Q.出血傾向のある患者の口腔ケア

A.東京女子医科大学看護短期大学基礎看護学講座 教授 大森武子

 出血傾向にある患者はこれといった外力や、はっきりとした誘因がなく出血したり、わずかな外力で出血したりするため、出血を気にして口腔のケアが消極的になりがちです。口腔内に出血があると、不快感と同時に吐き気を誘発したり、放置しておくことで、血液による感染を起こしやすくなるため特に口腔ケアが大切となります。
 口腔内の出血の多くは歯肉に見られ、日頃歯磨きが十分行われなく歯垢や歯石が付いているところ、食べかすがはさまっているところなどの歯ブラシが当たると出血してきます。
歯ブラシは、小さめの軟らかいものを使い、歯と歯肉の境日を小刻みに動かして磨きます。ブラッシング後は含嗽(うがい)をします。
 出血の程度により方法を変えますが、出血傾向が強い場合は、歯ブラシの使用は避け、口腔ケア用スポンジや綿棒(図参照)にイソジンガーグルなど含嗽剤を含ませ歯肉を傷つけないように注意して拭きます。
 血の塊が歯肉に付いている場舎は無理にはがさず含嗽を静かに繰り返して行うようにします。