表1.摂食嚥下障害のポイントと訓練
過程 |
ポイント |
間接(基礎)訓練 |
直接(摂食)訓練 |
食物の認識障害 | ・覚醒している ・食物に反応する |
・口腔ケア ・のどのアイスマッサージ ・触覚、味覚刺激 ・散歩、声かけ、座位訓練 |
・行わない |
口への取込み障害 | ・口唇や前歯で食物を取り込み、口腔内に保持する ・ロ唇、下顎の力がポイント |
・口唇や頬の運動 ・パ行、マ行の構音訓練 |
・下顎の挙上と口唇の閉鎖を介助 ・30°仰臥位頭部前屈 |
咀嚼と食塊形成障害 | ・食物を咀嚼し、食塊を形成する ・舌、下顎、頬の力と巧緻性がポイント |
・舌、下顎、頬の運動 ・タ行、ラ行の構音訓練 ・スルメをかむ練習 |
・30°仰臥位頸部前屈 ・嚥下食 ・健側に食物を入れる ・麻痺側の内頬に食物がたまるときは頼を押す、プロテクターを内頼に入れる |
咽頭への送り込み障害 | ・舌背を口蓋に押しつけ食塊を咽頭へ送り込む ・舌の動きがポイント |
・舌、下顎の運動 ・カ行、ラ行の構音訓練 ・舌背を口蓋へ押しつける |
・30°仰臥位頸部前屈 ・食物を直接奥舌へ入れる ・下顎の固定と口唇閉鎖を介助 |
咽頭通過、食道への送り込み障害 | ・食塊が咽頭を通り、食道へ送り込まれる ・諸器官の随意性やタイミングのずれ、食道入口部の開きがポイント ・咽頭残留、誤嚥の有無をみる |
・のどのアイスマッサージ ・空嚥下 ・呼吸訓練、排痰訓練 ・頸部のリラクセーション ・ブローイング、押し運動 ・嚥下反射促通手技 ・メンデルゾーン手技 ・バルーン拡張法 |
・30°仰臥位頸部前屈 ・複数回嚥下、交互嚥下 ・横向き嚥下とうなづき嚥下 ・息こらえ嚥下 ・嚥下反射促通手技 ・頚部突出法 |
食道通過障害 | ・食塊が食道から胃に入る ・食道蠕動、下部食道括約筋の働きがポイント ・貯留や逆流の有無をみる |
・空嚥下 | ・体位を起こす ・複数回嚥下、交互嚥下 ・食後座位を保つ |
(小島千枝子、1998-1)より)