Q.経管栄養中の患者の口腔ケア

A.東京女子医科大学看護短期大学基礎看護学講座 教授 大森武子


 経管栄養では口から食事を取れないため口腔内で食物を咀嚼する刺激や、食物を見たり匂いを嗅いだりすることがなく、唾液の分泌量が滅少し、口腔の自浄作用が低下します。歯面は汚れ口臭を伴い、口腔内は乾燥しやすく、細菌感染を起こし易くなります。
 口腔ケアの機械的刺激により吐き気を誘発されるため、経管栄養注入直後の口腔ケアは避けるようにします。座位になれる場合は、上体を起こし少し前屈みの姿勢で、座位が無理な場合は、顔面を横向けにします。歯ブラシは、口腔粘膜が乾燥し傷つきやすいため、軟らかい毛質のものを使うようにします。まず綿棒や口腔ケア用スポンジ(図)に微温湯または含嗽水を付け、口腔内全体を清拭し、粘膜を充分湿らせてから歯ブラシを使ってブラッシングを行います。口腔ケア時は、チューブが抜けていないか確認し、口腔や舌の奥を刺激しないよう静かに行います。含嗽水を誤飲しないように注意し、必要に応じて吸引器などで含嗽水を吸引します。