3.Q.首の屈曲・回転があまりできない方             

A.東京医科歯科大学歯学部高齢者歯科学講座 教授 植松 宏

 慢性関節リウマチや頸椎障害の患者さんだけでなく高齢者にも首の動きが悪い人がいます。首の動きが悪いだけでは、さほど歯磨きに支障はありませんが、慢性関節リウマチ患者や高齢者では首だけでなく身体の他の部位も動きが悪いことが通例です。手鏡を使って口腔内を見ながら。歯ブラシを動かします。手の動きが悪い場合は、リーチャーなどの補助具を利用します。介助する場合は前面からのぞき込む様にするか、背部から抱くような形で鏡を見ながら磨きます。患者さんをリラックスさせて、口唇や頬を指でやさしく引いて歯ブラシの動かす場所を作って磨きます。最も困難なのはうがいです。水を口に含むのはストローを使えばよいのですが、吐き出すときはどうしてもエプロンが必要になります。水は少な目に含み、誤嚥に注意します。口の周囲の汚れはティッシュペーパーやタオルなどで拭く必要があります。
慢性関節患者でリーチャーに歯ブラシをつけて使用している例

参考文献:

施設口腔保健研究会/日本口腔疾患研修所監修「口腔ケアQ&A」中央法規出版,1996.