕾で感じるが、舌以外にも口の中の粘膜や硬口蓋の粘膜や咽頭の粘膜でも感知される。そのために、とくに大きな義歯では、粘膜面がふさがれて味が変わることもあり得ます。でも、義歯の装着によって食感(歯ごたえ)も変わるので、総合的に味覚が変化したと感じてしまうことが多いのだと考えます。精神的な部分が多いと考えます。
 義歯の色は、食品中の天然の色素や、人工着色料が義歯床の材料である高分子化合物に付着するためです。お茶に含まれるタンニンは、褐色のために変色に気づき易いのです。着色した色の除去が難しいからと強力な義歯洗浄剤を多用すると、義歯の本来の色が損なわれて白く脱色(写真)するので、気になる場合は歯科医に相談すべきでしょう。