21.Q.重症心身障書(児)の口腔ケアー

A.愛知学院大学歯学部小児歯科学講座 教授 土屋友幸
                  助教授 福田理


 重症心身障害者(児)のかたは、本人の意思と関係なく身体がよじれたり、突っ張ったりすることがあり、これは、精神的緊張により誘発されたり、増悪します。無理やりの口腔ケアーは不要な緊張や不安、苦痛を招き効果的な口腔ケアーを難しくします。
 介助者による口腔ケアーの一般的な方法は、安定した楽な姿勢をとらせ(図1)、口の中に残っている大きな食片をガーゼで取り除き、次いで、指で唇や頬を排除しながら歯肉や咽頭部などを傷つけないよう小さめの歯ブラシで丁寧に歯磨きをします。うがいはほとんど出来ませんので、歯磨き剤を使う必要はなく、コップに水を入れ歯ブラシを洗いながら行ってください。
 口がうまく開いていられない場合には、軟組織や歯を傷つけないよう歯ブラシの柄にシリコーン(ゴム)チューブを巻いたものや割り箸(図2)など柔らかい物を噛ませると楽に出来ます。唇の緊張が強かったり、口腔の過敏が強く歯ブラシが使いにくい場合、無理に歯ブラシを使わず、ガーゼで口腔の汚れを拭き取ることから始め、徐々に歯ブラシの刺激に慣れさせてください。