Q.咳嗽・喀痰のある患者の口腔ケア

A.東京女子医科大学看護短期大学基礎看護学講座 教授 大森武子

 呼吸器系の疾患の多くは咳嗽や喀痰を伴います。咳嗽が続くことにより患者は体力の消耗が促進され、また口腔内に痰が付着したり滞ることによリ口内の不快感や口臭の源となり食欲減退をこきたすことになります。口腔内は細菌に至適温度・湿度であるため痰の貯留は、感染を誘発することになります。口腔ケアに当たっては、咳嗽を誘発することなく疲労の少ない方法で痰を取り除き爽快感が得られるようにします。
 口腔ケア開始前に痰の喀出を行う。楽な姿勢で深呼吸を5〜6回繰り返し、次に深く息を吸いこみ、呼気をなるべく抑えた状態で小さな咳を続け、痰が咽頭に近づいたならば大きな咳払いをし痰を出すようにします。粘稠度の強い痰や痰が自力で出せない場合援助者に背部を叩打してもらうとよいです。体位は出来れば前届みで(前にもたれるものがあるとよい)、側臥位の場合は膝を深く曲げた姿勢にすると容易に腹筋の収縮や腹圧がかけ易く痰が出やすくなります。口腔内の痰は口腔用スポンジ、綿棒、ガーゼを使い丁寧に嘔気や咳嗽を誘発しないよう取り除きます。
含嗽水は微温湯とし冷水や熱すぎる湯は避け、量は多すぎると刺激となるため1回量は20〜30mlで口の先で含める程度とします。