Q6. 上顎の抜歯の後に鼻出血することがありますか?

上顎の親知らずを抜いたら鼻出血がおきてきて驚いたという話を耳にします。
 これは上顎の一番奥にある親知らずの根が鼻まできているのではなく、図のように鼻すなわち鼻腔に隣り合う上顎洞という上顎の上にある空洞が鼻腔と交通しているために起こった現象なのです。親知らずにかぎらず、奥歯(大臼歯)の歯根は上顎洞の非常に近くにあり、場含によってはレントゲン写真上でまさに上顎洞の中に歯根がつきささっているように見えるものさえあります。
 このような歯を抜歯すると、出血した血液は口の中ではなく、上顎洞にも流れ込んでいきます。
 このようにして上顎洞に流れ込んだ血液が交通している鼻腔より出てくるため鼻出血として驚かれるわけです。
 このような鼻出血には抜歯当日にみられるものと、いったん上顎洞の中で血液が凝固してこれが数日から1〜2週間後に流れてくるものとがあります。このような場含、黒に近い赤色を呈しているためびっくりされることがあるかと思いますが、これはいったん凝回した古い血液の色のためなので心配はいりません。むしろ、その後鮮血色の血液が流れ出て止まらないことがあれば、これについては担当医に診てもらったほうがよいでしょう。またこのような状態のときは飲酒、運動、入浴は避けたほうがよいでしょう。