9.Q.痛いところがあっても、訴えることができない方

A.大生信愛病院歯科口腔外科 医員 関根義朗

 痴呆や日常のコミュニケーションに障害を持つお年寄りは、痛みを伝えたくても、話すことができなかったり、体が自由に動かないためにうまく伝えられません。お年寄りが感じている痛みの程度を客観的に知ることはできないので、痛みがある時にお年寄りが出す何らかのサインを見逃さないように観察する必要があります。痴呆があったり障害を持っているお年寄りは、口腔ケアが十分できないために,虫歯や歯周病が多く見られます。介護者が口の中の状態を把握するのは難しいので、治療が困難でも、定期的に歯科医に見てもらって、いざという時の対応がスムーズになるようにしておくことが重要です。

痛みがある時にお年寄りが出すサイン
身体のどこかに痛みがある場合
1.しきりに身体を動かし、落ちつかない。
2.脈拍が早くなったり、血圧が上昇する。
3.表情が険しくなる。
4.大きな声を出したり、うなり声をあげる。
5.徘徊や異常行動が増える。
6.普段行っているケアを嫌がる。
口の中や歯に痛みがる場合
1.食事の量が減り、食べるのが遅くなる。
2.顔に触られるのを嫌がる。
3.普段行っている口腔ケア(歯磨き等)を嫌がる。
4.頻繁に口の中に指を持っていく。
5.普段は義歯を入れているのに、入れるのを嫌がる。
6.鼻の付け根から頬骨(ほほぼね)にかけてと、下顎の骨に沿って強く指で押して痛がる場所がある時は、歯が痛いことが多い。