2.Q.坐位をとりづらい方は             

A.東京医科歯科大学歯学部高齢者歯科学講座 教授 植松 宏

 坐位が取れなくても毎日の口腔ケアーはとても大切です。座位が取れないだけで他の身体機能に異常がないというケースは希で、通常、他の機能障害を伴っているので介助が必要です。衰弱が著しい場合は歯ブラシを使っての口腔清掃は困難です。この場合、スポンジブラシや綿球などで汚れを拭うだけで終わる場合もあります。消毒効果のある洗口液を併用すると効果的です。介助磨きはつい力が入りがちです。痛みを与えないよう注意しましょう。また、座位がとれないとどうしても介助者が不自然な姿勢になりがちです。仰臥位の場合は、できるだけベッドの端に寄ってもらうと介助しやすくなります。口の中で歯ブラシやスポンジ・ブラシを動かすと唾液が出てきます。これはとても良いことですが、唾液でむせる人もいますから側臥位の方が安全でしょう。この場合、麻痺側が下にならないように注意します。
側臥位で洗口を行っているところ

参考文献

 愛知県歯科医師会ほか監修「高齢者ケアチームのための口腔ケアプラン」       厚生科学研修所,1997