文部科学省研究費補助金基盤研究B


4)考察

1)食事指導について
 我々の調査では、葉酸剤や総合ビタミン剤などのサプリメントの使用のみを前提としたものではない。我が国においても2000年12月に、厚生省児童家庭局母子保健課長及び厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課生活習慣病対策室長より、神経管異常の予防において、リスク群に対し妊娠前からの葉酸の摂取を推奨する勧告がなされた。しかし、口唇、口蓋裂に関しては、葉酸の摂取のみで完全に予防できるのではなく、自然界に存在する十分な栄養素・ビタミン等の成分をバランス良く摂取すべきであると判断した。したがって、サプリメントは希望者のみの使用としている。必要な栄養素を原則的に全て食事から摂取することで、結果的にバランスの良い食事がなされた。食習慣や生活習慣も記録し改善の目安にしたことで、運動量が増えたり、飲酒の習慣が改善されるなど、母体環境を様々な角度から改善することができたと考えている。
 本プログラムでは、このように参加者や担当医と密な連絡を取り合いながら進めていくため、参加者側、研究者側双方の労力は大きいが、それぞれの個人について、より確かな母体環境改善を行えたと考える。
 


(2)産科受診について
 この研究は全国18の大学の共同研究として、全国規模で実施しているが、産科の受診は回数が多いため、自宅近くの施設を希望する場合が多い。その場合、地方の産科に協力を要請することになるが、これら産科の受入れの承諾を得られない場合も一部あった。引続き理解を得るための要請を行っている。


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