6.Q.歯周病とは。

A.愛知学院大学歯学部保存学第三講座 教授 野口俊英
                  講師 吉成伸夫
                  助手 山田泰生

 歯周病とは、歯周組織(歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨)に発生する炎症性病変の総称で、代表的なものに、歯肉炎と歯周炎があります。これらは、生きた細菌の集団(歯垢、プラーク)による感染と、それに対する生体の防御反応(炎症、免疫反応)により、組織の破壊が起こる病気です。まず細菌の歯面への付着により、歯肉に限局した歯肉炎(歯肉の発赤、腫脹、出血)が起こり、この状態を放置しておくと細菌は歯と歯肉の間に入って増殖し、同部の付着がはがれて溝のような状態(歯周ポケットの形成)になります。この付着が消失した段階で歯周炎という名称となり、細菌の増殖に伴い、感染および炎症は歯周組織深部に進行し、歯肉のみならず、歯根膜、セメント質、歯槽骨の破壊が起こる結果、歯根が露出して知覚過敏を起こし、支えの少なくなった歯は動揺を来たし、歯周ポケットからは出血、排膿が生じ、最終的に歯は抜けてしまいます。歯周病は、口臭、歯列不正の原因ともなり、全身的には細菌性心内膜炎、誤嚥性肺炎、低体重出生児との関係も指摘されており、放置することなく、適切な治療を受ける必要があります。

参考文献
 「サヨナラ歯周病 お口の健康」野口俊英著 医歯薬出版