10.Q.歯周病と関連する生活習慣病について教えて下さい。

A.大阪大学歯学部予防歯科学教室 助教授 埴岡 隆

「口の成人病」とも呼ばれる歯周病といくつかの生活習慣やライフスタイル環境との関わりが示されています。ブラッシングを中心とした口腔清掃は歯面に付着するプラーク(歯垢)の除去を目的という感染症の側面がありますが、生活習慣としての側面も併せもっています。歯周病予防の面からは、効果的なプラーク除去を行うために、適切な口腔清掃習慣をもつことはたいへん重要です。歯周病と喫煙習慣との関係はかなり明確になりました。喫煙者には歯周病の者が多く、歯槽骨や歯根膜の破壊が進んでおり、治療効果も劣ることが示されています。喫煙しないことは重要です。日本人には仕事上のストレスが大きいという国民性がありますが、歯周病とストレス環境との関係も明らかになってきました。さらに、食生活に関連する生活習慣も歯周病との関連性が指摘されています。このほか、いわゆる大酒飲みと歯周病との関連を示唆する結果も報告されています。

表 歯周病と関連する5つの生活習慣

1.口腔清掃習慣 2.喫煙習慣 3.ストレス環境 4.食生活 5.大酒飲み

文献雫石 聰、ライフスタイル環境に関連した歯周病のリスファクタ−、日本歯周病学会会誌、第40回記念大会特別号、49-54,1998.

口腔清掃習慣、喫煙習慣、ストレス環境、食生活

生活習慣やライフスタイル環境 関連するメカニズム等
口腔清掃習慣 歯面プラーク(歯垢の蓄積)、歯肉刺激による組織賦活
喫煙習慣 微小循環・免疫機能の障害、歯根膜細胞の障害
ストレス 微小循環・免疫機能の低下、口腔清掃習慣、喫煙、食習慣等の関連ライフスタイルへの間接的影響
食習慣 炭水化物の摂取、果物類及び脂質摂取