l.Q.むし歯とは。
A.愛知学院大学歯学部歯科保存学第一講座 教授 千田 彰
〃 佐藤 かおり
むし歯すなわち歯のう蝕症とは口腔内細菌と炭水化物由来の有機酸によって歯の石灰化成分が溶かされたり、あるいは同じく有機質が破壊される病気です。これまではこの病変が進行した結果形成される歯の空洞性欠損、う窩をう蝕症と考える傾向がありました。最近は歯の脱灰は一方的に進行するのではなく、唾液などさまざまな因子によって再石灰化(脱灰部に再び石灰化成分が沈着する)もみられることが明らかとなり、う蝕症は脱灰と再石灰化のバランスの中で発症したり進行することがわかってきてこれらをコントロールする治療も行われています(図1)。
図2に示すように細菌によって作られた「プラーク」が、酸性に傾くと「脱灰」という現象がおこり、脱灰が進んでいくと歯の構造が崩れ穴があいてしまいます。ひとたび穴が開いてしまうと、脱灰は次第に歯の内部に入り込んでいき、さらに細菌の侵入によって歯髄といわれる部分が炎症を起こすようになります。
参考文献
◎「図説齲蝕学」 須賀昭一偏 <医歯薬出版>
◎「クリニカル カリオロジー」 熊谷崇、熊谷ふじ子、藤木省三、岡賢二
Douglas Bratthall <医歯薬出版>
◎「齲蝕の管理と治療に関する最新のコンセプト」 Richard j.Elderson
岡賢二訳 歯科医展望 1996年5月号 <医歯薬出版>